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	<description>世界と繋がるミレニアル世代に向けて、国際的な視点・価値観・知性を届けるメディアです。</description>
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		<title>自分はどんな消費者になりたいか 3</title>
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		<pubDate>Fri, 27 Sep 2019 04:30:44 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[34　最終回 　ここまで描写してきたような時代に生きている、ということは、私個人の消費活動、生きることにまつわる考え方に大きく影響を与えている。 　日々使う電話やインターネットから、乗る飛行機まで、様々なサービスを提供す [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>34　最終回</strong></p>
<p>　ここまで描写してきたような時代に生きている、ということは、私個人の消費活動、生きることにまつわる考え方に大きく影響を与えている。</p>
<p>　日々使う電話やインターネットから、乗る飛行機まで、様々なサービスを提供する企業から、政府や自治体まで、自分のお金が紐づいた組織が、マイノリティをどう扱っているか、どんな商行為をしているか、どんな環境対策を取っているか、その方針を知ろうと努めるようになった。自分がお金を払う企業に、意見やフィードバックを伝えるようにもなった。従業員やベンダーの苦しみや、無尽蔵な環境破壊に自分ができるだけ加担したくない、という気持ちもあるが、ここ数年のアメリカを見ていて、顧客の声や消費者運動が社会を動かすことがあると信じられるようになったことも大きい。</p>
<p>　自分の口に入れるものは、生産地がはっきりしているものを、中間業者のコストを使う大手のスーパーではなく、近所のマイクロ商店やファーマーズ・マーケット、農家から直接買うよう心がけるようになった。食関係のリコールが相次ぎ、今後の食糧危機が予想される中で、大企業の利益優先主義への不信感が増したこともある。それに、自分の元を離れるお金は、できるだけ自分の暮らすコミュニティで循環してほしいと思うから（これは日本、特に東京だととても難しい）。</p>
<p>　汚水に流す洗剤類に入っている内容物を吟味し、また、食器類もなるべくリユーザブルなものを持ち歩いて、捨てるゴミを精査するようになった。なるべく古い物を使い、新しい物を買うときには、袖を通す服の生産地や素材を確認するようになった。〈スロー・ファクトリー〉のセリーヌ・シーマンが指摘したように、消費者レベルで小さな努力を積み重ねたところで、気温の上昇を食い止めるうえではほとんど意味はないと知りつつも、消費者たちがまず動かなければ、企業が営利活動の方向性をシフトする可能性を上げることはできないと学んだから。</p>
<p>　山にこもって隠遁生活でもすれば、自分の手による環境インパクトを最小限に食い止めることができるのだろうが、そういうわけにもいかない。なにより欲がなくなったわけではないのだ。</p>
<p>　ただ、自分の欲の方向性が変わった。メイド・イン・ジャパンやメイド・イン・USAの物、それも、大手のブランドや企業が作るものではなく、自分が行く先々で出会う小さな作り手が手を動かして完成させた物、または古いガラクタとも呼べるような使い込まれてきた物や衣類に向かうようになった。その日、その場所に出向いたことで生じた作り手や物との出会いにロマンを感じることもあるが、物を買うという行為を正当化する、何らかの必然性を求めてしまうようにもなっている。</p>
<p>　何も私がユニークな存在であるわけではない。アメリカの消費カルチャーを今動かしているのは、環境意識が強く、自分がお金を払う対象の企業の方針に厳しい、ミレニアル世代である。</p>
<p>　賢い企業やブランドはこうしたことに気がついている。利益の一部を社員、コミュニティ、社会に還元する、リサイクル素材を転用する、社会の革新を企業方針に盛り込むなどしながら、消費者のブランド・ロイヤリティを構築することに成功し、消費者の側からの企業やブランドの社会性への訴求が強くなっていることを証明している。</p>
<p>　こうした消費者たちからの訴求が、今、ブランドや企業のあり方にも影響を与えている。そしてそこに巨大なビジネスチャンスがある。この世の中に溢れる問題の一部になるのではなく、解決策の一部になろうとすることにビジネスチャンスがあるのだ。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>自分はどんな消費者になりたいか 2</title>
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		<pubDate>Fri, 20 Sep 2019 05:00:15 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[33 　この5年ほどのあいだに世の中が大きく変わった要因のもうひとつに、ドナルド・トランプという人物がアメリカの共和党から大統領選に出馬し、勝利して、アメリカ合衆国第45代大統領に就任した、ということがある。 　20人以 [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>33</strong></p>
<p>　この5年ほどのあいだに世の中が大きく変わった要因のもうひとつに、ドナルド・トランプという人物がアメリカの共和党から大統領選に出馬し、勝利して、アメリカ合衆国第45代大統領に就任した、ということがある。</p>
<p>　20人以上の女性からセクハラ、レイプ、暴行などで告発されたトランプ氏が、移民排斥を訴え、宗教的右派・白人愛国主義・至上主義者たちの支持を受けて選挙に勝ち、大統領就任後には、オバマ大統領が敷いた環境規制を次々と撤廃し、大企業寄りの政策を推進している。そのことが、人々の消費行動も含めたアメリカの文化に与えている影響は、計り知れない。</p>
<p>　トランプ大統領が登場する以前から、ミレニアルや若い世代は、ジェンダーやセクシュアリティに対する固定観念が薄く、LGBTQ（レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア）という既存の区分以上に多様化していることは指摘されてきた。しかし、古典的な結婚観・家庭観の維持を主張する宗教的右派が支持する候補が勝ち、それまで進化してきたジェンダー／セクシュアリティの概念を後退させたことへの反動として、たとえば雇用の保障や差別からの保護といった、性的マイノリティや女性の権利を制限しようとする政権への抵抗運動が苛烈になった。</p>
<p>　トランプ誕生以前にも、デザインやファッションの世界でLGBTQの権利拡大運動やジェンダー観を反映した表現が登場していたけれど、2010年代後半の世の中では、ある意味、トランプ大統領という「悪役」のおかげで、この傾向が一気に加速した感がある。個人のスタイルにおいて「男の物」「女の物」という既存の固定概念を外れた表現や着こなしを見ることが増え、ブランドや企業の側も、こうした傾向に対応するためにユニセックス商品の充実やサイズの幅の拡大などをさらに試みるようになってきた。</p>
<p>　草の根のファッション・ムーブメントの中には、より直接的なアクションに関与する作り手やブランドも増えている。特定のイシューに対するスタンスを商品を通じて表現し、その売上の一部を、その問題に取り組む非営利団体・運動団体に寄付する、という手法が、中小のブランドから大手のファッションハウスまで、幅広く定着するようになった。たとえば、これまでに触れた〈スローファクトリー〉は、展開するすべての商品の利益の一部が、様々なイシューに取り組む運動団体に寄付される仕組みになっている。また、サンフランシスコに生まれ、「価格の透明性」を標榜する〈エヴァーレーン〉は、トランプ政権が発足してイスラム教徒の入国制限を行なったことを受けて2017年夏に、「100％ヒューマン」とメッセージが入ったTシャツを展開した。1枚あたり5ドルを、移民やマイノリティの人権を擁護するアメリカ自由人権協会に寄付するというキャンペーンは今も続いており、これまで22万ドル以上を寄付している。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>自分はどんな消費者になりたいか</title>
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		<pubDate>Fri, 13 Sep 2019 08:30:13 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[32 　『ヒップな生活革命』という本を上梓して、5年が経った。未曾有の金融危機を経て、自分が暮らすブルックリンという土地を中心に、インディペンデントな小さな作り手や、彼らが作る商品が登場した。そのことをきっかけに、アメリ [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>32</strong></p>
<p>　『ヒップな生活革命』という本を上梓して、5年が経った。未曾有の金融危機を経て、自分が暮らすブルックリンという土地を中心に、インディペンデントな小さな作り手や、彼らが作る商品が登場した。そのことをきっかけに、アメリカという国で、なぜ食事がおいしくなったのか、なぜ地産地消が注目されるようになったのか、どうして消費者たちがそれに呼応するようになったのか……拝金主義で大企業が圧倒的に強いアメリカで、大きな波に流されずにどうやって生きていくのかを考える人たちの声を紹介する――そんなつもりで書いた本は、私のもとを離れ、たくさんの場所に旅をし、無数の新しい出会いをもたらしてくれた。そしてそれは、私自身の生き方を振り返り、少しずつではあるけれど、変えるきっかけにもなった。</p>
<p>　あるとき、イベントでの質疑応答で、来てくれた人からこんな質問を投げかけられた。</p>
<p>「あなたの革命は、どれだけ本気なんですか？」</p>
<p>　その瞬間、ハッとなった。</p>
<p>「こんな小さなムーブメントを作っても、大きな流れの中では無意味なのではないでしょうか？」</p>
<p>　そう言われたこともある。</p>
<p>　彼らが私に伝えたかったことは、それなりに正当性がある。</p>
