スカンジナビア3国の一つフィンランド。フィンランドと聞けば、中世のバイキング、ラップランドのオーロラ、サンタクロースにムーミン、本格的なサウナといったイメージが浮かぶかもしれない。最近なら、1335㎞というロシアとの国境の一部にフェンスを設置する案が出たりと、政治的・地政学的にも注目される国だ。フィンランドがロシア帝国から独立したのは1809年。その後もソビエト連邦の一部となることはなかった。

「世界幸福度報告書」では今年も5年連続で1位に選ばれている。ゆったりとした国民性とライフスタイル、治安の良さ、生活水準の高さ、教育システムの充実がその理由と言われている。ヘルシンキはフィンランド最大の都市とはいえ人口密度は2700人余り。東京23区は1万5千人を超えているのだから物理的に余裕があるわけで、威圧感が強い建物もなく公園などの緑も豊富だ。

多様な美しさを楽しめるヘルシンキの建築物

バルト海に面したヘルシンキの港からすぐ、海を望む丘の上にヘルシンキ大聖堂が建っている。白亜の壁に緑色のドームは、船で戻ってきた人たちに、いよいよ帰京するのだという気持ちを抱かせてきたのだそうだ。ヨーロッパの古くからの様式を備えた荘厳な建築物だ。

一方、ヘルシンキ中央駅はアール・ヌーボーのデザインが優雅で美しい。。また、現代的なビルにあるアカデミア書店は、カフェも併設されていてまた異なった魅力がある。少し郊外に出ると陶器のメーカーアラビアの工場があり、ミュージアムではその歴史に触れることができる。建物はインダストリアルでなんとなくノスタルジーを感じさせる。

蚤の市から食品マーケットへ

夏の週末になると開く蚤の市、ヒエタラハティ フリーマーケットに出かけてみた。ヨーロッパの蚤の市を覗いて出品されている一見雑多な商品を見ると、その町で生活する人たちの生活が垣間見える。ここではマリメッコのワンピースだったり、アラビカの皿だったりと、フィンランドデザインの商品が、普段の生活に使われているのだとわかって興味深かった。

さて、港に面して建つオールドマーケットホールは1889年に完成した建物。様々な食材を取り扱う現役の食品市場だ。土地の食材が売られて、ローカルな料理を楽しめる店もある。すぐそばの波止場には屋外のマーケットスクエアがあり、こちらにも食材から軽食まで様々な屋台が並ぶ。

オールドマーケットホールに、オープンサンドを売る店があった。黒パンの上にスモークサーモンを乗せてディルを添えたものがいかにもフィンランドの軽食という感じだ。他に小エビを乗せたものも定番の一つだ。

一方のマーケットスクエアでは、温かいサーモンのスープを出す屋台があった。大きめに切られたサーモン、じゃがいもとにんじんをクリームと牛乳で煮ているようで、優しい味だ。やはりディルが入っていて、あらためてサーモンとディル相性がいいと感じる。

今回は、サーモンのスープのレシピを紹介する。

レシピ:フィンランドのサーモンのスープ「Lohikeitto」

材料はシンプルに、サーモン、じゃがいも、にんじんとねぎ。現地ではポロねぎを使うが普通のねぎで。

材料:二人分

・サーモン 250g 3㎝角に切る
・じゃがいも 中2個 2㎝角に切る
・にんじん 中1本 1㎝角に切る
・ねぎ 1本 3㎜の輪切り
・チキンコンソメ(顆粒) 小さじ1
・牛乳 400ml
・生クリーム 100ml
・ディル 適量 粗みじん切り
・塩・こしょう 適量

下準備をしておく。

作り方:

1. 鍋を中火で温めてバターを入れて溶かしたらねぎを入れて、焼き色がついて柔らかくなるまで5〜6分炒める。

2. 牛乳、じゃがいもと人参、チキンコンソメを入れて沸騰したら、10〜15分ほど、じゃがいもが柔らかくなるまで煮る。

3. サーモンとクリームを入れて、3分ほど煮込み、塩・こしょうで味を調える。

4. 器に盛ってディルを振る。

寒い時期にうれしいサーモンのスープ。簡単なのでぜひトライしてほしい。


All Photos by Atsushi Ishiguro

石黒アツシ

20代でレコード会社で音楽制作を担当した後、渡英して写真・ビジネス・知的財産権を学ぶ。帰国後は著作権管理、音楽制作、ゲーム機のローンチ、動画配信サービス・音楽配信サービスなどエンターテイメント事業のスタートアップ等に携わる。現在は、「フード」をエンターテイメントととらえて、旅・写真・ごはんを切り口に活動する旅するフードフォトグラファー。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現したものを、みんなと一緒に食べることがライフワーク。
HP:http://ganimaly.com/