「LEMAIRE(ルメール)」は、SS22シーズンに、ネイティブアメリカンのフォルクアーティスト、Joseph Yoakum (ジョゼフ・ヨアクム) からインスピレーションを得た作品をコレクションを発表した。今回、このワードロープを記念して、東京、南青山の特別会場にて14点の作品からなる展覧会「INSCAPE, In the depths of Joseph Elmer Yoakum’s landscapes」を、4月3日まで開催している。

COURTESY OF LEMAIRE

LEMAIREは、2022年春夏コレクションで、ネイティブアメリカンのフォークアーティスト、ジョゼフ・エルマー・ヨアクム(1890-1972)が旅先で描いた静寂な風景画から、シルクとコットンの軽やかなシリーズを制作。タイトルとなった山々をモチーフにした作品は、遥か彼方の景色が持つ詩的な力を表現している。

ジョゼフ・エルマー・ヨアクム(1891-1972)の特異な風景観は、世界各地へ渡った旅と、第一次世界大戦の体験から生まれたという。独学のビジュアルアーティストであるヨアクムは、アメリカや異国の地を訪れる遊牧民としての彼の人生を、記憶を辿りながら2000枚以上の風景画に描き、ポストカードからインスピレーションを得たようなロマンティックな世界を構築した。

COURTESY OF VENUS OVER MANHATTAN

ジョゼフ・エルマー・ヨアクムは、勤勉な測量士のように地形データを収集し、ごく一般的な紙の上にボールペン、色鉛筆、パステル、水彩絵の具などを使って作品を制作。彼の図解された調査は、個人の歴史、集合的無意識、そしてその先にあるものを深く掘りさげる。フランスで初めて公開された解剖図や地質学的な構造を持つ風景画は、地平線上に開かれた、インティメートな記憶のノートブックを形作る。夢であれ現実であれ、考古学的なドローイングは、訪れた風景の断片を捉えながら、彼の揺らめく旅と同様に、作家の内面の混沌の絶え間ない動きを明らかにするものだ。山は脳のように、柔らかい川は血の流れのように、空は穏やかな海のようにも見える。

ジョゼフ・エルマー・ヨアクム(JOSEPH ELMER YOAKUM)は、その略歴と晩年の経歴が不明だった。彼は、チェロキー族の両親を持つネイティブ・アメリカン、そしてアフリカ系とアメリカ系であると主張していた。子供のころはサーカス団に入り、第一次世界大戦中は若い兵士としてフランスに渡り、その後、単身、列車でアメリカ西部を横断したのち、70歳でシカゴに定住し、毎日、創作活動に打ち込んでいたという。

現在、彼の作品は複数のパブリックコレクションに収蔵されており、特にシカゴ現代美術館、ワシントンDCのナショナル ギャラリー、ピッツバーグのカーネギー美術館、フィラデルフィア美術館、ホイットニー美術館など、数多くの権威ある個展やグループ展で取り上げられている。ニューヨーク近代美術館(MOMA)では、2021年11月28日から2022年3月19日まで、ジョゼフ・ヨアクムという作家初の大回顧展、「JOSEPH YOAKUM: WHAT I SAW.」を開催したばかり。

LEMAIRE 2022年春夏コレクションで発表されたジョゼフ・ヨアクムの作品を記念して、LEMAIREが制作した「INSCAPE」は、VENUS OVER MANHATTAN GALLERY、ANNA FURNEY、ADAM LINDEMANNによってサポートされている。

「INSCAPE」は、私たちが住む世界、そして心の風景の奥深くを思い出させてくれる。そして、時間の流れを逸脱し、想像の世界にある迷宮のような場所から私たちを誘う。会場となるジュエルズ オブ アオヤマにあるショップ、SKWAT/LEMAIREでは、ジョゼフ・エルマー・ヨアクムの作品集が購入可能。LEMAIREの春夏コレクションと合わせて、彼の作品を堪能しにぜひ足を運んでみてはいかがだろう。


展覧会「INSCAPE, In the depths of Joseph Elmer Yoakum’s landscapes」

会期:開催中ー4月3日(日)
開館時間 : 11:00 – 19:00
場所:〒107-0062 東京都港区南青山5丁目3-2 ザ ジュエルズ オブ アオヤマ 3F
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入場料無料
TEL:03-6384-0237