中国の世界最大ダム計画めぐる数々の懸念 インドは「兵器化」に警戒感

三峡ダム|isabel kendzior / Shutterstock.com

◆プロジェクトの安全性に疑問が
 しかし、計画の実現性には疑念がつきまとう。news.com.auは中国が過去70年間で15メートル以上のダムを2万基以上建設してきた実績があるとしながらも、「多くのアナリストたちが史上最もリスクの高い建設プロジェクトになると述べ、この最新の計画は行き過ぎた一手であると見ている」と述べる。理由として、ダム建設には重機が欠かせないが、建設ポイントは奥地にあるためその搬入がきわめて困難だ。過去に大きな地震の震源地となった地点と近いことも危険因子となっている。

 技師たちはさらに、上流の障害物の影響を憂慮している。2018年には氷河の融解により地滑りが発生し、流出した氷塊がヤルンツァンポ川をせき止めた。インドのヒンドゥスタン・タイムズ紙は、現在6億立方メートルに及ぶ水がダム建設予定地の上流に滞留しており、いつ決壊してもおかしくない状況だと報じている。建設に着手できたとしても、作業員が常に危険にさらされている状況になりかねない。

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Text by 青葉やまと