日本のレアアース戦略も参考に? 中国依存脱却に動くアメリカ

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 現状を変えるため、バイデン大統領は2月、レアアースを含む重要素材のサプライチェーンの見直しを指示する大統領令に署名した。米政府は、レアアースの採掘と加工に数千万ドルを投じており、レアアース分離プロジェクトへの投資を約束している。欧州、カナダ、日本やオーストラリアなどもこれに支出する予定だという。(WSJ)

◆技術、環境、価格 国内回帰に課題多し
 もっとも、レアアースを採掘して電気モーターにするまでには膨大な技術と専門知識が必要で、それができるのは中国以外にほとんどないと関係者はWSJに話す。政府の継続的な支援がなければ、多くの生産者は価格面で中国に真っ向勝負を挑むこともできないとも述べている。

 CNBCは、レアアース採掘は環境負荷が高いと指摘する。レアアースの多くは、放射性物質を含む鉱床のなかに存在し、地下水面に浸出する可能性がある。また、採掘、加工、廃棄は生態系の破壊にもつながり、有害な副産物を大気中に放出する可能性もある。アメリカでは環境規制は中国よりも厳しい場合が多く、開発にはマイナスだ。

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Text by 山川 真智子