日本の焼肉市場に米国が注目 元阪神バースも売り込みへ
広島のスーパー「フレスタ」の担当者を含む食肉バイヤー数人が先月、日本から約6000マイル離れた米国ネブラスカ空港に降り立ち、ホテルロビーから牛の飼育場、牛小屋を歩き回っていた。
彼らの目的は、完璧な牛タンを見つけることだ。
【牛タンを求めてネブラスカへ】
バイヤーたちを受け入れたネブラスカ州の牧場主は、彼らがこれまでのバイヤーに比べ、質問が非常に細かい内容にまで及んだことに驚いた、とオマハ・ドットコムが報じている。牧場主は、「餌の量、飼育法、体重。また牛だけでなく飼料のとうもろこしのことまで、尋ねられた」と話す。
米国の牛肉市場は、非常に不安定だ。また、現在国全体の牛の飼育頭数は8900万頭と1952年以来最も少ない。需要は一貫してあるのに、供給が減っているため、価格は値上がりしている。
しかし、牧場主たちは、日本が欲しがるのは、米国であまり好まれない、舌や心臓などの部位なので、日本への輸出が米国内の価格上昇に関係しないだろう、と考えているようだ。
【日本独特の牛タン食文化】
牛の舌を食べることは、最古の料理本にも調理法が掲載されているように、長い歴史がある。最近でも、ある料理本では4時間煮るように指導していたり、シャルル・ド・ゴール元仏大統領の料理人であったジャック・ペパン氏は、塩漬けにした舌を使い、5日間に及ぶ処理が必要だと説明していたりする。
ところが、日本人バイヤーはそんな調理法で食べるために、はるばるネブラスカ州まで肉を買い付けに来たのではない、と同メディアが、日本独特の食べ方を紹介している。
それによると、日本では伝統的に、牛肉は、とても薄く切りわけられる。牛タンは、レストランで食されることが多く、大人数が集って、コンロ付きのテーブルを囲み、テーブルに取り付けられた鉄板で、それぞれが生の牛タンを焼いて食べる。自分が食べる分は自分で焼き、より多くの肉を食べようと押し合いへし合いの競争になる、と焼肉の様子を伝えている。
【拡大する日本の牛肉需要】
米国の食肉ビジネスを伝えるメディア、キャトル・ネットワークによると、日本は今年7月までに、米国から142875トン(約8億5580万ドル)の牛肉を購入しているという。2012年と比較すると、量にして57%の増加だ。
米国食肉輸出連合会(USMEF)は最近、米国産牛肉を日本へさらに売り込むため、オクラホマ州現上院議員で阪神タイガース元選手、ランディー・バース氏を巻き込んだキャンペーンを日本国内で展開した。そして、非常に好評を得たようだ、と同メディアが報じている。
キャンペーンでは、USMEFが日本の焼肉店と手を組み、焼肉店で、「ランディー・バース・コース」を注文すると、バース氏のサインが当たるなどの様々な催しを行った。
日本での現役時代に三冠王を2度も獲得したバース氏は、このキャンペーンのために訪日した際、少年野球の子供たちに会い「私が三冠王という功績を残すことができたのは、(栄養豊富な)米国産牛肉を食べたからだ。」と、子供たちに米国産牛肉を食べることを勧めたという。