日本では「地球の裏側」と言われるブラジル。地理的にも最も遠い国の一つであり、東京からサンパウロまでは飛行機を乗り継いで24時間以上かかる。あまりに長時間の移動となるため、途中の乗り換え地で一泊する旅程を組む人も多く、気軽に行ける土地ではない。

一般的に、ブラジルへの旅の目的として挙げられるのは、リオデジャネイロで開催されるカーニバル(謝肉祭)のパレード、リオのビーチを見下ろす丘に立つキリスト像、圧倒的なスケールを誇るアマゾンの大自然、そして今回紹介する、世界三大瀑布の一つであるイグアスの滝である。

深夜の羽田空港を発ち、約10時間のフライトで夕方にロサンゼルスへ到着。空港近くのホテルに宿泊し、翌日の昼にサンパウロ行きの便に搭乗する。さらに12時間ほどのフライトを経て、朝8時前にサンパウロに着き、国内線に乗り継いでイグアスに到着したのは朝の9時過ぎだった。

イグアスの滝を眺めて滝壺に突入する

世界三大瀑布とは、ブラジルとアルゼンチンにまたがるイグアスの滝、アメリカとカナダの間に位置するナイアガラの滝、そしてザンビアとジンバブエにまたがるヴィクトリアの滝である。その1分間の水量を比較すると、イグアスの滝が約40億トン、ナイアガラの滝が約2億トン、ヴィクトリアの滝が約5億トンとなっており、イグアスの滝が圧倒的なスケールを誇ることがわかる。

イグアスの滝へ向かう遊歩道を歩いていくと、イグアス川を隔ててアルゼンチン側の滝が連なっているのが見える。さらに遊歩道を奥へ進むと、川の中央付近まで到達することができる。そこでは、信じがたい量の水が絶え間なく落下し続けており、滝からかなり距離があるにもかかわらず、飛沫によって全身が濡れてしまうほどだ。その一番奥にあるのが「悪魔の喉笛」。すさまじい水音が轟き、その響きがまるで悪魔の喉笛のようだということから、この名がついたとされている。イグアスの滝の中でも最大の見どころである。

悪魔の喉笛より手前のエリアでは、ボートに乗って滝壺に突入するというアクティビティを体験できる。50人ほどが乗れるゴムボートが、渦を巻くようなイグアス川を猛スピードで蛇行しながら、水煙を上げる滝壺へと向かっていく。途中からは目を開けていられないほどの水量で、ただただ水に打たれ続ける。まさに、世界一の水量を受け止める滝行といっても過言ではない。それでも、体験が終わるころには、言葉にならない達成感と、圧倒的な大自然に包まれることで得られる清々しさと癒しを感じることができた。

翌日はアルゼンチン側から「悪魔の喉笛」を拝んだ。こちらは、滝の上に広がる川の中に設置された、長く穏やかな遊歩道で、20分ほど歩くと、前方から次第に「悪魔の喉笛」の轟音が聞こえてくる。そして、全身ずぶ濡れになって帰ってくる人々とすれ違う。アルゼンチン側からは「悪魔の喉笛」を上から見下ろす形になるが、激しい水煙のため、滝壺を直接見ることはできない。

アルゼンチン側のもう一つの楽しみは、「アッパー・サーキット(Upper Circuit)」と呼ばれる遊歩道である。前日にブラジル側から見上げた滝の、まさにその水が落ちる直前の地点を歩くことができる。滝に落ちる寸前の川の流れが驚くほど穏やかであることに、思わず息をのむ。ふと頭上を見上げると、南北アメリカ大陸に生息するクロコンドルが羽を休めていた。

空港で楽しむブラジルのお惣菜系おやつ

飛行機の乗り継ぎ時間に、空港にあったサンドウィッチスタンドを覗いてみた。一般的なサンドウィッチが並んでいるが、その隣にはコロッケのようなものがいくつか並んでいた。

左にあるのがエンパナーダ、奥はキベ、右はコシーニャ。これらを、ブラジルのコーラとも呼ばれるガラナと一緒にいただく。

エンパナーダには牛ひき肉と野菜の具が包まれており、しっかりとした味付けがされている。キベは雑穀に玉ねぎとひき肉を加え、整形して揚げたもの。もしかすると、内臓系の肉も含まれていたかもしれない。洋ナシ型のコシーニャは、実は「小さい桃」という意味の名を持つが、鶏肉と野菜をマッシュポテトで包み、揚げたものである。いずれも、いかにもスナックらしい手軽さがあり、旅の合間に嬉しい存在だ。

旅のお供としてポンデケージョも一般的なのだそう。小さなサイズから大きなサイズのものまで販売されている。スターバックスで大きなポンデケージョを注文したところ、温めて提供してくれた。ポンデケージョは作りたてでないと固くなるが、温め直せばすぐにふんわりとした状態に戻る。

そのほかにも、大きめのポンデケージョにモッツァレラチーズ、トマト、バジルを挟んだものや、ミルククリームを挟んだものも見かけた。現地に詳しい人の話によると、こうした“サンドウィッチ風”のスタイルは、以前は存在しなかったもので、近年の食文化の変化の一端を感じさせる。

今回は、ポンデケージョのレシピを紹介する。

タピオカ粉で作るチーズパン ポンデケージョのレシピ

タピオカ粉で作るパンだが、イーストなどは使わない。あまり大きく膨らまないのだが、タピオカ粉のおかげでもちもちとした食感でおいしい。日本のドーナツ店にある人気商品、ポンデリングの元になったのだとか。

材料:(中サイズ8個分)

・牛乳 150ml
・バター 40g
・塩 小さじ1/4
・キャッサバ粉 240g
・たまご 2個
・粉チーズ 20g

粉チーズは100g程度まで増量してもよく、小さめに12個ほどに分けて作れば、ワインなどにもよく合うおつまみとなる。

作り方:

1. 牛乳、バター、塩を鍋に入れ、中火にかけて沸騰させる。

2. 火から下ろし、キャッサバ粉をゆっくりと加えながら、しっとりとするまで混ぜる。混ぜ終えたら、10分から15分ほど置いて粗熱を取る。

3. オーブンを190度に予熱しておく。

4. 卵を割り入れてよく混ぜた後、粉チーズを加えて混ぜ、軽くこねる。

5. 生地を8等分(または12等分)し、丸く成形する。ベーキングシートを敷いた天板に並べ、オーブンで15分から20分、膨らんで表面に軽く焼き色がつくまで焼く。

焼きたてを熱々で。後で食べるなら電子レンジで1個あたり30秒ほど温めると、ふんわりとした食感が戻る。

なお、焼き上がったポンデケージョを二つに割り、好みの具材を挟めば、新たな楽しみ方としての「サンド仕立てのポンデケージョ」となる。


All Photos by Atsushi Ishiguro

石黒アツシ

20代でレコード会社で音楽制作を担当した後、渡英して写真・ビジネス・知的財産権を学ぶ。帰国後は著作権管理、音楽制作、ゲーム機のローンチ、動画配信サービス・音楽配信サービスなどエンターテイメント事業のスタートアップ等に携わる。現在は、「フード」をエンターテイメントととらえて、旅・写真・ごはんを切り口に活動する旅するフードフォトグラファー。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現したものを、みんなと一緒に食べることがライフワーク。
HP:http://ganimaly.com/