欧州の大流行、変異株が夏季休暇で拡散か 「対岸の火事」の危険

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 現在欧州には第二波が吹き荒れ、10月末から欧州各国のロックダウン発表が相次いでいる。ヨーロッパでは、第二波は第一波よりも深刻で、いずれの国も例外ではないというのが共通認識だ。アジアの状況が安定してきているなか、なぜ欧州の第二波はこれほど深刻なのか? 現在出されている仮説を紹介したい。

◆アジアとヨーロッパの感染の相違はどこから来るのか?
 パンデミック第一波から、Covid-19の重症化はアジアより欧米のほうが深刻であった。当初より、日本の感染者が比較的少ない理由として、手洗いやうがい、マスク着用を習慣とする素地があることや、もともとパーソナルスペースが広くスキンシップの少ない民族性などが挙げられてきた。

 また、オランダ、ギリシャ、オーストラリア、カナダなどの研究者は早い時期から「BCGワクチンは新型コロナウイルスに対する免疫を強化する可能性があるのではないか」(サイエンス、3/23)と考えており、その後、ドイツ、スペイン、英国、フランスでも研究の対象となっている(『ランテルノート』5/6)。ちなみに、BCGワクチンは日本では定期接種対象だが、「アメリカやイタリアでは(中略)定期接種だったことはなく、スペインでは1981年に一律の接種が中止」されている(朝日新聞、4/13)。

 さらに、9月30日には、「ネアンデルタール人から受け継がれたDNA片をもつ感染者は、重症化するリスクが3倍高い」(マックス・プランク研究所)という報告が、スウェーデンとドイツの研究者らからもたらされた。『フュチューラ・サンテ』(10/3)によれば、このハプロタイプ(DNA配列)を保有する人の割合は南アジアが50%で、ヨーロッパが16%。それに対して、アフリカや日本を含む東アジアにはほぼ皆無だという。

Text by 冠ゆき