今、最も注目される日本人ファインアーティストのひとり、SHOHEI TAKASAKIの個展が原宿のGallery COMMONにて開催中だ(2018年 11月2日-11日)。

2012年より日本からアメリカのポートランドに拠点を移し、メルボルン、香港、そして日本人としては初となるソロ・エキシビションを中東・クウェートで開催するなど、彼の表現は世界へと広がり、国内外の多くのアートファンから幅広く支持されている。

躍動感に溢れる力強いペインティング、独自の色彩感覚とセンスで圧倒的なクリエイティビティを発信し続けるSHOHEI TAKASAKIは、アーティストとしての自覚はここ最近のことだと語る。既存の手法にこだわらず、常に今、自分がこの世界で何ができるのかを模索しながら精力的に制作を続ける彼に、これまでの活動と、今回日本では5年ぶりとなる個展についてインタビューした。

初めまして。本日はよろしくお願いします。日本では5年ぶりの個展ということですが、今回の展示テーマについて教えていただけますか。

今回の展示テーマは、「Juxtapose, Arrange, Compare (並列、配置、比較)」。そのままなのですが、例えば同じものが2つ以上あったときに、それらを同じステージの上で並べ、配置を変えて比べること。すごくシンプルなコンセプトです。

SHOHEIさんは現在アメリカのポートランドにお住まいだとお聞きしました。渡米してどのくらい経ちますか?

2012年だったので、まだ約6年ですね。

環境が変わったことによって、作品への変化はありましたか?

自分が住む場所や制作する場所が変わると、アートに対する考え方や制作に対する向き合い方みたいなものも変わりますよね。例えばアメリカのアートの歴史を見ていると、特に1940年代あたり(第二次世界大戦前後)からこれまで、アートの歴史は急激にアップデートされてきましたよね。その中で本当にいろいろなアプローチが開発されてきました。そんな中で、今、2018年に日本人として、アメリカに住んでいて、結局自分はどんなプレゼンテーションできるのか、と考えながら毎日制作してます。

今回の展示テーマの中では、環境による変化が具体的にどういった部分に落とし込まれているのでしょうか?

ただスタイルやアプローチについて、新しいものを一つのテーマとして更新していくというよりかは、例えば、斜めからそれを見てみると、アブストラクト(抽象画)のペインティング、フィギュアティヴ(具象画)、など色々なスタイルがある中で、それを全く同じモチーフでも違う手法で描いたものを同じ画面に入れたらどうなんだろう、ということの表現です。確かにこれは、例えば60年代のアンディ・ウォーホルなど、色んな人がすでにやっている。

でも今、2018年に日本人の僕がアメリカにいて、外国人の目線で同じことをやったらどうなるんだろうという、ある種の「実験」みたいなことがコンセプトです。展示に来ていただけたらその意味が分かると思いますが、グラフィカルな要素やアブストラクトなものを全く同じメディア(キャンバス)を使っていろんな技法で比べて表現しています。

常に新しい表現を模索し続けているのですね。

今回は20点くらい展示します。環境の変化や年齢もあると思いますが、ものを見る視点や時間軸だったり、作風やアプローチの仕方も昔とは変化しているので、今回の展示でお見せできる作品は過去のものとはまた少し変わっていると思います。

SHOHEIさんの好きな色は何ですか?

赤、青、黒 です。

作品の中でもよく使われている色ですね。色彩感覚においてこれまで影響を受けたものはありますか?

作品にもちろんよりますけど、使う色って、自分が着るものに似てるってよくアーティスト同士で話したりはしますね。自分が似合う色を無意識に選んでいるのかもしれません。基本的には原色やポップな色が好きですね。アーティストはロイ・リキテンスタインに若い頃にとくに影響をうけました。

あと、僕の母は僕が小さい頃にレゲエ好きで、レゲエミュージックやダブがかかっているような家だったんですよ。今考えるとファンキーですね(笑)赤と黄色と緑のラスタカラーの太いパンツなんかあったりして。当時僕はパンク好きだったので嫌がっていたんですけど(笑)色彩感覚や音楽や映像が好きなところは母の影響があるのかもしれません。

これまでポートランド、メルボルン、香港、そしてクェートでも展示を開催されていますが、海外で個展を行った感想はいかがでしたか?印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

中東・クウェートでの展示も面白かったです。いつでもショーで色々なところにいけることは最高です。メルボルンや香港、東京ももちろん面白いですが、街が基本的に似ている。世界中で展開しているチェーン店などはどこにでも入っているので、街の個性自体そんなに大きな変化がないというか、言葉も同じだし、人の性格などもフラットになって来ていますね。表面上は。

海外で活動をしていて、アートの環境について日本との違いはありますか?あるとしたらどんなところに違いを感じますか?

