ゴージャスなリゾートや免税のお買い物、いろいろな世界一が揃う観光地として知られるアラブ首長国連邦ドバイ。実は世界的に重要なビジネスの街としての顔も持っている。

ドバイ国際金融センター(Dubai International Financial Center)通称DIFCは2004年に創立。古くからある、街のシンボル的存在の貿易センタービルから少し離れた場所に作られた、パリの凱旋門風近代的な建物が目をひく。このゲート(門)を中心に、貿易センタービルと世界一高いタワー、ブルジュカリファが一直線に並ぶ街づくりが展開され「金融センターの中心に立つと、ドバイの過去と未来が見える」と開業当時話題であった。(当時ブルジュカリファは建築中)

その当時中東の金融の中心はドバイから飛行機で約1時間ほどの島国バーレーン。世界の金融機関がバーレーンに中東の拠点を集約していたが、DIFCの完成とともにドバイへ続々と進出。中東全域だけでなく、アフリカや南アジア、アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアの経済を繋ぐ拠点としての地位を瞬く間に築き上げた。

DIFCが成功を遂げている背景には、ドバイという土地がヨーロッパとアジアの中間位置にあるため、時差を利用して朝早くから夜遅くまで世界市場に対応できるという優位性がある。同時に、ドバイそのもののインフラの変化もあった。文字通り24時間フルに運用しているドバイ空港が拡大し、離発着数が格段に増えたこと。これによって世界のより多くの都市への直行便がエミレーツ航空だけでなく、各社就航したことも一つの要因だ。このことによって、金融機関だけでなくどの企業もドバイを拠点にヨーロッパ、アフリカ、南アジアといった主要なマーケットを集約的に網羅出来るようになったのだ。

印象的で重厚かつスタイリッシュな建物に最新のテクノロジーを駆使したモダンなオフィス空間が広がり、世界の名だたる金融機関、コンサルタント会社が入居している。実に多国籍で多様なビジネスマン、ビジネスウーマンが行き交い、リゾート観光地とはまた違うドバイの一面を感じることができる。それにオフィス訪問の機会やビジネスの予定ががなくてもかまわない。DIFCにはカフェやレストラン、ショップが併設されているのでオフィスなどの制限エリア以外は、誰でも気軽に立ち寄れるからだ。

エリア内には、格式の高いレストランから気軽に立ち寄れるカフェのレストランまで、回転すしから本格フレンチまで、様々な選択肢がある。世界中から集まる人々の口に合うよう、本格的な各国料理が揃うのも納得がいく。そのほとんどが中庭に面した建物の通路部分に位置しているのも特徴的だ。これは中東の人たちが大好きな人間ウォッチ、つまり「周囲の人たちを眺めて雰囲気を楽しむ」文化のせいかもしれない。

レストランでも特に人気が高いのがロンドン発の高級和食レストランZUMA(ズーマ)。スタイリッシュな店内とモダンな和食が世界のエグゼクティブから支持されている。また、地元発のカフェレストランBateel(バティール)はもともと高級ナツメヤシ(デーツ)の専門店として有名だった。カフェとレストランをオープンし、美味しいフランスパンが食べられるとフランス人からの支持も熱いが、味と雰囲気は地元のアラブ人からもお墨付き。このカフェで人気のテラス席がもし、ざわざわとしたならば皇室ファミリーのお出ましかもしれない。ドバイ首長のオフィスが近くにあるため、気軽に立ち寄ることもあり、実際に姿を見かけることも少なくないのだ。

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金融センターとは言え、DIFCはそこだけで街の機能も果たしている。レストランやカフェだけではなく、ビジネスセンターや電話局、ドラッグストア、クリーニング店、テーラー、ダイアモンド店がビジネスやプライベートの急用に対応。会員制フィットネスセンターやネイルサロン、男性専用美容サロン、ヘアサロン、靴磨きのコーナーは、忙しいビジネスパーソンの体調や身だしなみをサポートしてくれる心強い味方だ。また、中東のアートを扱うギャラリーが10軒近くあり、定期的に展示会が開催されるほか、高額な美術品の取引も行われているよう。世界的にも有名な競売会社クリスティーズがドバイに支店を開業しているのも納得がいくだろう。

アジアの時差で朝早く、ヨーロッパの時差は夜遅く、と長い時間を仕事に利用できるドバイでの生活は、観光客のように買い物を楽しんだり、体を動かす時間がなかなか取れないのが悩みだが、DIFCの職場環境は仕事も私生活も充実しそうだ。世界の莫大なお金を動かすビジネスマンと、富豪、そしてぜいたく品を求めるラグジュアリーな消費者が出会う街ドバイの金融街。新しいドバイの顔を体験しに、世界の最前線の金融街の風を感じに、訪れたい場所のチェックリストに是非記しておきたい。


【information】
ドバイインターナショナルファイナンシャルセンター
Café Bateel
ビジット・ドバイ観光局


ライタープロフィール
Yukari Isemoto-Posth ライター
航空会社、ホテル勤務の後、転勤でヨルダン暮らしをスタート。のちにドバイ、上海、蘇州を経由し現在は北京在住。働き、生活しながら見えてくる地元のカルチャーやライフスタイルを中心に執筆中。雑誌、機内誌、機関誌等に寄稿。