南アフリカの首都、ヨハネスブルグの北で金鉱が発見されたのは1886年。ゴールド・ラッシュの町のひとつ、ピルグリムス・レストは、往時をしのばせる建物や街並みがそのまま保存されていて、観光客を待つ古いホテルもある。近隣ではアフリカの各地でみられるように、サファリのエコツーリズムが人気だ。17世紀から18世紀には、オランダ東インド会社が東南アジア・南アジア全域から連れてこられた労働者を送り込み、ケープ・マレーと呼ばれるコミュニティーができて独特の食文化も生まれた。
今回は、南アのゴールド・ラッシュ、サファリ、そしてケープ・マレーのソウル・フード「ボボティ」のレシピを紹介する。
ゴールド・ラッシュの歴史が残る遺産の街
19世紀、世界はゴールド・ラッシュに沸いていた。カリフォルニア・ゴールドラッシュを皮切りに、カナダやオーストラリア、ニュージーランド、そしてブラジルなど各地で金を求める人々が押し寄せ、一攫千金の夢を追い続けた。現在でもブラジルの奥地では、金を探す採掘者の姿が見られるという。


南アフリカにも、その熱狂の痕跡が残っている。ヨハネスブルクから北東に400㎞ほど。緑深い山あいにピルグリムス・レストという小さな町がある。1873年にピルグリム・クリークに金鉱があることが発表されると、瞬く間に1500人が住む町が生まれたという。そのメインストリートに並ぶのは、当時のレトロな建物。その一つ、ロイヤル・ホテルに宿泊した。
1877年に建てられた木造のホテルは、一歩足を踏み入れるとまるでタイム・トリップをしたようで、部屋はシンプルでかつノスタルジック。決して現代的なホテルと比較できるようなスペックではないが、温かみが感じられる。

広いダイニングはパブのスペースと一体化している。10の建造物に50の居室を要していて、ハイ・シーズンには多くの人が訪れるのだそうだ。宿泊した秋の始まりは賑わう人もなく、パブのカウンターには古いビール・サーバーが一つ。プランはB&Bのみで、朝食はフル・イングリッシュ・ブレックファーストが提供される。いかにもイギリスの旧植民地らしい。
生活に必要な最低限のものを売っているジェネラル・ストア、郵便局、車両修理のガレージ、ビール醸造所、教会、など10軒ほどが並ぶ。金鉱の採掘量は1914年のピークを迎えた後一気に減少して、1972年には最後の金鉱が閉山したのだそうだ。その後歴史遺産として登録されて、そのままの姿を残し続けている。
さて、2024年の金採掘国の順位は1位から中国、ロシア、オーストラリア、カナダ、米国。地球上の金の総量のうち70%がすでに採掘されていて、このまま進むと残り15年から20年で現在のペースでは新規発見が難しくなる可能性がある。現在日本で稼働している鉱山は鹿児島県の菱刈鉱山のみで、年間6から7トンの金が採掘されている。
最近のゴールド・ラッシュといえばビットコインだが、その発行上限は2,100万枚であり、デジタル・ゴールドとも呼ばれる。そして2140年には生成は終了するらしい。
サファリ・ビジネスとエコ・ツーリズム

アフリカの各地で人気のツーリスト・アトラクションといえばサファリのゲーム・ドライブだ。ゲーム・ドライブは野生生物を楽しむツーリズムのこと。国立公園で提供されるものと、プライベートなものがある。
国立公園のゲーム・ドライブは入場料等は安いが、オフロード走行が禁止であったり、車両から降りることができない。一方プライベートの場合には宿泊施設や提供される料理が豪華で、混雑することなく、動物のそばまで接近することができる。ツクドゥ・ゲーム・リザーブ というプライベートの施設に宿泊して、夕方、そして翌日朝の2回サファリをジープで走った。
ジープでサファリに走り、時には道のないエリアにも入り込んだ。サファリのビッグ・ファイブと呼ばれるのは、ライオン、ヒョウ、ゾウ、サイ、バッファロー。それ以外にも、キリン、水牛、シマウマ、イノシシ、サル、キリンなども見ることができる。ただし、どの動物を見ることができるかはドライバーの腕と運次第である。
自然や文化を保全しつつ観光産業とするというエコツーリズム。サファリでは、野生動物が野生のままに生活することができる環境を保全することと、地域経済の活性化の二つがを実現されている。開発によって自然を破壊することなく、地域住民の生活を守り、かつ観光客は刊行することによってそれを支援することができるというわけだ。古くはヨーロッパの超富裕層がハンティングを楽しむことから始まったサファリでのツアーだが、今ではカメラによる撮影を楽しむという平和的な姿になった。
マレーシアからの移民料理「ボボティ」

今回紹介する料理は「ボボティ」だ。マレー半島からやってきた移民たちが、イギリス料理の手法にハーブやスパイスを取り入れたケープ・マレー料理のひとつだ。スパイスが効いたミートローフに溶いた卵をかけてオーブンで焼いて作る。

上の写真は現地のレストランで食べたもの。このように肉のレイヤーを強く固めてその上の卵のレイヤーがはっきり分かれるように仕上げることもあるが、今回は肉にたまごをからませて、ふっくらと仕上げてみた。これをターメリックライスと食べる。

材料:二人分

・玉ねぎ 1個 みじん切り
・牛豚あいびき肉 250g
・にんにく 2かけ みじん切り
・ターメリック 小さじ1
・カレー粉 大さじ1
・ローリエ 1枚
・牛乳 50ml
・たまご 2個
・植物油 大さじ1
<ターメリックライス>
・米 1合
・ターメリック 小さじ1/2
・ニンニクパウダー 小さじ1/4
・塩 小さじ1
作り方:
1. 米にターメリック小さじ1/2とニンニクパウダー、塩を入れて、炊飯器などで白米と同様に炊いておく。
2. 厚手の鍋を中火にかけて植物油を温め、玉ねぎ、にんにくを入れて、玉ねぎがうっすらとあめ色になるまで、焦げないように炒める。

3. あいびき肉、ターメリック小さじ1、カレー粉、ローリエ、塩を入れて、時々混ぜながら弱火で20分ほど炒める。水分が少なくなれば水を少量追加する。

4. オーブンを190度に温める。
5. 牛乳とたまごをよく混ぜ合わせる。ひき肉を耐熱容器に入れて表面をならし、その上からたまご液を注ぐ。
6. オーブンで30分間焼く。

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All Photos by Atsushi Ishiguro
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石黒アツシ
20代でレコード会社で音楽制作を担当した後、渡英して写真・ビジネス・知的財産権を学ぶ。帰国後は著作権管理、音楽制作、ゲーム機のローンチ、動画配信サービス・音楽配信サービスなどエンターテイメント事業のスタートアップ等に携わる。現在は、「フード」をエンターテイメントととらえて、旅・写真・ごはんを切り口に活動する旅するフードフォトグラファー。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現したものを、みんなと一緒に食べることがライフワーク。
HP:http://ganimaly.com/











