「らくらくスマホ」で海外市場進出? 日本企業の挑戦に注目集まる

【栄枯衰勢?】
 NECの事業撤退、パナソニックの事業縮小…。このところ日本のスマートフォンをめぐるニュースは決して明るくありません。

 一時はフィーチャーフォンで、世界の流れとは異なるものの優れた携帯電話を量産し、国内市場をリードしてきた国産メーカー。各社が次々と携帯端末市場から手を引いていく現在の状況は寂しい限りです。

 それらの一連の動きについては海外も敏感に反応し、日本で報道された直後に、多くのメディアがそれらのニュースを取り上げています。

 先月ウォールストリートジャーナルは、NECの事業撤退のニュースの後に、「日本のスマートフォンは生き残れるのか?」と題した記事を掲載しました。

「かつて日本は、独自の進化を遂げた携帯電話を持つ国として知られ、その携帯電話はインターネット接続機能と他の国々では見られない様々な機能を備えていた。しかしそれは遠い昔のことだ」との書き出しで始まるこの記事は、日本メーカーのスマートフォン事業への乗り遅れが運命の分かれ目だったと指摘。アップルやサムスンといったグローバル企業が国内のスマホユーザーを獲得するなか、日本メーカーの大半は海外市場に打って出ることに失敗した、といった内容で、現状を冷静に解説しています。

【ニッチを狙え!?】
 そのような記事が多い一方、日本のあるメーカーの海外での事業展開について報じる記事がありました。

 ニューヨークタイムズが先日掲載した「日本のスマートフォンメーカー、高齢ユーザ市場に輸出」と題した記事。富士通がフランスで、初心者、高齢者向けの「らくらくスマートフォン」を同国の通信事業者と提携して発売していることについて取り上げています。

 同紙は、日本国内で2000万台を売り上げた実績を挙げ、「ドコモと富士通は高齢者向けスマートフォン分野のパイオニア」とし、今後ますますの高齢化が予想される先進国では需要が伸びるだろうと予測。また、記事の最後には、「日本のメーカーにとって海外に打って出るのは挑戦。しかし、この技術は需要にかなうはず」というアナリストのコメントを掲載し、同社の姿勢を好意的に報じています。

【これからが正念場!】
 正式発表はされていませんが、現在報道されているようにドコモからiPhoneが発売されることになると、日本のメーカーにとってはますます厳しい状況が予想されます。

 アップルの「iPhone」やサムスンの「GALAXY」などの海外勢に押されて、国内シェアの回復が難しい現在、富士通のようにニッチであっても積極的に海外を狙う姿勢は評価されるべきかもしれません。

 高い技術力を持っているのは間違いのない日本メーカー。苦しい状況は続くかもしれませんが、何とかこの状況を切り抜け、起死回生といっていただきたいものです。

Text by NewSphere 編集部