“カルト的な地位”? 米国でスバル絶好調の背景とは
2013年のアメリカでの新車販売台数は1560万台で、2007年以来最高の台数となった。これは前年比7.6%の伸びだが、商用車としてのピックアップトラックの需要が伸びたためと報じられている。
【好調が続くスバル】
そんな中、日本のスバルの好調ぶりが注目されている。ブルームバーグによれば、新型フォレスターと新XVクロストレックの人気で、同社の年間売上は2年連続で26%増え、42万4683台となった。シェアも0.4%増加して2.7%となった。この増加率は、フォードの0.45%増に次ぐ数字である(Autodata社調べ)。
ただ、ブルームバーグによれば、「3期連続の26%増はないだろう」とスバル・オブ・アメリカのトム・ドール社長は慎重だ。「もちろん成長はするが、8から10%の辺りだろう。わが社の目標は正直なところシェア維持だ」ともコメントしている。ドール社長は、今年もフォレスターとクロストレックに期待しており、年間売り上げ見込みは46万台だと語る。
さらに同社広報は、スバルの目標は「耐久性の高いクルマ」という評判を維持することであり、これが競合する日米メーカーと異なる特徴だと述べている。
またアメリカの自動車専門評価機関ケリー・ブルーブックのアナリストは、スバルについて、「カルト的な地位を保つか、主流派の仲間入りをするか」、岐路にさしかかっていると語っている。
【背景には米市場の好調も】
背景にはアメリカ市場の好調もある。USAトゥデイ紙によれば、「予想を遥かに上回る結果だった」とケリー・ブルーブックの専門家は語る。依然高い失業率、緩やかな経済成長、消費者の購買意欲低下が背景にあるためだ。だが、アメリカのクルマは平均して購買後11年以上経っており、ローン金利も安く、株価上昇による裕福感もあった。「こうした全ての事情があいまって、結果的には堅調な自動車販売となった」と同氏は言う。
【実売価格も安定】
なお12月の新車平均売価は3万2890ドルで昨年同時期並みだったとのケリー・ブルーブックによる調査結果をAP通信は報じている。USAトゥデイ紙が伝えるTrueCar.comの調査結果によれば、12月には各社ともインセンティブ策を実施したが、特別気前の良いものでもなかったという。インセンティブは1台当り平均2676ドルで、前年比4%増であり、12月の新車平均売価も3万786ドルで前年比0.6%ダウンに留まった。
2014年の業界全体での販売台数は1600万台が見込まれている。ただしAP通信は、競争の激化は避けられないだろうとみている。