お正月が過ぎると、気になりがちなのが健康や美容問題。今年こそはヘルシーに、今年こそは痩せようと目標を立てる人も多いのではないだろうか。そんな年始にハワイから、何千年と研究されてきた“noni(ノニ)”の効能と、ジュースを飲むだけに留まらない無限の使用法を改めて紹介したい。

旅するノニとハワイのはじまり

自然に恵まれたハワイやタヒチでは、古来植物を予防医学や治療に活用してきた。近年ハワイ大学に薬草研究科が設置される程、今もハワイでは健康と自然は密な関係にある。例えばティーリーフは解熱鎮痛に、下痢にはグアバ、便秘にはパパイヤと各症状に適した南国の植物があり、現代でも医師に摂取を勧められる事もあるようだ。中でも、何十種類もの効能を誇るポリネシア最古のフルーツの一つノニは、未だ奇跡の植物として注目されている。

1700年代後半、欧米人がハワイ諸島に移住するまでは、正式な医学は未発達だったハワイ。多島との交流も途絶え、一時期孤立していたと考えられるハワイでは、世界で流行した疫病の影響も受ける事がなかった。そのため、深刻な病気とは無縁の文化が育ち、“カフナ・ラパアウ”と呼ばれたヒーラーが、祈祷や自然崇拝を交えノニやハーブを薬として処方していたという。

しかしパイナップル同様、ノニはハワイに元から生息していたフルーツではない。パイナップルがアメリカ本土から運ばれたのに対し、ノニはタヒチからはるばるやってきたと言われる。ハワイに移住した先住民達は狭いカヌーの僅かなスペースに厳選した物資だけを積んで渡航した。当時そのようにポリネシア諸島から運ばれた植物は「カヌープラント」と呼ばれ、開拓時代の村おこしに必要不可欠と考えられていた。その一つが当時万能薬として重宝されていたノニだったのである。種を撒いてから実がなるまで8ヶ月前後と成長が早い上に、一年中収穫出来る常緑樹のノニは、新天地で栽培するのに最も適した植物であった。

栄養たっぷりノニグルメ

日本でもネットや健康食料品店で手に入る、スーパーフードの中でも知名度の高いノニジュースやサプリ。その原料となるノ二の果実は熱帯地域で生息し、学名はモリンダシトリフォリア。一般的に知られる「ノニ」はハワイでの愛称であるが、日本でもヤエヤマアオキという和名で、文字通り沖縄の八重山地方で自生している。自然治癒力を高める特有成分のイリドイドやスコポレチンなどの他にもビタミンやミネラルが豊富で、栄養素の数はなんと140種以上。ビタミンCだけでも、みかんの約5倍含まれているそうだ。中でも抗酸化作用のあるプロゼロニンという物質は、糖尿病やガン予防にまで効果があるのではないかと今も研究が進められている。

熟れてくると異臭をを放つため食用には向かず、代わりに飲みやすく加工されたジュースを飲むのが一般的な摂取方法である。この匂いの素こそが体脂肪減少に役立つ中鎖脂肪酸であり、ダイエットに非常に効果があると言われている。独特の風味が気になる場合は、他のものと混ぜたり割ったりすると飲みやすい。グレープやアップルジュースと好みの配分で混ぜる飲み方の他に、お酒とも合う。特にウォッカやジンとの相性が良いそうなのでオリジナルカクテルを作ってみても面白そうである。

ジュースというとドリンクばかり想像しがちだが、東京都内にはノニカフェが存在する程、料理にも使える。家庭でも、寒い季節に美味しいシチューやカレーの隠し味になる他、お肉をジュースに少し漬け込んでから焼くとトロピカルな風味になる。また、いつものドレッシングに少量加えてもサラダに合う。更にユニークな使用法としては、野菜を洗う時に水に少し混ぜるだけで、農薬除去効果が高まるそうだ。摂取量は一日30ml程度の少量でも即効性があるので、個人差はあるものの摂取した夜は熟睡し、翌朝から疲れを感じにくくなるという声も多い。

スキンケアもヘアケアもノニでサポート。男性の育毛にも

ダイエット効果以外にも、美容全般に効果が高いノニ。スーパーモデルのミランダ・カーも、ノニを使ったコーラ・オーガニックスというブランドを自ら立ち上げている。オーストラリアの田舎町で育った彼女は、ティーンの頃から祖母の勧めでノニを飲んだり塗ったりしていたそうで、美肌やバイタリティーの秘訣と過去にインスタグラムでアップしている。強い抗菌作用があるので、薄めたジュースを直接肌に塗ると肌荒れやニキビ、傷、火傷などを改善する力があり、普段の化粧水に少量足したり入浴剤として使っても美肌効果がアップするらしい。ハワイでは時々家庭の庭先で見かけるノニ。熟れて来た頃に収穫して、果汁を軟膏にするロコも。溶かしたミツロウとココナッツオイルに果汁を混ぜ、エッセンシャルオイルで香りづけするだけで手軽に自家製のノニ軟膏が出来上がる。

その効能は、スキンケアだけでなく髪の悩みも解決してくれると評判である。過去に日本人兵も戦場で石鹸の代わりに頭髪洗浄に使用することがあったというノニジュースは、女性には美髪効果、男性には育毛効果が期待される。その秘訣は栄養素にあり、豊富なビタミンとミネラルが毛母細胞の活性化に、フィットステロールが女性ホルモンの促進に影響するらしい。使い方は簡単で、直接頭皮につけるのに抵抗がある人は、普通のシャンプーに少量混ぜて洗髪してみよう。

南国のハーブティー

それでもジュースの独特の香りが苦手という人に人気なのが葉の部分を主に使ったお茶である。各地域によってノニの使い方は異なるようだが、ハワイでは昔からお茶としても頻繁に飲まれていたという記録が残っている。果実以外にも茎や葉に栄養がたっぷり含まれているので、根は中国で漢方に使われ、捨てるところがない。むくみや便秘解消、ダイエットに効く他、葉の成分はコラーゲンを再生させるパワーがありアンチエイジングにも役立つそうだ。リラックス効果がありノンカフェインなので、子供から大人まで安心して楽しめる。ジュースと対照的に薄味のこのお茶は、後味も爽やかで飲みやすく、いくらでも飲めそう。

日本でも国内外のノニ商品は主にオンラインで簡単に手に入るが、ハワイに訪れる機会があれば一押しなのは、今お土産に大人気のプナノニというメーカーのもの。ファミリービジネスのこのブランドは、余計な添加物を加えず、厳選した天然素材をふんだんに使用しており安全性も信頼できる。ジュースの他に、トラベルサイズのコスメからシャンプーまで、幅広いセレクションが観光客にも人気。このブランドのコスメはノニ特有の匂いはせず、トロピカルフルーツやフローラルの香りに癒される。プナノニでは、5人以上のグループから工場見学とノニ石鹸又はリップバーム作りのツアーをホームページから予約する事が可能。ハワイらしいパッケージに包まれたプナノニ製品は、ホールフーズやダウントゥーアースなどの店で手軽に手に入るのでお土産のレパートリーに加えてみては。


All photos by Shizuka Ueno Reid

Puna Noni(プナノニ) HP

シズカ・ウエノ・リード
1996年に渡米。カリフォルニア州立工科大学を卒業後、グラフィックデザイナーとしてサンフランシスコとハワイで活動。産後はハワイでカメラマンに転向し、ブライダルカメラマンの傍らハワイ情報発信を始める。
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