米司法省、東洋ゴム工業など23社に独禁法違反で巨額罰金 さらに拡大の可能性も

 タイヤメーカー大手の東洋ゴム工業は26日、反トラスト法(米独禁法)に違反し、自動車部品の価格カルテルを結んでいたことを認め、1億2000万ドル(約122億円)の罰金を支払うことで米司法省と合意したと発表した。

 同省によると、東洋ゴム工業は、1996年3月から少なくとも2012年5月まで、トヨタ自動車、日産自動車、スバルの親会社富士重工業に供給している自動車用防振ゴム部品の販売価格を不正に操作していたという。

 これを受けて同社は、法令順守の徹底と再発防止に努めるとともに、役員報酬10~30%を1~3ヶ月間返上すると発表した。また同社は、第三四半期決算において既に特別損失(罰金)約117億円を計上しており、12月期通期業績予想数値には変更がないとしている。

 なお価格カルテルとは、複数の会社が共同で商品の価格や生産数を取り決める行為であり、生産調整や資本蓄積しやすいなどの側面がある。

【スタンレー電気も含めて23社目に 罰金計18億ドル(約1800億円)以上に】
 同様に27日、スタンレー電気も自動車部品の不正価格操作を行ったことをも認め、144万ドル(約1億4700万円)の罰金を支払うことで合意している。同社は、違反対象製品の製造と販売はせず、信頼回復のため一部役員は報酬の10~30%を3ヶ月間自主返上すると発表した。

 また罰金による業績への影響は重大ではないと見通しており、平成26年3月期第3四半期決算に特別損失として計上する予定だとしている。

 同省によると、自動車部品を巡る価格カルテルの捜査で、同社を含む計23社が関与を認め、計18億ドル(約1840億円)以上の罰金の支払いに合意しているという。

 さらに同省は、関与を認めた26人の企業幹部が訴追されており、そのうち20人が刑務所に収監されるか司法取引に応じていると発表している。

【日系企業が次々と摘発 その背景に】
 2011年に古河電工の2億ドル(約200億円)の罰金を皮切りに、2012年に矢崎総業の4億7千万ドル(約470億円)、デンソー、フジクラ、パナソニック、東洋ゴム工業と相次いで反トラスト法違反で摘発されている。

 その背景にはリーニエンシ―制度(課徴金減免制度)があると考えられる。この制度は、談合やカルテルを自主的に申告して調査に協力すれば、早いもの順に課徴金の免除や減額が受けられる制度だ。

 課徴金を避けたい自動車部品メーカーがこの制度を利用し、芋づる式に関与企業が発覚していったようだ。

 さらに、アメリカにはアムネスティ・プラスという制度がある。Aという件でのカルテル申告が2番目で罰金が科せられても、Bという件でカルテル申告すれば、Aについても罰金が減額されるというものだ。

 なおこの制度は、1993年にアメリカで始まり、EU、カナダ、オーストラリアなど世界各国で導入され、日本でも2006年1月にスタートしている。

Text by NewSphere 編集部