<p>　私は、ニューヨークという大都会を拠点に暮らし、ニューヨーク州北部に家を借りている。東京とのあいだを年に何度も行き来し、車、飛行機、電車を多用して生きている。ファッションの世界に身の一部を置き、立派な物欲もあれば、食欲もある。だから、すでにその時点で環境破壊に加担し、消費文化の一部になっていることは間違いのない事実である。</p>
<p>　そんな状況の中で、自分に何ができるだろうかということを、上の質問を聞いて以来、ずっと考えてきた。都会での生活を捨て、スマホやコンピュータと決別し、山に引っ込めばいい、ということではないだろう。</p>
<p>　本を出してからの5年間で、世の中は大きく変わった。</p>
<p>　まずひとつには、環境破壊がこれまで以上のスピードで進行していることだ。台風、豪雨、地震、津波、山火事といった自然が猛威を奮って災害が拡大し、たくさんの人間が命を落としたり、コミュニティが破壊されたりする。そんな話が日々、ニュースを賑わせている。もうずいぶん前から科学者たちが、「このまま行くと地球はヤバい」と警鐘を鳴らし続けているにもかかわらず、人間たちは「これまでのやり方」を変えることができない。</p>
<p>　アメリカ政府は、「global warming（地球温暖化）」への対処を訴えて大統領選挙に出たアル・ゴア元副大統領が選挙に負けたとき（2000年）に、「温暖化」という言葉を「climate change（気候変動）」という表現にすり替えた。われわれ人間の暮らし方のせいで地球の温度が上がっているわけではない、それは何百年ごとに起きる「気候変動」の一部である。そういう考え方である。</p>
<p>　ヨーロッパ諸国は、温暖化が起きているという前提のもとに、水路をつまらせ、海洋動物を苦しめ、生産から廃棄されるまでの過程で温室ガス排出の原因となっているプラスチックを禁止するなど、すでに環境政策に乗り出している。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>本の話 2</title>
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		<pubDate>Fri, 06 Sep 2019 06:00:44 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[31 　自分の書いた本を持って、いろんな場所を訪れる――そうすると、「本」を介したコミュニケーションのレイヤーが、「話をする」「対話をする」と、さらに広がっていく。 　昨年、初めて名古屋でイベントをした。名古屋は祖父が暮 [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>31</strong></p>
<p>　自分の書いた本を持って、いろんな場所を訪れる――そうすると、「本」を介したコミュニケーションのレイヤーが、「話をする」「対話をする」と、さらに広がっていく。</p>
<p>　昨年、初めて名古屋でイベントをした。名古屋は祖父が暮らしていた街で、子供の頃は第二のホームタウンだった。それなのに恥ずかしながら、それまで名古屋の書店さんとは縁がなかった。</p>
<p>　「名古屋でイベントをやりたい」とツイッターでつぶやくと、ライターの紫原明子さんがリプライをくれて、名古屋に「猫町倶楽部」という読書会があるということを教えてくれた。代表の山本多津也さんを紹介してもらい、私が参加しての読書会の開催が決まった。</p>
<p>　猫町倶楽部は、名古屋で2006年に始まった読書会で、月10本以上、各地でイベントを運営している。参加条件は、課題図書として選ばれる本を読むこと。参加費はかかるけれど、基本的に誰でも参加できるイベントだ。参加者全員が自分の本を読んで出席してくれるという、著者からすると夢のようなイベントだが、洋書を取り上げることもあるし、著者本人が必ずその場にいるわけではない。私にとって初めての名古屋でのイベントになった読書会では、これまで出た『ヒップな生活革命』『ピンヒールははかない』『My Little New York Times』の3冊の中から、参加者が一冊を選ぶ、というやり方で、約80人近くもの人が集まってくれた。</p>
<p>　会が始まる前に、山本さんと雑談をした。本業は住宅リフォーム業をやってらっしゃること、本業よりも猫町倶楽部の運営のほうが忙しいくらいであること、猫町倶楽部での出会いを通じて結婚する参加者も多いことなどを話してくれた。</p>
<p>　5〜6人ずつでひとつのテーブルを囲み、くじ引きでモデレーターを選び、それぞれのテーブルで最初の人が発言して、ディスカッションが始まった。ほとんどの人がリピーターなのか慣れた様子で、知らない者同士の会話が、本を媒介にスムーズに始まっていた。それぞれが本に付箋をしたり、特に気になった点や共感したこと、理解できなかったことなどを話したりしている。</p>
<p>　私は山本さんとともに、参加者たちが本についてディスカッションしている小さなテーブルをひとつずつまわり、質問に答えたり、感想を聞いたりしながら、その誰もが礼儀正しく、けれど活発に意見を交わし合うその光景に感銘を受けていた。今の日本で、知らない者同士が時間と場所を共有し、何かについて話し合ったり、感想を共有したりすることのできる場がどれだけあるだろうか？　本は双方向的なコミュニケーションのツールにもなりうるのだ、と実感した瞬間だった。</p>
<p>　これも昨年、東京のTORIBA COFFEEからポップアップをやらないかと声をかけられた。私が買い付けを担当する、というプロジェクトだった。</p>
<p>　長いあいだファッションやライフスタイルの世界に関わってきて、今、これだけ物が溢れる世の中で自分がバイヤーを務めるのだとしたら、手作りのものがいい、と思った。秋ということもあって、NY Art Book Fairで、リトルプレスのZINE（ジン）や印刷物を買ってくる、ということに決まった。のだが、企画のことを考えるうちに、自分でZINEを作りたくなった。</p>
<p>　ZINEといえば、私は中学生のときに初めて、たまたま手にした大量のわら半紙に絵や文字を描いて、音楽をテーマにした同人誌を作ったりしていたのだった。アメリカに渡ってからは、DIYカルチャーとのふれあいの中で再び、コピー機を使った少量印刷、あるいはアーティストが作る本の体裁のZINEと再会していた。そして2000年代に入って、アート本とZINEを専門に扱う非営利の本屋〈プリンテッド・マター〉が毎年開催するNY Art Book Fairを通じて、ZINE文化が開花する模様をつぶさに見ていたのだった。</p>
<p>　普通の古典的な出版社からは出せないようなものを作りたい。そう考えているときに、バケーションでバンコクを訪れた。そして、15年前のブルックリンを思い出させるような生々しいエネルギーに夢中になった。欧米を「#MeToo」が席巻している中、バンコクのジェンダー観や男女の性差に興味を持った。そこで、バンコクの男たち、そして女たちと話したり、彼ら、彼女らを観察したりして紀行文を2本書こうと決めた。カセットテープのようにA面・B面があり、両側から開くことのできる本を作ることにして、デザイナーの長島りかこさんにコラボレーションをお願いした。長島さんは、2色で彩られる2つの物語が本の真ん中で出会う、というデザインを考えてくれた。判型はこれまで出してきた単行本とほぼ同じ大きさだが、2つの文章と写真でページ数は68ページになった。印刷はリソグラフで、色が落ちるのを防ぐためにカバーに薄紙がかかっている。</p>
<p>　私はデザインのスキルは持ち合わせていないし、印刷や製本を自分でやる時間はなく、そこは印刷業者さんにお願いしているので、完全にハンドメイドとは言えない。だからズルをしている気持ちもなくはないが、これが今の自分なりのリトルプレスなのだ。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		</item>
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		<title>本の話</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Aug 2019 06:00:30 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[30 　ニューヨークでは、2008年に始まった金融危機の影響で、大型書店やミュージックストアがバタバタと店を閉めた。危機的状況が収まると同時に、インディペンデントの小ぶりな本屋やアナログレコードを扱うショップが多数生まれ [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>30</strong></p>
<p>　ニューヨークでは、2008年に始まった金融危機の影響で、大型書店やミュージックストアがバタバタと店を閉めた。危機的状況が収まると同時に、インディペンデントの小ぶりな本屋やアナログレコードを扱うショップが多数生まれた。それまで一般的だった店よりも周辺地域の住民の好みや嗜好に寄り添い、イベントを定期的に開催するなどしてコミュニティのハブとして機能するタイプの店だ――そういう話は、2014年に刊行した『ヒップな生活革命』以来、いろんなところで繰り返し書いてきた。</p>
<p>　「アメリカの消費文化の前線で、今、こういうことが起きている」という意図で書いた『ヒップな生活革命』が自分の想像以上に多くの人々の手に届いたことで、メディアからの取材を受けるようにもなった。</p>
<p>　本が出てすぐ受けた取材の中で、特に印象に残っている質問がひとつある。</p>
<p>「日本は消費カルチャーだから、このような『革命』は起きにくいのではないでしょうか？」</p>
<p>　そのとき、私は質問に対する答えを持たなかった。知らなかったのだ。</p>
<p>　どうなんでしょうねえ、と言いながら、少なくとも自分は消費カルチャーに疲れているし、うんざりしているなと思ったことだけを覚えている。</p>
<p>　本が出版されてしばらく経つと、地方都市の書店からトークイベントの誘いが舞い込むようになった。</p>
<p>　最初の招待は、大阪のスタンダードブックストア、福岡のブックスキューブリック、熊本の長崎書店から合同で同時にやってきた。日本国内を十分旅しないままアメリカに飛び出してしまった自分にとっては、うれしいオファーだった。</p>
