イギリス北東部、スコットランドの首都エディンバラに仕事で行くことになった。

そもそもスコットランドってどこだっけ?といった具合によく知らなかったが、調べてみると街自体が世界遺産に登録されてたり、観光地としても人気のようで、なんだかおもしろそう! そんなわけで、せっかくなので一泊延泊することに。

3日間の撮影で、ラッキーなことに1日目はエディンバラのオールドタウンなどの街中にて。街はそこまで大きくなく、数日間で歩き回って大体の地理を把握できるサイズ感。

2日目は、車を1時間半ほど走らせた大自然の中。5月の中旬だが、この日は秋用のコートを着ていても寒いくらいで、薄手のダウンかニットがあったらよかったな、という寒さだった。しかし日差しは強く、ずっと外にいるとしっかり日焼けをする。スコットランドはモスクワとほぼ同緯度だが、メキシコ湾流の影響で緯度のわりには暖かいと言われている。北欧とも似ている天気。

3日目は郊外のスタジオだった。この3日間だけでもエディンバラを満喫した気分になった。

エディンバラは、ハリーポッターの物語が生まれた街としても有名だ。作者のJ.K.ローリングはエディンバラのカフェで、ハリーという魔法使いが主人公の物語を描き始めたそう。

実際に街を歩いてみると、まるで本や映画の中の世界。物語の中に入り込んだような、少し非現実的でドラマティックな印象。通りゆく人々も、物語から飛び出して来たような個性のある人々を見かけることも少なくなかった。スコティッシュイングリッシュは、ブリティッシュイングリッシュよりもやや聞き取りづらく、滞在中最後まで聴きなれなかったけど、人々はとても明るくフレンドリーな印象だった。

スコットランドの伝統衣装、キルトを着用した人をちらほら見かけた。

200年ほど前はスカートの下に下着を着用しないのが定番だったようだが、現在は何かのはずみでスカートがめくれてしまったら、問題になり警察沙汰になるので、基本的には下着を履いているそうだ。

モニュメントや商業施設、住居の建築全てが統一感をなし、その多くが19世紀以前の建造物だそうで、そこで普通に人々が生活している姿は印象的だった。

一方で若者のカルチャーも育っているようで、街を歩き回っていると、広々としたスケートパークでスケートを楽しんでいる若者や、たまたま通りかかった公園ではレイヴパーティーがおこなわれている様子も見かけた。

撮影最終日にはチームのみんなで食事をしたあと、踊りに行こう!ということで、DJバーに行くことに。そこには興味深い若者達がたくさんいて、またNYやロンドン、東京やベルリンにいる若者たちの雰囲気とは違い、この街の個性がある。エディンバラは海外から若者達が留学に来たりする場所としても人気だそう。

歴史的な街並みから一歩地下に潜れば、若者のカルチャーが広がっていて、旅行にも住むにも楽しめそうな街だ。

街の中心部から見える、ハリーポッターの魔法学校『ホグワーツ』のモデルにもなった場所、エディンバラ城は何度見ても迫力がある。この存在が街のドラマティックな雰囲気をよりいっそう際立たせる。

三日間の撮影が終わった翌日、ホテルからairbnbに移り、早速朝食がてらカフェに向かって散策してみることに。この日はairbnbの家主さん曰く、珍しいくらいに暖かく、最高の散歩日和だった。公園を通り抜けると、桜が散り終わったところだった。公園には所狭しに椅子を出して日光浴をしている人達がいた。

美味しいコーヒーさえ飲めたら、どこの国でも生きていける。エディンバラでいくつかのカフェを試してみたが、充分においしく居心地の良いカフェがたくさんあった。

地元の人にオススメしてもらった、ディーンヴィレッジ(Dean Village) からストックブリッジ(StockBridge)の散歩ルートを歩いてみることに。

この辺りは明確に事前情報を調べずに、Google mapを見ながら大体そのあたりまで行って、思うままに散策した。川沿いの緑道はまるで時間がとまっているかのよう。

このあたりの街並みも、まさに物語の世界。この街に住んでいたら、この散歩コースは頻繁に訪れたい場所だ。

翌日は曇りでやや寒かったので、街の中心部から見えていた山のような丘、アーサーの王座( Arthur’s seat) に登って体を動かすことに。往復1時間半あれば登って降りてくることが出来るくらいの丘で、適当なスニーカーでも登れるくらいの丘だ。

スコットランドはウィスキーの産地としても有名だが、ジンの蒸留所もここ数年で倍に増え、国内に230箇所以上もあるらしい。ジンといえばフリーランスのバーテンダーとして活躍する野村空人(ソラン)。記憶に焼きつくような、ジンを用いた美味しいカクテルを作るということで、あちこちでひっぱりだこな彼に、スコットランで試すべきジンについて聞いてみた。

オススメして頂いた中で、まだ発売され始めたばかりの、現在自分が住むコペンハーゲンでも日本でもまだ手に入らないとやらの“Kintyre Gin” を購入することに。Webサイトを見る限りでは、サスティナブルな活動を行うことを方針としているようだ。エディンバラではまだ数件のショップでしか販売されてないようで、あらかじめ調べた “Great Grog”というワインとビールを中心に販売されている酒屋に行ってみた。店頭に立っていたおじさまに、Kintyre Ginは置いているかと聞いて見ると、置いてあると。飲んだことあるか聞いてみると、試飲させてくれた。香りに感動し、即購入決定。いくつか他のGinも試飲させてくれた。ちなみに購入したボトルには、手書きで29番目と書かれている。

スコットランドではいくつかの伝統料理があるようだが、仕事中に地元出身のメイクさんに、家では伝統的な料理を頻繁に作るか聞いたら、作らないと言っていたし、自分自身ヨーロッパの伝統料理にはあまり興味がないもので、そちらは一度も試さなかったが、イギリスといえばインド系移民がたくさんいることで、美味しいインド料理屋さんがたくさんある。今回はそちらを探索してみることに。

その中でもたまたま通りすがった南インド料理屋さん Tanjore、外からのぞいて見るとインド系のお客さんばかりだったので、期待できるかも!と思い入ってみることに。店内はカレーリーフやクミンのいい香りで充満していた。ラッサムスープがかなり本格的で、大満足なミールスだった。

また、スコットランドはカシミヤやウールの専門店もたくさんあり、かなりリーズナブルな価格で購入できる。ヴィンテージ系の古着屋もいくつか入ってみると、10ポンドから20ポンド、日本円でおよそ1,500円から3,000円くらいの値段設定だった。ほとんどの洋服は観賞用な感じだが、運が良ければナイスなアイテムに出会えるかもしれない。

エディンバラを始め、イタリアのフィレンツェにマルタ共和国のヴァレッタなど、街全体が世界遺産に登録されている都市は、歩いているだけで楽しめる。ざっくりと行きたいリストを作ってあとは気の赴くままに、感動に身を委ねて歩いてみるといいかもしれない。

伝統的な文化を大事に受け継ぎ、尚且つ若者のカルチャーも育っているエディンバラ。このコントラストがなんとも魅力的な街だ。


NATSUKO モデル・ライター
東京でのモデル活動後、2014年から拠点を海外に移す。上海、バンコク、シンガポール、NY、ミラノ、LA、ケープタウン、ベルリンと次々と住む場所・仕事をする場所を変えていき、ノマドスタイルとモデル業の両立を実現。2017年からコペンハーゲンをベースに「旅」と「コペンハーゲン」の魅力を伝えるライターとしても活動している。

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