日本画の伝統美と技術を生かしながら、常に新しい表現を追求し続け、独自の世界を築き上げた日本画家・加藤弘光の個展が、FEI ART MUSEUM YOKOHAMAにて開催中だ(会期は2022年12月8日~12月23日)。
緻密でありながら、大胆な構図に華やかさと力強さ、圧倒的な自然への賛美を込め、画面に魂の全てを注ぎ込んだ彼の作品は、日本国内のみならず、アメリカ、韓国、フランス、スペイン、モナコなど、これまで世界のアートフェアでも日本画という枠を超え、モダンアートとして世界の市場で高い評価を受けてきた。
「ピカソの絵は誰が見てもピカソ、自分の絵は誰が見てもHiromitsu Katoだ」 を信条とし、美しいもの、命あるものへの畏敬の念と溢れる感謝の想いを込め、魂を削るように表現し続けた加藤弘光は、2019年4月、アトリエで帰らぬ人となった。同年2月にはスペインのサラマンカ大学、日西センター(美智子様ホール)にて個展を開催し、現地メディアにも取り上げられるなど、今後の活躍をさらに期待されていた矢先の訃報だった。
今回の展示「弘光Real」では、残された多くの作品の中から、1993年以降に発表した線描の作品を中心に、緻密で高度な技巧のもとに描いた2メートル超の大作「Energy 坤(こん)」や、今年ニューヨークで展示された美しい紅葉の作品「Autumn Light 光さやけみ」、桜の代表作などが展示される。
加藤の妻であり、アトリエ・ヒロの代表である加藤友子さんが「弘光Real」開催にあたり、メッセージを寄せている。
「今回の個展タイトル『弘光Real』は、彼の絵、生き方、目指すゴール、全てが本物であるというメッセージを込めています。
日本画家 加藤弘光が帰天して3年目の今年の春、ニューヨークのチェルシーインターナショナルファインアートコンペティションに選抜されたという朗報が届きました。36回目を迎える国際コンペ、応募作品数千点の中からモダンアートとして選ばれた唯一の日本画『光さやけみ』。その作品はチェルシーのアゴラギャララリーで展示され、多くのニューヨーカーの賞賛を得ました。
“見たことのない美しい絵、、どんな技法なのか?!” “華やかで繊細なのに力強い” “作家のメッセージが心に響く ”……その賞賛を作家は天で聞いていたでしょうか。
2022年10月よりアゴラギャラリーとの契約も結び、新しいステージに入ろうとしています。
今回の個展は、1993年から発表した線描の世界を中心に展示いたします。
緻密で高度な技巧のもとに描いた2m越えの大作『Energy』は観るものを圧倒する力を感じますが、そのテーマはのちの桜や紅葉の作品にも通ずる神の創造物への祈りであり、 “生きる”というエネルギーに溢れています。
混迷の時代、今、この時だからこそ、加藤弘光の作品に触れてください」
—
写真提供:アトリエ・ヒロ
—
展覧会『弘光Real』
会期:2022年12月8日(木)~12月23日(金)
10:00~19:00(月曜休廊/最終日は17:00まで)
会場:FEI ART MUSEUM YOKOHAMA
横浜市神奈川区鶴屋町3-33-2 横浜鶴屋町ビル1F