<p>　初めての小さな「ブックツアー」なるものをやってみると、知らない場所を訪ねる方法として「イベントをやる」という行為はとても楽しいものだった。初めて会う店主を相手にトークしながら、来てくれるお客さんを観察する。質疑応答や二次会で、土地のコミュニティの話を聞いたり、行くべき場所を教えてもらったりする。土地の味を楽しみ、取材をする。イベントをするたびに、新たな出会いがあり、行きたい場所がさらに増えた。</p>
<p>　アメリカやニューヨークで起きている現象を観察して書いた自分の本が、そこから遠い離れた地方都市の人たちの手に取られて読まれる、ということ自体にいまひとつピンと来ないまま出た旅で、わかったことがいくつかあった。ひとつは、私の本をたくさん売ってくれた書店には、その客たちから圧倒的な信頼を寄せられる店主がいたということ。独自の視点と強いパーソナリティがあり、それぞれの土地で客たちと強固な関係性を持ち、コミュニティに本を介して人が集まることのできる場を提供しているのだった。彼らがいたからこそ、それまで本を出したことのない無名の自分の本を、自分の知らない土地の人が手に取ってくれたのだった。</p>
<p>　もうひとつは、本の登場人物たちと同じように、それぞれの土地、食や文化に関係した店をやっていたり、DIY的な活動やものづくりに従事している人たちが、実際に自分の本を手に取ってくれたのだということ。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		</item>
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		<title>沖縄の小さなものづくり</title>
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		<pubDate>Fri, 23 Aug 2019 07:10:45 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[29 　コーヒーやチョコレートの「サードウェーブ」的手法と共通する、「原資の調達から商品化まで責任を持ってやる」という考え方は、2008年の金融危機以降の消費者マインドのシフトや環境志向と相まって、その他多くの分野にも飛 [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>29</strong></p>
<p>　コーヒーやチョコレートの「サードウェーブ」的手法と共通する、「原資の調達から商品化まで責任を持ってやる」という考え方は、2008年の金融危機以降の消費者マインドのシフトや環境志向と相まって、その他多くの分野にも飛び火している。</p>
<p>　欧米では、大ブランドや大企業がサプライチェーンを吟味して、持続性や人権の遵守に反する商習慣を排除する、という方向に向かっている。その根底には、社会活動は、規模を拡大することでこそ、社会全体へのインパクトを最大限にすることができるという経済理念が根強くある。</p>
<p>　日本では、工程のすべて、または大半を自分の手でやろうとする小規模の作り手に出会うことが増えた。別の場所で修行をしたり経験を積んだりして、地元にUターンする人もいれば、震災以降、都会を離れて新天地でものづくりを追求している、という人もいた。</p>
<p>　そして、その出会いが多いのは沖縄だった。</p>
<p>　2015年に私は石垣島を訪れた。石垣島で藍植物を栽培して染め、商品の縫製までを一貫して行なっている農園があるとどこかで読んだからだった。</p>
<p>　八重山藍「ナンバンコマツナギ（南蛮駒繋）」の畑で出迎えてくれたのは、大濵豪さんだった。化学肥料や除草剤を使わない畑で栽培した藍植物から、沈殿藍と呼ばれる原料を作り、それを発酵させて染液を作り、綿や麻などの自然素材を染め、縫製して商品化する。大濱さんは、一度は離れた石垣島に戻り、何をやろうかと考えているときに、島の藍染めを知る染め手たちが消えてしまった状況を目の当たりにして、「島の藍を守りたい」と競売物件になっていた土地を購入し、藍の栽培を始めた。土壌を整え、藍を栽培し、発酵するというプロセスを、本土の藍染め技術も踏まえて手探りでトライアル＆エラーを繰り返し、自分の方法を編み出した。</p>
<p>　大濵さんが島藍農園と名付けた場所で、藍の染料、そして島に生息するフクギ（福木）の皮から取った染料を使って染められた布は、市内の工房で縫製され、「shimaai」というブランドのバッグやアクセサリーといった商品となって世の中に旅立っていく。藍のブルーとフクギの黄色と橙の中間色、帆布の白のストライプがトレードマークだ。</p>
<p>　大濵さんは、「藍染をやりたかった。商品を作るということは、それを成立させるための手段です」と言った。できればすべての工程を自分たちでやりたい、とも。だから現在、自分たちで織ることのできない布を使う以外は、できる工程はすべてやっているということだった。自分たちが管理する部分が多いほど、コスト管理もしやすい。外注の業者に工程を依頼したり、卸売の価格を付けたりすることが増えれば、価格は上がっていく。そうやって、消費者が商品に対して支払う価格と、自分たちの労力や稼ぎとのバランスを取っているのだなと思った。</p>
<p>　沖縄本島の名護では〈漆木工とけし〉の渡慶次弘幸・愛夫妻と知己を得た。輪島で修行し、漆器作りの技術を身に付けて沖縄に戻ってきたという2人は、名護の豊かな自然の中で、日常的に使える漆の道具や食器を作るチャレンジを始めた。弘幸さんが木工を担当し、愛さんが漆を塗る。</p>
<p>　木はなるべく近隣の木を使うことを心がけている。高温多湿の沖縄の気候は漆とは相性がいいが、土地の木は、漆器の道具として成立するための耐久性はいまひとつと言われる。弘幸さんは、その御しやすいとは言えない木に手をかけることで弱点を克服しようとしていた。「裏の川の水に浸けたり、外に長時間さらしたりして、木の反応を見ながら、漆器にすることができる木なのかを考える。実験的に木の様子を見るのが楽しいんです」と弘幸さんは教えてくれた。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>チョコレートから学ぶこと</title>
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		<pubDate>Fri, 16 Aug 2019 07:00:40 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[28 　「サードウェーブ・コーヒー」が生まれると、コーヒー豆の栽培方法やロースト方法へのこだわりを追求する人たちが、世界のさまざまな場所で、コーヒーの提供方法を多様化する「スペシャリティ・コーヒーショップ」をオープンした [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>28</strong></p>
<p>　「サードウェーブ・コーヒー」が生まれると、コーヒー豆の栽培方法やロースト方法へのこだわりを追求する人たちが、世界のさまざまな場所で、コーヒーの提供方法を多様化する「スペシャリティ・コーヒーショップ」をオープンした。そして、有機的な農法で栽培された作物を、フェア・トレードまたはダイレクト・トレードを通じて農家から購入し、自分たちのやり方で加工して商品を提供するというその精神は、他の分野にも飛び火した。</p>
<p>　そんな分野のひとつにチョコレートがある。近年、「ビーン・トゥ・バー」という言葉をよく耳にするようになった。チョコレートの原料であるカカオを、コーヒー豆の産地でもあるアフリカや中  南米、東南アジアの農家から購入し、 豆の選別から成形まで、自分たちの手でチョコレートに加工するという「ビーン・トゥ・バー」の手法は、それ自体、何も新しいものではない。19世紀に創業したカリフォルニアの〈ギタード・チョコレート・カンパニー〉のように、「ビーン・トゥ・バー」の定義に則った製法を行なう老舗は常に存在したが、2000年代後半から、シングル・オリジンの（ひとつの産地で作られた）カカオを、できるだけ少ない素材を使ってチョコレートにする少量生産の「ビーン・トゥ・バー」メーカーが登場し、アルティザン（職人）チョコレートのムーブメントが起きた。</p>
<p>　アメリカでは、2006年にブルックリンでチョコレートを作り始めた〈マスト・ブラザーズ〉、2010年にサンフランシスコで創業した〈ダンデライオン・チョコレート〉などが「ビーン・トゥ・バー」のコンセプトを世に知らしめた。ミルクやココア・バターなど、既存のチョコレートに使われてきた原材料を排除し、カカオと砂糖の組み合わせにこだわった、甘いだけではないグルメ系のチョコレートが、板チョコ10ドル前後という価格で店に並ぶようになった。</p>
<p>　こうやって生まれた新世代のチョコレート・ブームは一方で、ヒップなコミュニティから生まれた「クラフトメーカー」の成功によって、巧妙なマーケティング戦略の効力とそれにまつわる醜い部分をも露呈した。その代表格だった〈マスト・ブラザーズ〉がスキャンダルに見舞われたのである。</p>
<p>　「内戦時代スタイル」と呼ばれる長いヒゲをたくわえたリックとマイケルというマスト兄弟が、少量生産のアルティザン・チョコレート・ブランドとして始めた〈マスト・ブラザーズ〉は、初期の頃は、ちょうど開花しつつあったブルックリンのフリーマーケットで注目を浴び、洗練されたパッケージと兄弟のイメージも手伝って、新世代メーカーとして商品が高級グルメショップに並ぶようになった。ウィリアムズバーグにオープンして成功した店舗を2011年に拡大して、チョコレート工場を増築した。2014年には、アメリカ東海岸からボートに乗って出発し、ドミニカ共和国までカカオを取りに行くという旅を記録したビデオ作品をリリースし、これを拡散した。ところが2015年に食系のブロガー、フランク・クレイグが、〈マスト・ブラザーズ〉が少なくとも初期の頃、イタリアのチョコレートメーカーの商品を溶かして味を加工したものを自社の商品として売っていたという暴露記事を書いて大騒ぎになった。そのルックと高度に洗練されたマーケティング戦略に若干の違和感を感じていた私は、彼らを取材しなかったことに胸をなでおろしたものだ。</p>
<p>　それに対し〈マスト・ブラザーズ〉は、「（われわれは）初期の頃から『ビーン・トゥ・バー』の会社であり、今後もそうあり続ける」という記事を発表したものの、暴露記事に対する法的措置を取らなかったこともあって、信用を失った。彼らは今も営業を続けているが、こだわりを尽くしたオーセンティックなチョコレートメーカーというイメージはすっかり薄れた感がある。結局のところ、この一連の出来事は「アルティザン」「クラフト」といったタームがイメージ先行で具体的な定義や規制もなく、マーケティング戦略の一環として使われていたことを露呈する結果にもなった。</p>
