一度は行ってみたい海外旅行先のランキングがあれば、ペルーのマチュピチュが常連の一つだろう。「天空に浮かぶ古代国家の遺跡」と聞くだけで、旅心のロマンが沸き起こってくる。さて今回は、ペルーの旅の醍醐味と、ペルー料理の中でも日系移民の影響が強いといわれる「セビチェ」という魚料理を紹介する。

東京を出て5日目に到着したマチュピチュ

日本からペルーの首都であるリマへは直行便はなく、アメリカなどの国を経由する。この旅では、アメリカのヒューストンでリマ行きの便に乗り換える予定だった。しかしその便がリマの空港の管制官の急なストライキでキャンセルになってしまった。その日は空港のホテルで一泊することになり、「翌日とりあえずコロンビアのボゴタに行く飛行機はあるから行ったらどうか」と航空会社の電話オペレーターに言われたままボゴタに飛び、空港近くの安宿を見つけで2泊目となった。3日目の朝空港に行くと、その日のうちにリマへ飛ぶ便に乗れるという。

リマからさらに国内線に乗り、マチュピチュ近くのクスコに飛ぶことにしていたが、リマについてみると、今度はクスコの空港が霧のため閉鎖。リマのかなり質素な宿に転がり込んで3泊目となった。しかも荷物も紛失していて出てこない。とりあえずすぐに必要なものを町で買い込んだ。

クリスマスのマーケットでにぎわうクスコの広場

翌日、荷物もないままクスコへ到着。予約してた宿に行くと荷物がその日に届くと聞かされて安心する。マチュピチュに入るには事前に予約するチケットが必要だ。日本で予約したのはこの翌日と翌々日の2日分。ラッキーだった。翌日マチュピチュへ向かうので、大慌てでクリス前のマーケットが賑わうクスコの町を観光し、ここで4泊目となった。

その翌日マチュピチュ鉄道に乗りマチュピチュ村に入り、そこからバスに乗ってマチュピチュに着いたのはもう夕方。5日間をかけてようやくマチュピチュの姿を目にしたのが冒頭の写真だ。

インカ帝国で最も重要な文化・政治・祭祀の場として山の頂に建設された聖地マチュピチュ。15世紀には存在していたというが、その後1911年に発見されるまではそこにあることさえ忘れられていたという。

マチュピチュの中央の広場は催事のための建物によって囲まれ、その外側には住居、山肌には段々畑が拓かれていた。ここにたどり着くための苦労はすっかり吹き飛び、ただただその荘厳で壮大な遺跡にため息が出る。

アンデス山脈、ナスカの地上絵、チチカカ湖からアレキパへ

ペルーの旅の魅力の一つはは見どころが多いことだが、との国土は日本の3.4倍と思うよりも広大で、そこに3297万人しか住んでいない。高速鉄道網が整備されているわけでもなく、急ぐなら飛行機、飛行場がないならバスで移動することになる。

インカ・エクスプレスというバスに乗り、アンデス山脈の高地を進み、チチカカ湖からアレキパという町まで移動した。

クリスマス明けの12月26日、標高が高いアンデスのプカラではクリスマス明けのパレードの真っ最中だった。色鮮やかな衣装に身を包んだ男女が音楽を奏で踊る。

この村の家々の屋根には、沖縄のシーサーのような動物の像が飾られていた。「プカラの牛」というらしい。その発祥についてはいくつかの言い伝えがあるという。家を守るシンボルとして、どの家でもこの焼き物をつがいで屋根に置くそうだ。

チチカカ湖では、葦を材料とした浮島に住む人たちの生活を見ることができる。戦いに追われた人々が、湖の上に住処を求めたのが最初だという。チチカカ湖の東半分は隣国のボリビアだ。

チチカカ湖から平地に降り、3つの火山に囲まれたアレキパへ。スペイン人による植民地時代に開かれた町で、旧市街には白い火山岩で作られた建物が並び「白い町」と呼ばれている。

街の中心にあるサンタ・カタリナ修道院はこの町の見どころの一つ。1970年代まで自裁に使われていたということで、広い敷地に様々な建物、中庭があり、礼拝堂、厨房、居室なども見ることができる。

ナスカの地上絵を見るために、首都リマに戻る。遊覧の小さな飛行機に乗り、上空から地上絵を見ることができる。

それにしても広大な土地に、大きな地上絵を描くとはまさに謎である。上はハチドリの地上絵で、長さは96mある。

日系の影響が強いペルー料理「セビチェ」

ペルー料理の代表格の一つ「セビチェ」は魚を生のまま食べる料理で、ペルーにやってきた日本からの移民たちの影響があるものだそうだ。確かに、魚を生で食べるのは日本人が得意として、またよく好むものだ。今回は、このレシピを紹介する。

白身魚とライムにレモン、野菜と和えるだけ

材料は、鯛などの白身魚に香味野菜、それに好みのトッピングだ。今回は鯛とかんぱちを使ってみた。

材料:2人分
・白身魚の刺身(柵) 200g  1.5㎝位の角切り
・レモン 1個  2つに切って絞る
・ライム 1個  2つに切って絞るが、スライス2枚を付け合わせようにあらかじめとっておく
・むらさき玉ねぎ  1/3個  薄切りにして水に放ち1分おいてざるに上げる
・赤ピーマン  1本  粗みじん切り
・しょうがのしぼり汁  小さじ1/2
・パクチー 1カップ  茎と葉を分けて、茎は1.5㎝くらいのそぎ切りにする
・塩  小さじ1/2
・黒コショウ  小さじ1/2

<付け合わせ>
・レタス  葉をちぎっておく
・ピーナッツ  包丁で切る
・さつまいもチップ
・缶詰のコーン
・ライムスライス  上で準備したもの
・オリーブオイル  

下準備をして混ぜるだけ

1. ボールにレモンとライムのしぼり汁を入れて、白身魚の刺身を入れてよく合わせる。冷蔵庫に入れて、時々ざっくりと混ぜながら30分間漬ける。

だんだん魚の表面が白身をおみてくる。

2. 1のボールを取り出して、むらさき玉ねぎ、赤ピーマン、しょうがのしぼり汁パクチーを加えてざっくり混ぜたら、冷蔵庫に戻して10分間おき、塩・こしょうで味を調える。

3. 2を皿に盛り、好みの付け合わせを添え、オリーブオイルを回しかける。

これから暖かくなる季節に合う、爽やかでさっぱりとした一品だ。下の写真で、材料の2人分になる。


All Photos by Atsushi Ishiguro

石黒アツシ

20代でレコード会社で音楽制作を担当した後、渡英して写真・ビジネス・知的財産権を学ぶ。帰国後は著作権管理、音楽制作、ゲーム機のローンチ、動画配信サービス・音楽配信サービスなどエンターテイメント事業のスタートアップ等に携わる。現在は、「フード」をエンターテイメントととらえて、旅・写真・ごはんを切り口に活動する旅するフードフォトグラファー。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現したものを、みんなと一緒に食べることがライフワーク。
HP:http://ganimaly.com/