南京事件や慰安婦の“動かぬ証拠”10万点以上、中国で発表 海外メディアはタイミングに疑問符

 25日、中国の吉林省公文書館は第2次大戦中に日本軍が残した機密文書を公開した。南京大虐殺や従軍慰安婦、731部隊に関する89点の中には、日本軍の公式文書のほか、日本兵による手紙や新聞記事も含まれている。

【1950年代に掘り出されていた】
 中国国営新華社通信によれば、これらの文書は、日本が満州から急遽撤退するにあたり、焼却する暇もなく埋められたもの。1950年代初頭の建設工事の際に、地下から掘り出された10万点のうちの一部だという。

 韓国国際放送交流財団のニュースサイト『アリラン』によれば、公開された一連の文書には『動かぬ証拠』というタイトルが付けられている。

 ロイターは、どうして今まで公開されなかったのかは、今の所不明であると疑問を呈している。合わせて26日、中国の出版社である線装書局が、11万件を超える日本の機密文書を刊行したという。

【慰安婦】
 新華社によれば、25点の文書が「慰安所」の状況に関するもの。文書からは、日本人が中国人女性を誘拐し、強制的に慰安婦にした際に公金を使っていたことがわかり、これこそ組織的な活動が行われた証拠だと同通信は報じている。

 アリランによれば、慰安婦の総数は40万人で、半数が中国人、14万人強が朝鮮半島の女性だったこと、南京の慰安所のある慰安婦は10日で178人の日本兵の相手をしなくてはならなかったことがわかるという。

【南京大虐殺】
 新華社によれば、6点の文書が南京大虐殺に関するもの。そのうち、1937年12月23日付の日本の新聞記事によれば、日本軍は3日で8万5000人を殺したという。アリランは、1937年12月から翌年1月の間に南京の人口が約100万人減少したことが読み取れるとする。

 新華社は将校によって取り上げられた日本兵による手紙を紹介している。

「日本兵は南京の女性数万人をレイプした。中には12歳の少女も含まれており、彼女達の多くはレイプ後に殺された。恐るべき犯罪だ」

 また、ある兵士は手紙の中で「豆腐を切る」ように人々を殺したと述べているとアリランは紹介している。

【731部隊】
 新華社によると、6点の文書は細菌兵器の人体実験を行っていた「731部隊」に向けたスパイの移送に関するものだという。

【非人道的な扱い】
 新華社は14点の文書から、日本兵が10代を含む中国人労働者を厳しく管理し拷問していたことが分かるという。労働者は厳重に監視され非人道的な扱いを受けていた。

 これらの文書によれば、彼らの多くは病気になり、亡くなる人も多く、ある文書には「中国人労働者の死体は到る所に散乱していて、犬がさもご馳走のように食べている」と書かれていたという。

 なお、これらの“動かぬ証拠”が、具体的にどのようなものであるかはわからない。史料としてどこまで信頼に足るかは、報道からは判断できない点に留意が必要だ。

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Text by NewSphere 編集部