<p>　〈マスト・ブラザーズ〉事件について世の中に出た記事を読んでいて私が気がついたのは、シングル・オリジンのカカオを、添加物を使わずにチョコレートという商品にまで仕上げることの難しさである。もしマスト兄弟が他者のチョコレートを使っていたとして、その理由は、こうした商品開発に苦労したことにあると推測された。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>コーヒーのこと</title>
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		<pubDate>Fri, 09 Aug 2019 06:00:16 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[27 　ブルックリンという場所に住んでいると、日々、口にするコーヒーの味にハッとする。うちから徒歩圏内に、いわゆる「サードウェーブ・コーヒー」の店が10軒近くあって、自転車に乗れば、ニューヨークの「サードウェーブ」の代表 [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>27</strong></p>
<p>　ブルックリンという場所に住んでいると、日々、口にするコーヒーの味にハッとする。うちから徒歩圏内に、いわゆる「サードウェーブ・コーヒー」の店が10軒近くあって、自転車に乗れば、ニューヨークの「サードウェーブ」の代表格〈カフェ・グランピー〉のロースタリーがある。15年前だったら考えられないことだ。</p>
<p>　アメリカでは、20世紀中盤までに一般家庭にコーヒーが普及した時代を「ファーストウェーブ」、北カリフォルニアに〈ピーツ・コーヒー＆ティー〉が登場した1960年代以降、ハワード・シュルツがスターバックスをアメリカに普及するまでの時期を「セカンドウェーブ」と呼ぶ。</p>
<p>「サードウェーブ」時代のコーヒーの特徴は、ロースト（焙煎）や淹れ方のバリエーション、中南米や東南アジア、アフリカといった原産国の労働環境や価格にコミットする「フェアトレード」、豆をブレンドせずにひとつの産地のものをそのままローストして出す「シングルオリジン」などにあると言われる。</p>
<p>　もともとあったチェーン系のコーヒー各社にくわえ、サイフォンや手淹れのインディペンデント系のコーヒーショップが多様だった日本にも、スターバックスが1996年に、そしてその後はサードウェーブ・コーヒーが進出して、飲めるコーヒーのタイプが多様化した。</p>
<p>　こうしたことは、自分がコーヒーショップを消費者として訪れたり、コーヒーについて書いたりするうちに学んだことだったが、去年、レクサスが発行する『BEYOND』という媒体の取材で沖縄を訪れたときに、私ははじめてコーヒーを摘むという体験をする機会に恵まれた。</p>
<p>　沖縄の那覇に、栄町市場という場所がある。終戦直後は闇市として栄えたもののその後は客足の低下に悩み、近年では移住者の開くバーや居酒屋やショップによって活気が戻った市場だ。そこには〈ポトフォト（potohoto）〉というコーヒーショップがあって、驚くほどおいしいコーヒーを飲むことができる。オーナーの山田哲史さんが長野から移住して開店した小さな店。これまでコーヒーの産地としてほとんど知られていなかった台湾の豆を使うなど、山田さんは新たな味を探求している。そんな山田さんの案内で沖縄本島でもコーヒー豆が穫れる場所があると知り、収穫の体験をさせてもらうことになった。</p>
<p>　山田さんについて行った先は、北部は名護のクックハルという施設。やんばる（北部の山林地域）の農作物の作り手と、農作物を必要とするメーカーを結びつける活動をしている。そこから車に乗って、中山コーヒー園を訪ねた。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>食をめぐる問題 3</title>
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		<pubDate>Fri, 19 Jul 2019 06:00:52 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[26 　自分が肉を食することをやめるという決断をする前は、菜食主義というものにどこかストイックなイメージを抱いていた。実際、私の周りに常に一定数存在したベジタリアンには、ヨガやスピリチュアリティの鍛錬にストイックに精を出 [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>26</strong></p>
<p>　自分が肉を食することをやめるという決断をする前は、菜食主義というものにどこかストイックなイメージを抱いていた。実際、私の周りに常に一定数存在したベジタリアンには、ヨガやスピリチュアリティの鍛錬にストイックに精を出すタイプの人たちが多かったし、彼らに付き合って「ベジタリアンのための店」を訪れるたびに、どこか味気ない気持ちを抱いていたのも事実だった。近年アメリカでは「ベジタリアン向け」でない一般的なレストランでも、ベジタリアンやビーガンたちに対応したメニューを出すところが増えたこともあって、彼らと一緒に食事をするにも、普通のイタリアンやニューアメリカンのレストランに行くことが増えていたのである。</p>
<p>　ところが自分が肉食と決別してニューヨークを見回してみると、「プラント・ベース（植物性の食材オンリー）」の店がいつの間にか増えていた。菜食やビーガンの人たちのために作られたGPSベースの地図アプリ〈ハッピー・カウ〉をダウンロードしてみると、旧世代のベジタリアンの店が野菜や穀物だけ、あるいは大豆ミートを出す店に偏っていたのに比べ、近年になってオープンした店は、見た目もこれまでの菜食主義の店とは一線を画す楽しげなムードをたたえているし、ただストイックに野菜や穀物を出すだけでなく、ベジタリアンでない客にもアピールする創意工夫をしていた。</p>
<p>　たとえばニューヨークには、常に店の前に行列ができる「スペリオリティ・バーガー」という、2015年に開店したハンバーガー屋がある 。そもそもバーガーのために並ぶという習慣を持たない自分は、ただのバーガーの店かと思っていたのだが、ここは野菜をふんだんに使ったコロッケのようなものをパテのように焼く人気店なのであった。チャイナタウンの端には「ジャジャジャ・プランタス・メキシカーナ」というメキシコ料理店が2017年にオープンして、またたく間に人気店に成長した。イーストビレッジには乳製品を使わないピザの店「ダブル・ゼロ」が登場して、一見高級なムードの中でイタリアンの新解釈を披露している。</p>
<p>　他にも、牛のミルクを使ったチーズを嫌う人のために、チーズを作るのと似た工程でカシュー・ナッツを発酵させて作った「チーズ」を出す「ドクター・カウ」という店が、ブルックリンのウィリアムズバーグにできた。最近のコーヒーショップでは、牛乳の代わりになる「ノン・デアリー（非乳製品）」ミルクの選択肢を、オーツ・ミルク、カシュー・ミルク、ヘンプ・ミルク、マカデミア・ミルクなどに広げるところが増えている。動物性の食材をやめたい、減らしたいという人たちのための選択肢がどんどん多様になっているのだ。</p>
<p>　私自身、ヴィーガニズムを実践する数カ月間、こうした新世代の菜食主義の店のおかげで、ストイックどころか、楽しい食生活を送ることができた。体調はぐんぐん良くなり、自分のそれまでの食生活がどれだけ自分の体に合っていなかったかを実感することになった。</p>
<p>　ところが日本に帰国した途端に厳しい現実に晒されることになった。和食店で出汁（だし）に魚が使われていないメニューを見つけるのは難しいということは聞き知ってはいたが、日本では、肉を食べない選択をする人が存在するということはほとんど考慮されていない。「高菜チャーハン」を注文し、メニューはそう書いていないのにひき肉が入っていたこともあった。〈ハッピー・カウ〉を日本で開いてみるとベジタリアンの店の絶対数は圧倒的に少なく、しかもやはりニューヨークの「旧世代ベジタリアン」の店に似通ったストイックさがあって、菜食でない友人たちを連れて行くのが申し訳なくなることも多々あった。精進料理という素晴らしい伝統はあるが、毎日食べるわけにもいかない。日本にいることも多い私は結局、ビーガンを続けることをあっさりと諦め、「魚は食べる」ペスカテリアンに転向することになった。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>食をめぐる問題 2</title>
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		<pubDate>Fri, 12 Jul 2019 02:00:53 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[25 （前回からの続き） 　この10年ほどのあいだに「オーガニック（有機）」がバズワードになる一方で、農業の世界では、「サステイナブル（持続可能）」という概念だけでは、いま地球が直面する問題には対応できない、という考え方 [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>25</strong></p>
<p>（前回からの続き）</p>
<p>　この10年ほどのあいだに「オーガニック（有機）」がバズワードになる一方で、農業の世界では、「サステイナブル（持続可能）」という概念だけでは、いま地球が直面する問題には対応できない、という考え方が登場した。気候変動や環境汚染によって農耕地が失われる「土壌喪失」が、これまでのアプローチでは追いつかない速度で広がっているからだ。</p>
<p>　そこで今注目されているのが「regenerative（リジェネレイティブ／再生可能な）」農業というものである。より広い見地から環境を見直しながら殺虫剤の使用を減らす（総合的有害生物管理、略称IPM）、複数の農作物を輪作して土壌改善を図る、人工的な農薬の替わりに有機的な農薬を使って生物の多様性を促進するなど、土壌の健康度を改善することに重きを置いた考え方である。こうした観点から農業を行なうことで、土壌だけでなく周辺環境の再生をも目標とするが、この考え方が広まりつつあること自体が、急速に農耕地が減少する現実を前に、「持続可能」という概念では追いつけないという状況の深刻さを物語る。</p>
