セネガルの首都、ダカールで開催された今年のDakar Biennale of Contemporary African Art(ダカール現代アフリカ美術展 -Dak’Art(ダク・アート))のオープニングにおける色彩と芸術の渦は、米国からのゲスト・アーティストの作品における「奴隷制」という深刻なテーマとは対照的だった。
今年の主賓国であるアメリカの展示では、奴隷制の過去、現在、そして未来への影響を検証する7人のアフリカ系アメリカ人アーティストの作品が紹介された。これは隔年で開催される国際フェスティバルの一環で、「Dak’Art(ダク・アート)」として知られている。
セネガルの首都ダカールで先週木曜日に開催されたオープニングでは、西アフリカ全土で着用されている伝統的な「ブブー」と呼ばれる袖の広いローブが、黒いスーツとネクタイに混じって登場した。
この展覧会は、1989年にセネガル政府がアフリカ大陸の盛んなアートシーンを促進するために創設したもので、長年にわたってアフリカのアーティストの間で最も重要なもののひとつとなっている。
主催者によれば、今年のテーマは「THE WAKE(通夜)」で、33カ国から58人のアーティストが参加し、「exhumation(発掘)」、「mourning(追悼、悲観)」、「uprooting(追い出すこと、引き離す)」など、この言葉のさまざまな意味や喚起を探求している。
このダクアートのアーティスティック・ディレクターであるサリマタ・ディオプ(Salimata Diop)さんは、メディアに配布された声明の中で、「過去と未来を等しく重要視することで、過去と未来を結びつけることが、このイベントの中心的な考え方なのです」と述べている。
アメリカは今年の主賓国である。
アフリカ系アメリカ人アーティストたちの作品は、セネガルの民族のひとつであるレブー族が持つ、死後の世界に関する文化的信仰を探求したものであった。レブー族は、死後の世界では精霊が永遠に海に住むと信じている。
また、アフリカ人の巻き毛のパターンに描かれた全く新しいアルファベットや、奴隷として水に投げ込まれた時の感覚を体験できる没入型の展示もあった。
奴隷制の後遺症はすべてのアメリカ人に影響を与えたと、この展示のキュレーターであるダイアナ・ベアード・ンディアイ(Diana Baird N’Diaye)さんは言う。彼女はアメリカとセネガルを行き来している。展示されたアートは過去に関係するだけでなく、未来を見据えている、と彼女は付け加えた。
「私たちがここにいるのは、彼ら(私たちの祖先)がアメリカでの奴隷制を生き延びたからです。私たちの祖先、祖父母がジム・クロウを生き延びたから、私たちはここにいるのです」
「そして今、私たちは新たな重要な瞬間迎えているのです」とダイアナさんは語った。
ダクアートは、この地域のいくつかの国々が、伝統的な欧米の同盟国から離れ、ロシアや中国といった、この地域での複雑な歴史を持たない新たなパートナーに目を向けている中で誕生した。
近年、クーデターや過激派の暴力に揺れるこの地域で、セネガルは安定した民主主義国家としての評判をなんとか保っている。それでも、来週選挙を控えるセネガルの与党は、欧米諸国との関係を見直すことを公約に掲げているが、今のところ急進的な決定は下していない。
セネガルの青少年・スポーツ・文化大臣であるKhady Diène Gaye氏は、主賓としての米国の役割は、「民族間の対話、平和の促進、相互理解、そして最も重要な経済的・社会的発展のツールとしての芸術の重要性を示すものである 」と記者団に語った。
ダクアートは12月7日まで開催される。当初は5月に予定されていたが、4月の大統領選挙をめぐる政治的緊張と、新政権が前政権に責任をなすりつけた資金問題により延期された。
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By MONIKA PRONCZUK and MARK BANCHEREAU Associated Press
DAKAR, Senegal (AP)