尖閣だけのせいではない 日本車メーカー、中国市場で劣勢の背景とは
自動車業界はここ数年の不況から復活しつつある。東京ビックサイトで開催されている第43回東京モーターショー2013でも、各社の業績好調な様子が伺えるようだ。国内外のメーカー178社がそれぞれ最新モデルを披露し、華やかな様子が連日報じられている。
海外メディアは、世界第3位と言われる日本市場で海外メーカーが苦戦している点や、世界最大の市場となった中国における日本メーカーの苦戦を報じている。
【日本で外車は売りにくい!? 海外メーカーから不満の声】
東京モーターショーには、米ビッグスリー(ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラー)が3回連続で出展を見送っている。彼らの大型で頑丈な車は、コンパクトで燃費の良い車が好まれる日本市場では浸透しにくく、今後もその期待は薄いためだという。
国内における昨年の販売台数537万台のうち、海外メーカーのものは4.5%にとどまっているとAFP通信は報じている。一つの理由として日本と海外の需要の相違を挙げ、国内販売台数の1/3を占める軽自動車にあたるモデルが欧米メーカーにはほとんどないとした。
さらに、日本の国内メーカー8社がしのぎを削る中、為替の影響などにより国内の同レベルのモデルに比べて2割高になる海外車の必要性は低いと、ルノーなどは語っているという。日本が円安を利用し貿易メリットを享受しすぎだと批判する、フォードなどの声も取り挙げている。
また全米自動車労働組合は「日本は世界で一番、閉ざされた自動車市場」と不満をあらわにしているという。特に関税の高さや、日本の厳しい基準に応えるためのコストが嫌悪されているようだ。
【中国市場でつまずいた日本メーカーの今後の展望は?】
国内外で好調な様子を見せている日本車メーカーだが、世界一の市場である中国ではつまずきを見せたとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。2008年頃に世界的に自動車市場が経済危機の打撃を受けて縮小する中で、中国市場は拡大を続け、今年は新車販売台数が2000万台になり、世界の販売台数の1/4を占める勢いだ。
この重要な市場で、トヨタやホンダなどの日本車メーカーは、不況を恐れるあまり事業をスローダウンさせたことが失敗だったとフィナンシャル・タイムズ紙は指摘している。確かに2010年には、中国人労働者の賃金コストの上昇に加え、尖閣諸島をめぐる両国の関係悪化で、自動車を含め日本製品全般の売上は劇的に落ちた。
しかし同紙は、実際は日本メーカーによる現地の事業運営の質の低さや戦略の甘さなどが、拡大する中国市場を過小評価し、供給不足に陥ったと分析している。
日本のメーカーはこの失敗から学び復活するだろうというアナリストの見方も報じている。トヨタは昨年に生産拡大に踏み出しており巻き返しを図るようだ。中国市場では世界100社以上がしのぎを削っているが、質の良い日本車の展望は悪くないだろうとの報道もある。政治経済ともに激動する中国市場で今後どのような結果が現れてくるだろうか。