<p>　少し話は逸れるけれど、私は2年ほど前に肉を食べるのをやめた。だんだん歳を取ってきて、肉を食べたあとに体が重いと感じていたうえに、ドキュメンタリー映画『健康って何？』（原題：What the Health）を見て気持ちが悪くなり、食べられなくなってしまったのだ。本作を撮ったアクティビスト系映画作家キップ・アンダーソンは、肉を食することが人間の健康に与える作用と食肉産業が環境に与える影響を憂う、菜食主義者であり環境主義者である。食肉にされる動物たちが非人道的な方法で飼育されていること、見かけをよくするために肉や魚に対するホルモン注射が横行していること、アメリカにおいて肉食が糖尿病や心臓病といった深刻な成人病の増加につながっていることを示すために、ショッキングな映像をこれでもかこれでもかと積み重ねていく。さらには食肉業界が政治や医療の世界とどうつながってその規模を維持しているか、その構造を暴く作品でもある。結論ありきの映画だとわかってはいたが、見終わる頃には「肉も魚も、もう無理」という状態になっていた。</p>
<p>　我ながら少しばかりエクストリームな反応ではあるが、その映画を見てから数カ月のあいだ、動物性の食べ物をいっさい食べなかった。偶発的にヴィーガニズムというものに足を踏み入れることになったのである。ところがやめてみると、自分の体に肉というものが向いていなかったのだ、と思うほど調子がよくなった。体がすっかり軽くなり、朝の目覚めも快調になった。それまで体験したことのない感覚だった。</p>
<p>　結局のところ、その数カ月でヴィーガニズムはお休みし、牛、豚、鶏などの肉は食べないけれど、魚介は食べる「ペスカテリアニズム」に転向したのだが、その過程でいろいろなことを学んだ。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>食をめぐる問題</title>
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		<pubDate>Fri, 05 Jul 2019 08:00:32 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[24 　アメリカの食事は、この10〜15年ほどで驚くほどおいしくなった。2000年代にブルックリンやポートランド、サンフランシスコに開花したフードカルチャーについては『ヒップな生活革命』に詳しく書いたが、70年代にアメリ [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>24</strong></p>
<p>　アメリカの食事は、この10〜15年ほどで驚くほどおいしくなった。2000年代にブルックリンやポートランド、サンフランシスコに開花したフードカルチャーについては『ヒップな生活革命』に詳しく書いたが、70年代にアメリカに登場したファーマーズ・マーケットが再び盛り上がり数を増やし、100マイル（約160km）以内で栽培された穀物や野菜を食べるムーブメント、ローカヴォアが生まれた。レストランのメニューに「Locally grown and sourced（地元で栽培・調達された）との文言を見ることが当たり前になった。自分の生活圏の近くで作られた食料を食べることで、地元の経済をサポートすることができるだけでなく、輸送などの環境コストがかからないし、何より自分の口に入れるものの出どころがはっきりしている、といった利点があるのだと謳われた。ニューヨークでは、2000年代に生まれた、都会のビルの屋上や公園で農業を行なう「アーバン・ファーム」がどんどん増えている。</p>
<p>　農薬などを使わずに有機的な方法で作られた野菜はおいしい。放牧で育った動物の肉はおいしい。熟れたものだけを丁寧に手摘みで穫った豆をローストしたコーヒーはおいしい。旬の物を、最上のタイミングで食するのが一番おいしい。そんなふうにアメリカ人は、オーガニックや地産地消に夢中になった。2013年に380億ドルだった全米のオーガニックの食市場の規模は、2018年には30％も増えて、500億ドルを超えた。</p>
<p>　けれど、オーガニックや地産地消が盛り上がった理由は「おいしい」だけではない。United States Public Interest Research Group（USPIRG）が発表した調査によると、2013年から2018年にかけて食のリコール（回収）は10％を超えた。食のリコールといえばこれまで鶏肉や牛肉などの食肉が中心だったが、近年のリコールはアヴォカド、チーズ、スイーツなど、生鮮食品、缶詰、プロセスフードにまで幅が広がった感がある。大手食企業が生産しスーパーなどに広く流通する食べ物に対する信頼感が低下しているのはこのせいだ。</p>
<p>　また、医療費が高騰し、医療にアクセスするハードルがどんどん上がっているアメリカでは、グルメブームとともに健康／ウェルネスブームが盛り上がり、一大産業化している。特に、より予防的なアプローチを取るウェルネスへの意識が高まったことも手伝って、消費者たちのオーガニックやサステイナブルへの欲求は見過ごせないレベルになった。こうした動きは大企業にも波及し、マクドナルドやウォルマートといった、これまで「安い、早い」を最優先にビジネスを営んできた大手の食・小売企業ですら、オーガニック、ヘルシー、ケージフリー（籠や柵を使わない平飼い・放し飼い）といったコンセプトを取り入れるようになった。そして2017年には、オーガニック食品で全国区のチェーンに成長したホールフーズ・マーケットをアマゾンが買収した。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>こんな時代の「いい会社」</title>
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		<pubDate>Sat, 29 Jun 2019 00:00:15 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[23 　これまで書いてきたような動きを見て、アメリカの企業カルチャーが変貌しつつあるのを感じている。 　これまで、上場企業というものは、株主たちに還元する利益で評価されてきた。だからこそ、伝統的に政治からは距離を置き、と [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>23</strong></p>
<p>　これまで書いてきたような動きを見て、アメリカの企業カルチャーが変貌しつつあるのを感じている。</p>
<p>　これまで、上場企業というものは、株主たちに還元する利益で評価されてきた。だからこそ、伝統的に政治からは距離を置き、ときには労働者を搾取したり、消費者を騙したりしても、右肩あがりの成長を目指すことが奨励されてきたのである。2000年代に企業の社会責任（CSR）という概念が登場・普及して、利益を追求すること以外の社会活動が企業に対するプラスアルファの評価軸として加わった。そして今、企業に求められることはさらに大きくなっている。</p>
<p>　現在アメリカでは、高スキル職から低スキル職まで、幅広い分野や職種で雇用成長が続き、労働者を確保する競争が激しくなっている。人手不足は深刻で、巨大スーパーチェーンのターゲットやコストコなど、必要な人員を確保するために賃金を上げる企業も出始めた。そしてミレニアルは、最大の労働者ブロックでもある。ミレニアルの優秀な人材を確保するためにも、企業は「いい会社」を目指す必要があるのだ。</p>
<p>　私はよく会社を訪問する。インタビュー、企業のプロフィール記事、ミーティング、視察と、仕事の目的も訪問先の規模も様々だけれど、世の中の最先端を行く企業のオフィスを見せてもらうチャンスが多い。ニューヨークのメディアやアパレル企業からシリコンバレーのスタートアップまで、「最先端の会社」を頻繁に訪問する中で、現代の人々が考える「いい会社」の形が浮き彫りになる。</p>
<p>　いま勢いのある企業は、従業員を大切にしているか、福祉厚生は充実しているか、環境保護のためにどんな努力をしているか、社会責任をどう果たしているか、LGBTQや人種マイノリティのために何をしているかなどを（対外的に？）アピールする。社員の幸福度が生産性に直接影響があるという考えが浸透しているのだ。だから社員の満足度を優先事項のひとつとする。社員が日光や外気に触れやすい環境を整えたり、働くスペースのオプションを複数用意したりする。勤務体系を柔軟にし、個々の家庭環境に配慮する。従業員の健康状態、メンタルヘルスの向上を促進するためのインフラを整備する。グループエクササイズをはじめ、社内の団結力を強めるプログラムを採用し、組織内の社交を奨励する。ラディカルな会社の中には、社員に勤務時間の報告をやめさせたところすらある。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>アクティビストCEOって何のこと？</title>
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		<pubDate>Fri, 21 Jun 2019 03:00:13 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[22 　トランプ時代になって、企業が政治的スタンスを表明することが増えてきたと前回書いたが、この流れに付随して最近よく耳にするようになった言葉に「アクティビストCEO」というものがある。政治的・社会的なスタンスを明確にす [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>22</strong></p>
<p>　トランプ時代になって、企業が政治的スタンスを表明することが増えてきたと前回書いたが、この流れに付随して最近よく耳にするようになった言葉に「アクティビストCEO」というものがある。政治的・社会的なスタンスを明確にする経営陣のトップが増えていることから登場した言葉だ。</p>
<p>　アメリカの経済界は従来、政治的立場を表明することを避ける傾向があった。そこには、企業が優先すべきは株主の利益であるという考え方が理由としてあったし、政治的立場が違う、または中立の消費者を遠ざけるリスクを避けたいという意図もあっただろう。企業の社会的責任を果たすためには、税金対策の意味合いをも持つ財団や基金が存在したし、政治家に影響力を及ぼすためには、ロビイストを雇う、政治家に献金するなどの手段があった。</p>