日本での美術の教育は、どこをメインにフォーカスしているんでしょうか。日本人としてニューヨークやロンドン、世界で一緒のステージで戦うって、すごく難しいことなんです。美術大学で勉強をしていてもアートのコンテキスト、アートのヒストリーとか、アートをどう考えるか、どう接するか、アートでどんな会話ができるとか、とういうことを日本では根本から勉強できるんでしょうか。

でもアメリカやヨーロッパではその歴史があって、それを徹底的に学びますよね。小さい時からミュージアムで絵画を観て、例えばマティスの絵があったとしたら、「これはなんだと思う?」と言う質問に対して子供達が「りんご」「くも」と答える。―「なんでりんごだと思う?」「りんごとくもの違いは何?」と、小さいときからそういう会話をしていて基礎があって育っているんですよ。そういった基礎があって美術大学へ行き、そのベースの上でやりたい事を学んでいける。もちろん街やエリアにもよるけど、みんなアートが大好きでアーティストをリスペクトするし、アートを購入することに対して日本人より抵抗はないですよね。

アーティストであることの環境も違いますね。

簡単な話で言うと、例えばアーティストがペインティングを完成させて、「完全なオリジナル作品が出来た」と彼自身思っても、パブリックに出したときに、実際やられてないことは殆どない時代です。それを知った上で表現方法を模索することが、新しいアートの表現を生み出す近道になると思います。

とは言え同時に思うのは、例えば日本やアジアの国々などのように、ウエスタンカルチャーの中でのアートから少し遠い国々から、全く何か新しい表現が出てくるのかもしれないですよね。NYやLONDONなどだけがアートの中心地ではない時代がきてる。

アーティストとして、未来をどのように見ていますか?目標があれば教えてください。

ぼくの好きな世界各国のミュージアムに自身のピースを入れたいです。それは一つの目標です。

SHOHEIさんにとってアートとは?

アートって、人間にしかできない事だと思います。知識、哲学を形にする事だから。そのとき、その時代に生きていた人の考え方や哲学を視覚化したものがアートです。それはすごく人間らしい行為だと思うんです。たとえば音楽やダンスはもう少し動物的だけど、根本的に人間だからこそ生み出せるものがアートだと思っています。


SHOHEI TAKASAKI
「Juxtapose, Arrange, Compare 並列 配置 比較」
At Gallery COMMON
東京都渋谷区神宮前6-12-9 1F BLOCK HOUSE
会期:2018年 11月2日(金)-11日(日)
時間:13:00 – 19:00

ISI PRESS vol.4 刊行記念トークショー
At NADiff A/P/A/R/T
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F
開催日: 2018年 11月10日(土)
時間: 19:00 – 20:00

鹿児島市武のアートギャラリー “NEW ALTERNATIVE”(ニューオルタナティブ)が主催する出版レーベル ISI PRESS より新刊が発売。ISI PRESS zine series vol.4は、アメリカ・ポートランド在住のペインター「SHOHEI TAKASAKI」。デザイナーは服部一成。

SHOHEI TAKASAKI

SHOHEI TAKASAKIは、アメリカ・ポートランドを拠点に活動するアーティスト。
彼は新進の現代アートシーンにおいてとどまることを知らぬ表現力を持った才能あるアーティストとして名を成している。抽象と具象表現との狭間にある危うい道をいくことを恐れることなく、TAKASAKIは新表現主義のスタイルによって、彼の外界に対する認識と彼自身も含む人間がもつ内なる情熱の本質を描き出す。また彼の作品には、どこか原始的かつ野性的な何か、またロマンティックさと飽くこと無い欲望を感じさせるものがある。 ーそれはまるで美しき獣が、捕縛者によって素直に手なずけられ、逃避への願望をもてあそばれているかのようなのだー
The Cat Street Gallery Zelie Walker

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