フランスの画家、アンリ・マティス(1869 – 1954)。ピカソとともに20世紀を代表する芸術家として知られ、自然に忠実な色彩から解放された大胆な表現が特徴のフォーヴィスム(野獣派)活動の先駆者として活躍した。

そのマティスが晩年、精力的に取り組んだ切り紙絵に焦点を当てる「マティス 自由なフォルム」が、東京・六本木の国立新美術館で始まった。会期は5月27日まで。

開幕に先立ち開催された内覧会には、本展のアンバサダーと音声ガイドナビゲーターを務める安藤サクラさんが来場し、4.1 x 8.7メートルの大作《花と果実》の前で本展の魅力を語った。

「私にとってマティスは大好きな芸術家です。2023年のカンヌ国際映画祭へ参加すると決まった際、ニースに滞在しようかと迷っていたら、友人からマティスが好きならニースに行ったほうが良いと勧められました。そのタイミングで偶然、本展のアンバサダーと音声ガイドのお話をいただいたので、それが後押しとなりニース滞在を決めたんです。なので、ご縁を感じて今回のお話を引き受けました」

4.1 x 8.7メートル!切り紙絵の大作《花と果実》を日本初公開!

実際にニース郊外にあるヴァンスのロザリオ礼拝堂へ訪れたという安藤さんは、今回の礼拝堂内部の再現展示について次のように話す。

「普段、礼拝堂というと身構えてしまうのですが、ヴァンスのロザリオ礼拝堂に行った際、自分の気持ちや生命を軽やかに称えるような空間に感じて、自分にとって忘れられない特別な体験になりました。(再現展示は)直接、現地で実際に見てしまったのでどうなるんだろうと不安に思ってましたが、今日拝見したら、言葉にするのは難しいのですが、素直に『凄いな〜!』と思って。現地で感じた、心がほぐれるような感覚が再現展示でも感じることができて、東京でこの体験ができるのは素晴らしいと思いました。マティスが好きな方も、そこまで興味がないと、今、思っている方も、いろんな方にささる展示になっていると思います、是非、私と同じようにそれを実感しに来ていただけたら嬉しい」

©Succession H. Matisse

本展は、マティスが晩年、精力的に取り組んだ切り紙絵に焦点を当てた日本初の展覧会だ。会場ではマティス芸術の集大成ともいえる数々が並ぶ。なかでも、初来日となる切り紙絵の大作《花と果実》は必見だ。

ヴァンスのロザリオ礼拝堂の内部を原寸大で再現!

本展では、最晩年のマティスが建築の室内装飾や司祭服をデザインした、ヴァンスのロザリオ礼拝堂にまつわる作品や資料も展示。

また、ヴァンスのドミニコ修道会とマティス家の許可を得て、礼拝堂の内部を原寸大で再現している。ステンドグラスを通じて差し込む鮮やかな光も表現し、1日の光の移り変わりを約3分で体験することができる。マティス芸術の集大成をぜひ会場で体感してみては。


マティス 自由なフォルム

会場:国立新美術館 企画展示室 2E
   106-8558 東京都港区六本木7-22-2
会期:2024年2月14日(水)〜5月27日(月)
休館日:毎週火曜日 (4月30日は開館)
開館時間:10:00〜18:00 (金・土は20:00 ※入場は閉館の30分前まで)
料金:一般 2200円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料