<p>「アクティビストCEO」のパイオニアといえば、パタゴニアのイヴォン・シュイナードだ。パタゴニアを1973年に創業して以来、「アクティビズム・カンパニー」を自認し、顧客に対して環境問題についての啓蒙活動を重ねてきた。2011年の年末商戦にはあえて「このフリースを買わないでください」という広告キャンペーンを行ない、消費主義への警鐘を鳴らした。最近では、フリースの洗濯による水質汚染について自ら行なった調査結果を発表したり、洗濯用のネットを販売し始めたりと、独自の環境対策を打ち続ける一方で、昨年、オバマ前大統領がユタ州のネイティブ・アメリカン居留区の中に国土保全のために 制定したベアーズ・イヤーズ・ナショナル・モニュメントをトランプ政権が縮小すると発表した際には、真っ先に政府を訴えるなど、ますます政治的なエンゲージメントを強めている。また同時にパタゴニアは、トランプ政権の方針を支援したユタ州への抗議として、これまで州都ソルトレイクシティで行なわれてきた世界のアウトドア業界が集結するトレードショー〈アウトドア・リテーラー〉をボイコットすることを発表し、これを受けて〈アウトドア・リテーラー〉はコロラドに移転した。</p>
<p>　企業のトップがこうしたアクティビズムに関与することは、これまではパタゴニアに代表されるような一部のプログレッシブ企業に限定されるものだったが、より一層分断が進むアメリカでは、シュイナード氏に続く企業トップが増えてきた。ゲイであることを明らかにしているアップルのティム・クックCEOがLGBTQの、フェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOが女性の権利拡大運動にそれぞれコミットしていることもその一例である。また、保守の支持基盤であるノースキャロライナ州が市民に「出生届けに記された性別に従ったトイレを使用すること」を義務付ける州法を施行した際、それまで特に保守的だと思われてきた金融業界から、バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOやペイパルのダン・シュルマンCEOなどが同州での事業計画を変更する措置を取ったことも、旧来の経済界の慣習と袂を分かつ決断としてニュースになった。</p>
<p>　アメリカの所得分布を見てみると、赤い色で示される共和党の支持基盤の州よりも、青色で表現される民主党の支持基盤の州のほうが所得が高い。また世代的に見ても、これからの消費を支えるミレニアルより若い層においては、民主党の支持率が圧倒的に高い。そのため、こうした企業文化の政治・社会的シフトを単なる「マーケティング戦略」と呼ぶ声もあるが、実はそこまで単純な話でもない。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>トランプ時代の企業のあり方</title>
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		<pubDate>Fri, 14 Jun 2019 02:00:39 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[21 　2016年のアメリカ大統領選挙で、経営者でリアリティ番組スターのドナルド・トランプが大統領に選出されたことはアメリカで大きなショックを巻き起こした。その背景や理由を解説し始めるとキリがないが、ニューヨークやカリフ [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>21</strong></p>
<p>　2016年のアメリカ大統領選挙で、経営者でリアリティ番組スターのドナルド・トランプが大統領に選出されたことはアメリカで大きなショックを巻き起こした。その背景や理由を解説し始めるとキリがないが、ニューヨークやカリフォルニアのプログレッシブな有権者たちにとっては、移民、女性、人種マイノリティ、性的マイノリティ（LGBTQ）の権利拡大に反対する、共和党の支持基盤の中でもウルトラ保守と言ってもいい層に支持された候補が大統領になった、という事実が、新たな現実と課題を作り出したのである。</p>
<p>　大統領選挙が終わったそばから、ミレニアルたちの社会運動は急激に活発になった。</p>
<p>　印象深いエピソードがひとつある。トランプ大統領は、2017年に就任してすぐ、一部のイスラム教国のパスポートを持つ人々の入国を制限するという方策に出た。この政策が発表されたニューヨークではすぐに、都市の玄関として機能するジョン・F・ケネディ空港でデモが始まり、タクシー運転手たちが同空港への乗り入れを拒否するボイコット運動を始めた。すると同じタイミングで、タクシー配車サービスアプリのウーバーが、ケネディ空港に乗り入れる車の料金のディスカウントを発表した。ウーバーはこのタイミングについて偶然だと主張したが、ウーバーに対するアプリ削除というボイコットが始まった。</p>
<p>　これを受けてニューヨークでは、ウーバーの次に市場シェアを持つ競合アプリのリフト（Lyft）が、入国制限政策に反対する訴訟を起した人権団体「アメリカ自由人権協会（American Civil Liberties Union）」へ100万ドルを寄付したことを明らかにして、ウーバーをボイコットしたユーザーたちがリフトに殺到した。ところがすぐに、リフトの大型株主の一人が、トランプに多額の寄付をしてアドバイザーも務めた投資家カール・アイカーンだということが報じられた。そしてさらには、ドライバーが支払うコミッションをウーバーやリフトよりも10％ほど低く設定するJuno（ジュノ）という会社の存在が、ウーバーもリフトも使いたくない消費者たちの受け皿としてクローズアップされた。</p>
<p>　ジュノはウーバー、リフトと同様のタクシー配車アプリではあるが、 コミッションを低く設定することでドライバーの取り分を多くするだけでなく、ドライバーたちが株式の一部を持てる仕組みも整備したソーシャル・エンタープライズ（社会企業）を目指して2016年に創業した。大企業が利益をあげるために労働者が搾取されるのではなく、企業が利益を上げれば、その分が労働者に還元されるという考え方に基づいている。これについてはまた後日、詳しく書きたいと思う。</p>
<p>　余談になるが、ジュノは結局2017年にイスラエルの配車アプリ、ゲット（Gett）に買収され、株式供与プログラムは廃止されてしまった。けれどジュノのアプリは今も運用されており、ドライバーのコミッションは他社よりも高く設定されている。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>ミレニアルとプラットフォーム・エコノミー</title>
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		<pubDate>Fri, 07 Jun 2019 07:00:56 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[20 　アマゾンによるニューヨーク第二本部開設計画が、ミレニアルを中心とした若い世代がリードした運動によって中止という結末になったことは前回書いた。この事象は、アメリカのみならず世界でいま最大の消費者ブロックに成長したミ [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>20</strong></p>
<p>　アマゾンによるニューヨーク第二本部開設計画が、ミレニアルを中心とした若い世代がリードした運動によって中止という結末になったことは前回書いた。この事象は、アメリカのみならず世界でいま最大の消費者ブロックに成長したミレニアルたちの世代特性と多いに関係がある。</p>
<p>　1980年から2000年のあいだに生まれた「ミレニアル」は、アメリカだけでも9200万人と言われ、アメリカ最大の人口ブロックに成長した。コンピュータやスマートフォンが当たり前に存在する時代に育ち、オンラインショッピングに抵抗がない一方で、ブランドよりも実質を、所有することよりも「シェアリング」を求める。既存メディアの評価よりもユーザーのレビューを信用し、自分がお金を使う企業に対し、社会的責任を果たすことや、サステイナブルな商習慣を実践することを要求する。そして、前の世代よりも、人とのつながりやコミュニティ活動を大切にし、社会運動に積極的に参加し、社会の変革を信じている――これが、多くの消費行動の調査を通じて浮き彫りになっているミレニアル世代の特性である。</p>
<p>　こうした特性を持つミレニアルたちが今、彼らを購買層として取り込もうとする企業の商習慣をシフトさせている。たとえば大企業のユニリーバが、大手ケチャップメーカーのクラフト・ハインツからの買収を免れたあとに、ニューヨークでミレニアルが始めたケチャップブランド〈サー・ケンジントン〉を買収したり、ネスレが、ハンドドリップのコーヒーで成長したサンフランシスコ発の〈ブルーボトル・コーヒー〉を買収したのも、こうした「ミレニアル対策」の一環と言っていい。</p>
<p>　同時にミレニアル世代は、かつて1970年代にベビーブーマーたちの別名として使われた「ミー（自分）世代」という言葉を発展させて「ミー・ミー・ミー世代」などとも言われる。ソーシャルメディアとともに育った彼らはSNSを中心とする自己発信を得意とし、自己実現に重きを置く。それが裏を返せば自己中心的、ナルシスト的と言われたりもする。</p>
<p>　そんな彼らの自己表現が、フェイスブック、インスタグラム、ユーチューブといったプラットフォームの普及を推し進め、インフルエンサーと呼ばれる、ネット社会で手にした影響力をキャピタルに変える人種を生み出した。また、企業に対する帰属意識が薄く、フルタイムの仕事に就業するより、単発の契約仕事に従事するフリーランスのライフスタイルを好むミレニアルたちによって、単発の仕事を指す言葉「ギグ・エコノミー」が登場した（第16回・「<a href="https://newsphere.jp/series/wear-your-values/20190426-2/">高級化とその後</a>」参照）。</p>
<p>「ギグ・エコノミー」には、ほぼ同義の言葉として「プラットフォーム・エコノミー」という概念がある。ソーシャルメディアや、アマゾン、グーグルといった「プラットフォーム」が、フリーランス人口による発信を助けるツールになったからだ。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>アマゾンの話 ２</title>
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		<pubDate>Fri, 31 May 2019 02:00:37 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[19 　アマゾンが2018年12月に発表したニューヨーク進出計画には、いくつかの柱があった。まず、第二本部の建設地に選んだと発表したのは、ロングアイランドシティと呼ばれる、ニューヨーク市の中でもクイーンズ最南のエリアで、 [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>19</strong></p>
