東日本大震災で壊滅的な被害を受けた企業、社長の決断とセーフティネットが再建を支える

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 企業経営には自助努力だけでは避けられない危機がある。その一つが災害だ。様々な地域に拠点を持つ大企業であれば、そうした危機に合わせたBCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)を策定して準備もしているだろうが、中小企業には、その準備にはどうしても限界があるだろう。

 そうした危機的状況において、中小企業がいかにして立ち上がり、それを支えるセーフティネット機能がいかに大切なのかを実感させるストーリーがある。

 橋爪商事は建設資材や工具などの仕入・販売などを三陸地方を中心に東北一円で展開する企業だ。橋爪商事は東日本大震災の津波で大きな被害を受け、本社屋5棟はほぼ全壊、倉庫も津波によって在庫も流出してしまった。その他の支社やグループ会社も壊滅的な被害を受けており、会社にとってまさに未曾有の危機であった。

 動画内で印象的なのは、宮澤社長(当時)がそうした状況においても諦めず、迅速に決断し続けた点だ。震災翌日の3月12日夜には社員に向かって「会社は業務を続ける。安心してほしい」と語り、3月17日には手書きの再建計画を手に商工中金盛岡支店に訪れている。

 現金と十数億円の受取手形、社印が入った金庫は、津波で流されてしまっていた。こうした状況では、止むを得ない事情により支払いを延期することが許される状況であった。しかし、宮澤社長は商工中金に対して、「取引先への3月末の支払いをきちんと行いたい」「なんとか緊急の借り入れをお願いしたい」と伝えたのだ。これは、応援物資を届けてくれる取引先に対して「善意には、誠意で応える」という宮澤社長の思いの表れであったのだろう。

 そして、こうした思いに「任せてくれ」という言葉で商工中金も応えた。商工中金と地元金融機関から合わせて十数億円の資金調達を行い、無事に3月末の支払いを終えることができたのだ。この行動が、心配していた取引先からの信頼をさらに高めることとなった。商工中金は、経済危機や大規模な自然災害に対して、危機対応業務の実施を責務とする指定金融機関であり、まさに中小企業に対するセーフティネット機能を発揮したのだ。

 災害という避けられない危機に面した時には、企業の経営再建に対するコミットと、それに応える金融機関というサポーター、セーフティネットの存在が欠かせないだろう。

提供:株式会社商工組合中央金庫

Text by NewSphere 編集部