アベノミクスの外資誘致に朗報? スイスのチョコメーカー工場が群馬にオープン
業務用チョコレートメーカー大手のバリーカレボー(スイス)は14日、群馬県高崎市にチョコレート原液の工場をオープンした。
国内の大口顧客でもある森永製菓から土地と建屋を賃借し、兵庫県尼崎市から工場を移転させたもの。アジアでは最大のチョコレート消費国である日本での生産強化を狙っていく意向だ。
工場の敷地面積は約1万7000平方メートルで、20億円以上が投入された。年間2万2000トンのチョコレート原液が生産でき、今後3年間で2万9000トンに強化する予定だという。バリーカレボーは、関東に工場を持つことで、新規顧客の開拓による事業拡大に大きな自信をみせていると報じられている。
国内メディアではあまり大きく取り上げられていないニュースだが、海外メディアでは、アベノミクス戦略特区の柱でもある外資誘致における、レアなケースだと報じている。さらに、外資と国内企業が生みだす相乗効果の見本としても注目しているようだ。
【レアな業界での日本への投資に注目】
AP通信は、日本は長年にわたって外資系企業の誘致に積極的ではなく、国内企業と外資の競争が激化することはあまりなかったと指摘。しかし、長引く不況から脱却するためアベノミクスでは様々な規制緩和を実施し、外資の日本進出を誘致していると報じた。
ワシントン・ポスト紙でも、小泉純一郎元首相が目標に掲げながらも達成できなかった外資誘致を、安倍首相が進めていけるか、と注目している。アベノミクスでは規制緩和や法人税の引き下げなどを打ち出しているが、これまでのところ外資による投資は株や不動産がほとんどだったとも指摘している。
【国内メーカーとの相乗効果とは】
バリーカレボー社の事例は、日系企業と外資企業が力を合わせることで相乗効果を発揮する良い見本だとワシントン・ポスト紙は報じている。
同社は2007年、製菓大手の森永製菓とチョコレート原液の供給で業務提携。これにより、森永は安定したチョコレートの仕入れやコスト削減、効率アップを実現し、人気商品「チョコボール」などの売上を倍増させた。
一方バリーカレボーは、森永の工場に隣接する形で生産拠点を整えることで、供給プロセスが25%削減されるという。森永と安定した取引を継続しながら、新規顧客を開拓する環境が整ったことになるといえる。