<p>　アマゾンが2018年12月に発表したニューヨーク進出計画には、いくつかの柱があった。まず、第二本部の建設地に選んだと発表したのは、ロングアイランドシティと呼ばれる、ニューヨーク市の中でもクイーンズ最南のエリアで、私が暮らすブルックリンのグリーンポイントからプラスキ橋を渡ってすぐの地域である。かつてはインダストリアルな地域だったが、ゾーニングが変わって住宅の建設が許可され、今は新築高層コンドミニアムがどんどん建つようになった。ニューヨークでは近年、「ミドルクラスが暮らせない街」になりつつあるとの危機感が広がっている。だからこそ、アマゾンがやって来るとの報にうんざりする空気が漂ったわけである。</p>
<p>　もうひとつの柱は、約2万5000人の新規雇用だった。アマゾンは「平均15万ドルの年俸」に言及したが、その一方で、これまで同社が倉庫で働くスタッフに最低賃金程度の給与しか払ってこなかったこと、労働組合運動を妨害・圧迫してきたことなどが報じられた。失業率が全米の平均より低いニューヨークで、そもそもこの雇用創出が必要なのかという声も上がった。</p>
<p>　こうした情勢に対する、ニューヨークのコミュニティグループや運動家たちの行動は早かった。アンドリュー・クオモ知事とビル・デブラシオ市長だけが知っていたと思われる誘致計画に反発した、ニューヨーク選出のアレクサンドラ・オカシオ＝コルテス下院議員、そして市議会の一部議員たちや労働運動団体などが参加して、すぐにロングアイランドシティでアマゾンにノーを突きつけるための集会が組織された。また、誘致計画発表直後から地下鉄の構内やストリートで「No to Amazon（アマゾンにノー）」の署名運動が実施されたし、アマゾンのプライム・メンバーシップをキャンセルしようとの運動も盛り上がった。その過程で、アマゾン・プライムの無料発送のために運送業者が圧迫されていること、また、メンバーシップを持つことがアマゾンのやり方を黙認していることになってしまうとの啓蒙活動が進んだ。</p>
<p>　ニューヨーク市への進出の発表まで、市議会議員たちと水面下で交渉を繰り返していたとされるアマゾンだが、もっともプログレッシブな議員たちはアマゾンの代表との会合を拒否し、公聴会の開催を主張した。ニューヨーク代表たちの要求に応えるかたちでアマゾンの代表が結局出席しての公聴会が開催されたときには、多数のアクティビストたちが「No to Amazon」のバナーを議場に掲げた。</p>
<p>　普段こうした公共の場に登場することのめったにないアマゾンだが、代表して公聴会に出席した役員のブライアン・ヒュースマン氏は、左派の議員たちの厳しい質問を受けて、当惑したように「私たちは招待されてニューヨークにやって来たのです」と発言した。が、それでもニューヨーク市民を納得させることはできなかった。その後は、市長や知事がアマゾンを引き留めるために交渉を続けたというが、結局のところ、アマゾンは最初の発表から約2カ月後の2019年2月に、ニューヨーク進出計画を撤回した。</p>
<p>　このニュースに、ニューヨークのプログレッシブな運動家たちは沸きに沸いた。アマゾンの誘致を望んだ支持派たちには「雇用の喪失」と表現する向きもあったが、ニューヨーカーたちはアマゾン進出の中止をおおむねポジティブに受け止めたように見えた。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>アマゾンの話</title>
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		<pubDate>Fri, 24 May 2019 02:00:35 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[18 　少し話は前後するけれど、ドナルド・トランプが大統領選挙に勝利した2016年11月、各ソーシャルメディアに「スリーピング・ジャイアンツ」というアカウントが登場した。トランプ大統領を支持し、ナショナリズムの台頭を煽っ [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>18</strong></p>
<p>　少し話は前後するけれど、ドナルド・トランプが大統領選挙に勝利した2016年11月、各ソーシャルメディアに「スリーピング・ジャイアンツ」というアカウントが登場した。トランプ大統領を支持し、ナショナリズムの台頭を煽った極右のニュースサイト、ブライトバートに広告を出す企業にプレッシャーをかけるために、市民の拡散力を利用した、ソーシャルメディア・アクティビズムのアカウントである。</p>
<p>　あっという間に万単位のフォロワーを持つアカウントに成長したスリーピング・ジャイアンツは、ネイティブアドの広告を購入し、知ってか知らずか結果的に極右サイトにバナーを出している企業に、「あなたの企業のバナーが極右サイトに出ているのを知っていますか？」と声をかけていく。それが市民たちによって拡散されて、企業が対応を強いられる、という構図によって、何百社という企業のブライトバートへの出稿停止を実現した。</p>
<p>　スリーピング・ジャイアンツがターゲットとした企業の中にアマゾンがあった。スリーピング・ジャイアンツは、アマゾンの利用者たちを巻き込んでキャンペーンを実施し、アマゾンの社内からも、ブライトバートへの出稿に反対する有志たちが経営陣に手紙を出す事態に発展した。それでもジェフ・ベソス以下アマゾンの経営陣はどこ吹く風で無視を決め込んだ。 ジェフ・ベソスは出稿先の主義主張は厭わない方針のようだ。</p>
<p>　前回書いたように、私は隣人で黒人のマーヴィンの「使わない宣言」に感化されて、アマゾンで物を買わなくなった。また、まわりを見回してみると、「使わない」と口に出す人がポツポツと出てきた。それでも全体的にいえばこういうタイプは例外的な少数派で、多くの人がアマゾンの功罪に無頓着なことを、運送業者が路上で抱える箱のロゴや自分が暮らすビルの玄関に届く大量の荷物に感じ取っていた。クリックすれば次の日には商品が届く、その便利さにみんなが慣れきってしまって、いまさらアマゾンのない生活には戻れないのだろうとぼんやり思っていたのだ。</p>
<p>　そんな今年の春、アマゾンが、かねてから計画していたシアトル本部の次の第二本部をニューヨークに作る、という発表があった。アマゾンは昨年、第二本部建設計画の発表とともに、100万人以上の都市であること 、公共交通機関が充実していること、国際空港があることなどを条件に、全米の都市に立候補を呼びかけていた。アマゾンの第二の拠点がもたらす雇用に期待を寄せた自治体は少なくなかった。デンバー、ミネアポリス、オースティン、デトロイト――200以上の中堅都市が名乗りを上げ、地方政治家たちがこぞってアマゾンにインセンティブを差し出した。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>自分の街の話</title>
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		<pubDate>Fri, 10 May 2019 05:00:06 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[17 　私の暮らすブルックリンのグリーンポイントのことを少し書きたい。ブルックリンの北端のエリアで、ポーランドからやって来た移民の子孫、ヒスパニックやアフリカ人などが暮らすワーキングクラス中心の地域だったが、1990年代 [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>17</strong></p>
<p>　私の暮らすブルックリンのグリーンポイントのことを少し書きたい。ブルックリンの北端のエリアで、ポーランドからやって来た移民の子孫、ヒスパニックやアフリカ人などが暮らすワーキングクラス中心の地域だったが、1990年代以降、このあたりにスタジオを構えるアーティストやクリエイティブ層が増えた。家賃や安かったことにくわえ、潤沢なスペースがあったからである。</p>
<p>　2000年代に入ってニューヨーク市による区画規制が緩和され、それまで工業指定地区だったエリアに住宅を建てられるようになったことから、ウィリアムズバーグに近い位置関係もあって、再開発が進んだ。とはいえ、マンハッタンに直接行ける公共の交通機関がないこともあって、ウィリアムズバーグで起きたほど極端な高級化は起きなかった。コンドミニアムに改築されたりデベロッパーに売られたビルも多い一方で、大手企業の進出は意外に少ない。私が住むのはグリーンポイントの中でもさらに北端で、特に移民と個人商店の多い側である。うちから直近のスターバックスは家を出て4ブロック歩いたところにあるけれど、たどり着く前にインディペンデントのコーヒーショップを5軒通り過ぎる。大手のスーパーに行くよりも、チベット人が経営するヘルス系食料品店で生鮮食品を買うほうが便利である。このあたりでまともな食を出すレストランは、だいたいこの辺に暮らす人たちが経営する店だし、いちばん近い薬局もポーランド人が代々やっている店だ。</p>
<p>「絶対に大手は嫌いです」と言うつもりもないのだが、銀行やガソリンスタンドを除けば、大手企業の直営店やフランチャイズ店に頼らなくても生きていけてしまうのだ。それに、個人商店がいきいきと営業するエリアで展開するチェーン店はどうしても荒みがちだ。スーパーにしても、ファストフード店にしても、いまひとつ地元の住民に愛されていないから、良いムードにはならない。</p>
<p>　徒歩圏内に、本屋が2軒ある。うちひとつは、2年ほど前にできた食関係の本専門の〈アルケストラトス〉だ。サンドイッチを出すカフェを併設していて、定期的にディナーのイベントを開催している。この何年かのあいだに、5軒以上のレコード屋もオープンした。ストーナーメタルの聖地と言われるライブハウス〈セント・ヴァイタス〉があって、地元のベテラン・ミュージシャン（ときには有名な顔を見ることもある）たちがカジュアルに実験的な演奏を行なうバー〈トゥルースト〉がある。インターネットで音楽をストリーミングする〈ザ・ロット・レディオ〉の庭では、ビールを飲みながら、世界中からやって来る有名無名のDJセットを聴くことができる。グリーンポイントの住民たちは高級化について文句を言うのが好きだ。けれども、周りを見回してみると、「珠玉」と言えるようなインディーの店がたくさんある。やっぱり幸せなエリアなのだと思う。</p>
