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ART & DESIGN

Interview:フランシス真悟氏、クリスチャン・アヴァ氏が語る「レイヤーズ・オブ・ネイチャー その線を超えて」 前編

Shingo Francis and Christian Awe Interview "LAYERS OF NATURE  -BEYOND THE LINE"

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Shingo Francis Bound for Eternity (red) / Alloposidae

色と光のミニマルな絵画を追求する作品で知られる、アメリカと日本で活躍する芸術家のフランシス真悟氏。カラフルでダイナミックかつ実験的な数々のアプローチの壁画の他、社会活動にも積極的に関わっているドイツの芸術家クリスチャン・アヴァ氏。全く異なるバックグラウンドを持つ2人の芸術家は、フランシス真悟氏の父であり、現代抽象画家の巨匠の1人であるサム・フランシス氏と共に、2018年4月、セゾン現代美術館で始まったばかりの企画展「レイヤーズ・オブ・ネイチャー その線を超えて」にて作品を展示している。

真悟氏とクリスチャン氏は、ある日の午後、東京・渋谷にある世界有数の雑踏で知られるスクランブル交差点のすぐそばのカフェでインタビューに応じ、現在開催中のこの企画展について、また社会における芸術の果たす役割、そして今日のデジタルベースの社会において、自身の価値を堅持することがいかに大切かを、熱い口ぶりで代わる代わる私たちに語ってくれた。

この企画展について教えていただけますか。

クリスチャン氏:この企画展は、セゾン現代美術館にとって新しい始まりであり、かつ、時代の先端を行く大きな第一歩だと感じています。セゾン現代美術館には、日本国内で愛されている美しいコレクションがあり、この企画展が、さらに世界に認識を広めることにつながることを願っています。セゾン現代美術館は今、いっそう実験的な方向へ進み出そうとしているのだと感じています。この企画展でもわかるように、私たち(現代の芸術家)が互いの作品に呼応し、刺激を受ける機会を設けてくれています。自然をメインテーマに据え、サム・フランシス氏の作品との関連性を写し出すことは、私にとって大変興味深い試みでした。真悟の作品が、深い静けさをたたえた紙を使ったインスタレーションであると知っていたので、私はこれを機に、同じくこの美術館の空間を活かした大掛かりな作品に挑戦することにしました。

私は自然とは何を基盤にしているのかに思いを巡らせて、その結果たどりついた答えが、水でした。私にとって、水は生命を表しています。そこで、私は今回、抽象的な滝を作成しました。視覚的にも素晴らしく映え、偶然にも会場のすぐそばに実際の滝があったことで、美術館近辺のコミュニティともとても上手くつながりを持たせることができました。真悟が3月にベルリンの私のスタジオを訪問してくれた際、美術館のそばの滝について詳しい情報を教えてくれたんです。

真悟と私をつなぎ合わせているもう一つのテーマは、共に紙を使用した作品作りをしているということです。私の滝のインスタレーションは、それぞれおよそ10メートルにも及ぶ長さの紙でできた幅のある9本の帯から作られています。作品名は「シーズン」(Seazon)。

Christian’s waterfall installation “Seazon” / Alloposidae

Seaは海、Zonは「区域」などとして使われるZoneを意味し、それぞれ美術館の名前(Sezon)の言葉遊びになっています。この展示会を企画したセゾン現代美術館のキュレーターは、これまで私が過去に制作した屋外のペインティングを見て、私が美術館内で制作をすることを希望していましたが、残念なことに日本で新たな作品の制作を最初から始める時間は今回はありませんでした。それでもセゾン美術館に特化した作品を提供するため、私はベルリンの自分のスタジオで4ヶ月間かけて作品を制作し、日本へ出荷した後、企画展の会場にて5日間でその作品を仕上げました。

色を塗っては破ってばらばらにし、また組み合わしては破壊して、さらにもう一度作って、また破ってやり直して、の作業を何度繰り返したことでしょう。永久保存するための作品を整然と展示するのが通常のスタイルであるセゾン現代美術館では、このようなプロセスで展示を行うのは、極めて稀なことだったことでしょうし、実際に芸術家がやって来て、その場でどのような作用をもたらすのかをわからない状態で制作したこの作品は、この美術館の数ある名作の中で異彩を放ったことでしょう。しかし、美術館はとても好意的に支持してくれました。

私は日頃から制作には思い切った実験的なアプローチを試みています。素材を突き詰めて、そこでアートが何をできるのかを見ることが大好きなんです。作品にペイントを幾重も練り重ねてはそれを削り取って、芸術的な考古学者になってみたりね。水をテーマとする現在のシリーズは、それ以前のスタイルとは異なるもので、過去3年間取り組んできた技法を用いているのですが、この技法は偶然から生まれたものなのです。

私がスタジオのテラスで制作に没頭していたある日、先に帰らなければならない用事があり、アシスタントにその日の終わりに絵画を部屋の中へ片付けるように頼みました。しかしアシスタントがそれをすっかり忘れてしまい、絵画が屋外に放置されたまま夜になって雨が降り出し、絵が台無しになってしまいました。最初、私はとても怒りましたが、一週間くらいたった後、雨が作品に色々な痕跡を残していたのに気がつきました。このアクシデントがきっかけで、私は水をテーマにして何か面白いことができるのではないかと考えるようになりました。水は生命を表していますが、同時に、多くの難民が辛い思いを重ねている国であるドイツで生まれた私にとっては、彼ら難民がはるばる渡ってきた海、地中海も象徴しているのです。だから、私は今日の社会的な問題に対する私の主張を表現するのにも水を使います。

