リスボンから列車でポルトへ
ポルトはポルトガルの北部に位置する港町で、ポルトガル第二の都市。リスボンから高速列車で3時間程で、日帰りでも出かけられる距離だ。ポルト駅に着けば、市街地へは6路線あるメトロのうちの1つを使って5分ほど。歴史あるボリャオン市場には近隣からの食材が並び、カフェテリアも何軒かあって活気がある。
ポルトガルの伝統的なジャガイモのスープ「カルド・ヴェルデ(Caldo Verde)」を朝食にした。市場内のCAFETERIA FERNANDA DIASでは、朝からこのキャベツとジャガイモを具にした素朴なスープで温まる客が多かった。
急勾配な坂の街の公共交通機関とポルトワイン
この街の中心は、東から西へと大西洋に注ぐドウロ川が横切っている。道路側の両岸は川岸から崖が急勾配で立ち上がっている。両岸を結ぶ「ドン・ルイス1世橋」の水面からの高さは45mだからかなりの高低差だ。この橋は2階建てで、高台を結ぶ上層部は路面電車と人が、川岸にかかる低層部は車と人が渡ることができるという珍しい作りで、この地区の世界遺産を構成しているものの一つだ。1886年の完成当時のポルトガルの王はルイス1世だった。
橋の北側、すぐそばには急勾配な坂にケーブルカーが高台と岸を結んでいる。旧市街と岸辺はエレベーターでも行き来できる。橋の南側はロープウェイが岸辺まで降りていて、ゴンドラからは景色を楽しむことができる。南側の川岸にはポルトワインの醸造庫が並んで、テイスティングをしながら回るのも楽しい。
フランセジーニャ(フランスの女の子)という名のジャンクフード!
ポルトに行くなら絶対に食べたなきゃだめだと言われているのが、「フランセジーニャ(Francesinha)」。フランスの女の子と言う意味だ。そして、それを食べるならここだろうと、地元の友人に勧められたのが「CAFÉ SANTIAGO」。1959年創業の、地元の人たちが愛するカフェテリアだが、外観もインテリアも至ってモダンだ。
奥にあるカウンター席に座ると、オープンなキッチンなので調理の過程を見ることができる。プレスサンドを作るグリルがあって、そこには作っている途中のフランセジーニャが。食パンとその上に乗ったチーズに、タマゴも見え隠れしている。他のテーブルをみて見ると、ほとんどの客がフランセジーニャをモリモリと食べている。
目の前のボリュームにたじろぐほどの高カロリー具合
運ばれてきたフランセジーニャは、まったくフランスの女の子と言ったイメージではなく、腹をすかせた学生のそれも体育会系の男子学生のためにあるような、カロリー爆弾ともいえるものだった。
耳を落とした厚切りのパン、その上に厚切りのポークステーキにハムとサラミソーセージ、その上には目玉焼きが乗って、その黄身の部分が見えるように丸く切り取られたチーズがまたたっぷり。そして周りにはたっぷりのポテトフライ。皿の底にはグレービーソースが隠れていた。ポテトを抜いても1000キロカロリーを越えるそうだ。ちなみにポテトだけでも800キロかろりーは行くと思われるので、推計で1800キロカロリーにもなる。その味はグレービーソースにかかっている。ちょっとスモーキーな深みがあって塩味が効いたこのソースは、この店を経営するSantiago一家の秘伝だという。
一説によれば、フランスとベルギーに出た移民の一人が帰国した際に、フランスのクロックムッシュを作ろうとしたものの、このようにオリジナルとはかけ離れたジャンクフードになったものの、人気が出たのだという。それでフランセジーニャ(フランスの女の子)という名前になったとか。
ポルトは見どころが多いが、どこも歩いて回れる。高低差もあるのでカロリー消費も期待できるはずだ。ポルトに着いたら、まずはフランセジーニャで栄養補給してみるのがおすすめだ。
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All photos by Atsushi Ishiguro
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石黒アツシ
20代でレコード会社で音楽制作を担当した後、渡英して写真・ビジネス・知的財産権を学ぶ。帰国後は著作権管理、音楽制作、ゲーム機のローンチ、動画配信サービス・音楽配信サービスなどエンターテイメント事業のスタートアップ等に携わる。現在は、「フード」をエンターテイメントととらえて、旅・写真・ごはんを切り口に活動する旅するフードフォトグラファー。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現したものを、みんなと一緒に食べることがライフワーク。
HP:http://ganimaly.com/