<p>　そんな場所だから、「地元経済を大切にしよう」というスローガンが至るところに書かれている。多くの人が当然のこととして大手より独立系の店で買い物をし、リサイクルバッグやリユーザブルのカップを持っている。すでに絶滅種と呼んでもいいようなジャンクストアで他人のガラクタが売られ、他人の手に渡っては再び使われる。ニューヨーク市が開始を検討しているコンポスト（生ゴミ回収）プロジェクトのベータ版の指定地域になったので、ここの住民たちは生ゴミをストリートに置かれたゴミ箱にせっせと運ぶ。環境主義者だと雄弁に物語るバンパーステッカーが貼られた車をよく見かける。ゴミや汚染に貢献しながら都会に住んでいることの「罪」が、コミュニティに共有されているのだ。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>高級化とその後</title>
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		<pubDate>Fri, 26 Apr 2019 05:00:19 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[16 　今ではすっかり高級住宅街化してしまったウィリアムズバーグには、かつてアーティストやミュージシャンが共同で運営するアーティストスペースが多数あった。「コワーキング」などという言葉が登場して商業化する、ずっと前のこと [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>16</strong></p>
<p>　今ではすっかり高級住宅街化してしまったウィリアムズバーグには、かつてアーティストやミュージシャンが共同で運営するアーティストスペースが多数あった。「コワーキング」などという言葉が登場して商業化する、ずっと前のことだ。ジェントリフィケーションによって、こういう場所の多くはどんどんオフィスや住宅に改築されていった。スペースというものに高い値段が付くニューヨークで、個が活動することは金銭的に不可能になるのだ、と暗い気持ちを抱いた。</p>
<p>　ところが、2010年代に入ってスペースのタイプが多様化した。個人が借りることのできる最低限のスペースが小さくなった。</p>
<p>　リーマン・ショックの副産物のひとつに、「ギグ・エコノミー」と呼ばれる経済形態がある。不景気で仕事を失った人たちが必要に迫られて独立したこと、テクノロジーが進化して独りで活動するツールが普及したことと、そこに、不景気を経てフルタイムの雇用を増やしたくない企業の都合が合致して、フォトグラファー、デザイナーといった古典的にフリーランスが多い職業に加え、エンジニアからプログラマーまで、単発・短期的なプロジェクトを請け負うフリーランスの人口が増えた。そして、それとともに、彼らに提供するための場所が登場するようになった。</p>
<p>　ひとつは、かつてアメリカ海軍が使っていた倉庫群「ネイビーヤード」。ベッドスタイと呼ばれる地区にある。ギグ・エコノミーに目をつけたディベロッパーが、巨大なスペースを小切りにして貸していった。そこに、小さなブランドのアトリエや、新興系家具ブランドの工場など、インディペンデントの作り手たちが比較的安価に場所を持てるようになった。</p>
<p>　そのあと、長らく放置されていた時代を経て、少しずつ倉庫などとして貸し出されていたサンセットパークの倉庫群「インダストリーシティ」の本格的な再開発が2013年に始まった。</p>
<p>　ブルックリン南部のサンセットパークは、長らく発見されていなかった移民の住宅地だ。中華街があって、ヒスパニックが多数暮らす。最寄りの駅に停まる電車は少ないが、ユニオンスクエアから20分と意外に地の利も良い。インダストリーシティがまずやったのは、小規模な食の作り手たちを招聘し、キッチンと店舗をセットで貸し出すこと、つまり店が製造と販売を両方できる環境の整備だった。そうして慎重に選ばれた食の作り手たちのセットを売りにして、企業を誘致した。</p>
<p>　マンハッタンの家賃高騰した商業物件に代わるある程度のスペースを必要とする企業はいくらでもあった。すでに南ブルックリンの開発は進み、住民も増えていたから、社員たちから不評を買う心配もなかった。住民の大半がラッシュアワーになると一斉にマンハッタンに向かうことによる、長いあいだ常態化した交通ストレスの軽減にもなる。インダストリーシティの再開発が本格化すると、後にメレディス社に買収されたタイム社やコンデナスト・パブリケーションズ社が機能の一部を移設した。</p>
<p>　同時にインダストリーシティは、個人の作り手やフリーランスの働き手たちの誘致を始めていった。大量にある床面積を切り売りして作り手に貸し出すだけでなく、館内のパブリックスペースやイベントを通じて彼らに発表の場を与え、創作をサポートする。</p>
<p>　この2年ほどのあいだに、クリエイターやメーカー、会社を取材しにインダストリーシティを訪れる機会が増えた。そのフードホールには、マンハッタンの人気のバーガーやアイスクリーム屋が店舗を構える。人気の〈ライラック・チョコレート〉の工場を外から見ることもできるし、ここで活動する人たちの作品を取り扱うショップもある。ブルックリン初の酒ブランドがここで醸造を始めた。</p>
</div>]]></content:encoded>
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		<title>ブルックリンの高級化</title>
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		<pubDate>Fri, 19 Apr 2019 05:00:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>NewSphere</dc:creator>
		<category><![CDATA[Wear Your Values]]></category>

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		<description><![CDATA[15 　私が暮らすブルックリンでは、2000年以降、インディペンデントに活動するアーティストやミュージシャンたちの手によってDIYカルチャーが花開いた。マンハッタンからブルックリンに引っ越す人が少しずつ増え、カフェやショ [&#8230;]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="wprt-container"><p><strong>15</strong></p>
<p>　私が暮らすブルックリンでは、2000年以降、インディペンデントに活動するアーティストやミュージシャンたちの手によってDIYカルチャーが花開いた。マンハッタンからブルックリンに引っ越す人が少しずつ増え、カフェやショップが次々と開いた。前回も書いた〈スモーガスバーグ〉が大ヒットしたことなどもあって、観光地化が始まった。</p>
<p>　それと同時に、ジェントリフィケーション（高級化）という言葉を耳にすることが急に増えた。もともとマンハッタンから押し出された人たちがコミュニティを作ったブルックリンのウィリアムズバーグは特に、地の利の良さも手伝って、急激に開発されることになった。地価が高騰して、最初に飲食店やベニュー（ライブハウス）をオープンして盛り上がりを作ったアーティストたちのコミュニティは少しずつ別の地域へと押し出されていった。かつてインディペンデントの商店が元気に商いをしていたウィリアムズバーグの目抜き通りには、今、アップルストアやホールフーズ・マーケットが大型店を構えている。</p>
<p>　90年代後半に、今でもサウスウィリアムズバーグの地域住民に愛されるレストラン〈ダイナー〉をオープンし、以来、肉屋、パン屋、バー、レストランなどからなるレストラングループに成長させてきたことから、ブルックリン食文化のパイオニアの一人と目されるアンドリュー・ターロウは、複数のパートナーとともにウィリアムズバーグの川沿いに〈ワイスホテル〉を開けるほどになったけれど、昨年、レストランの経営に注力するためにホテルの経営から退いた。</p>
<p>　アンドリューとは一度〈ワイスホテル〉で、当時私がやっていたiPadマガジンの刊行イベントの一貫として、トークをやったことがある。そのときオーディエンスから、「ジェントリフィケーションをどう思っているのか？」という質問が出た。アンドリューの答えは、「自分にできることは、自分の生業においてベストを尽くすこと、自分の周りのコミュニティのことを考えること」というものだった。</p>
<p>　長くこの地に暮らす人々にとって、ジェントリフィケーションという問題は複雑だ。悪として語られることのほうが圧倒的に多い言葉ではあるが、ジェントリフィケーションのおかげで働く場所と雇用が増えてコミュニティにお金がまわるようになった。人通りが増えたり、住民の所得が上がったりしたことで警察がよりアグレッシブになり、犯罪が減って、地域が安全になった。</p>
<p>　ウィリアムズバークと隣接するグリーンポイントに暮らす私個人にとっても、ジェントリフィケーションが複雑な問題なのは変わらない。その地の利から、おしゃれなレストランやカフェができて、自分のコミュニティについて書くことができるようになった。また、女性の私が夜安心して一人でも歩けるようになったのも、ジェントリフィケーションと無関係ではない。一方で、自分の家の家賃が世間の相場と一緒に上がり続けていたら、とっくの昔にこの地では暮らせなくなっていたかもしれない。そして実際、周りでは、住んでいた建物が売られて家主が変わったり取り壊されたりという理由で引っ越しを余儀なくされる、という知人・友人の例を嫌になるほど見てきた。だから、ジェントリフィケーション＝悪、にしたい気持ちもわかるのだ。</p>
<p>　ジェントリフィケーションの問題のひとつは、店舗物件の賃料の高騰だ。ウィリアムズバーグのように公共交通機関の便利なところだったら、アップルやホールフーズのような大手が進出するのも頷ける。けれど自分の暮らすグリーンポイントは、それが不便なことから、わざわざ何か用事があってやって来る人か、このあたりに暮らす人しか道を通らない。平日の昼間、それほどの客足が見込める場所ではないのだ。けれども、ウィリアムズバーグとの距離の近さから、同じようなペースで商業家賃が上がり続けてきた。</p>
</div>]]></content:encoded>
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