真悟氏:クリスチャンと私は、ソウルで一緒にグループ展に参加しているので、2010年以来お互いをよく知っていました。そして私は、2012年にベルリンで私が参加したマラマ・ベルリン・レジデンスプログラムに(しかも私の名前を全面に出して)誘ってくれたのがクリスチャンだったことを最近になって知りました。

だから、彼と一緒に展示を行うことには一切の不安はなかったですし、私にとってこの展示は、どのように限界を引き上げるのかが重要でした。私の父も今回の展示に参加すると知った時、クリスチャンと私はセゾン現代美術館が所蔵する父の絵画を選び、これに呼応するような作品をそれぞれ制作しようと決めました。2人の現代芸術家が、高い名声を誇る作家の極めて著名な作品を取り上げ、それぞれのやり方で新しい表現スタイルを発表するということです。

Alloposidae

私は父と一緒にグループ展を開催したことはありますが、このような事をするのは初めての経験でした。私は父の作品から「Untitled 1978」を選びました。その理由は、その時期の父の作品が大好きだったことと、今回は広大なスケールで作品を仕上げたいと思ったからです。より大きなスケールの作品に挑戦し続けることは自分にとって常に良いことだと思うし、広い壁面のある美術館で、クリスチャンの描くスケールの大きな壁画の作品も一緒に展示に取り入れるにはまたとない機会だと考えました。クリスチャンが言ったように、美術館の人たちは今回の展示がどのようになるのか見当もつかなかったのに、私たちの実験的な作品を快く受け入れてくれて、本当に感謝しています。彼らは本当にオープンな姿勢を貫いています。

私の大きな円形状の作品もまた、紙を使って制作されたものです。自然について言えば、私の作品は少し違ったタイプの自然を表しています。木々や森林に見られる「自然」ではなく、時間や空間に関する「自然」です。この作品のタイトルは「Bound for Eternity (red) 」です。周囲を巻き込んでいる中央の線は地平線のようなもので、行きつ戻りつしています。その線は、進み続ける永遠の境界線であり、円は時を表現しています。

Shingo Francis Bound for Eternity (red) / Alloposidae

1日24時間、1週間7日、1ヶ月30日、1年365日…。私たちは常に時の巡りと同様にループを描いて進んでおり、それは永遠に続いていくものです。空間は無限で、時間は永遠。そして、それもまた「自然」であり、草花や木々とは異なる種類の「自然」です。このような異なる2つの紙作品を同時に鑑賞できるのは素晴らしいことです。クリスチャンの力強く情熱的で張りつめた、そしてダイナミックな…。

クリスチャン氏:そして真悟の静かで深遠な作品。さらにサムの作品は二人の作品を包み込んでくれています。

後編に続く。 Interview:フランシス真悟氏、クリスチャン・アヴァ氏が語る「レイヤーズ・オブ・ネイチャー その線を超えて」 後編


「レイヤーズ・オブ・ネイチャー その線を超えて」

会場:セゾン現代美術館
会期:2018年4月21日(土)〜9月2日(日)
開館時間:10:00−18:00(入館は閉館30分前)
休館日:木曜(8月は無休)
入館料:一般1500円(1400円)、大高生1000円(900円)、中小生500円(400円)
※()は20名以上の料金

EVENT

ワークショップ「光・色彩・アクション」クリスチャン・アヴァとフランシス真悟との絵画体験
日時:8月11日 10:30〜12:00
対象:小学1年生〜小学3年生と保護者
定員:10組
参加費:無料(要当日観覧券)
申込方法:電話もしくはFAXにて、1.名前、2.人数、3.連絡先(電話番号/Eメールアドレス/FAX番号)を明示
申込先:03-5579-9725(電話)03-5579-9726(FAX)

アーティスト・トーク/フランシス真悟、クリスチャン・アヴァ
司会:ロジャー・マクドナルド(NPO 法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]副ディレクター/キュレーター)
日時:8月11日 14:00〜
会場:展示室内
定員:30名
参加費:無料(要当日観覧券)、申し込み不要


松下沙花 (まつしたさか)

アーティスト。
長崎生まれ。ニューヨーク、トロント、横浜育ち。
Wimbledon School of Art (現ロンドン芸術大学ウィンブルドンカレッジオブアート)の舞台衣装科で優秀学位を取得。その後Motley Theatre design Courseで舞台美術を学ぶ。大学院卒業後はロンドンにてフリーのシアターデザイナーとして映画、舞台、インスタレーションプロジェクトのデザインを手がけた。2012年より個人プロジェクトの制作を始め、現在は東京をベースに活動を続けている。
www.sakamatsushita.com
instagram: @sakamat

Shingo Francis is an American/Japanese artist well known for the minimalist paintings of colors and light, and Christian Awe is a German artist who employs a dynamic and experimental approach to colorful murals and actively engages in social activities. The two artists of completely different backgrounds collaborate with Sam Francis, father of Shingo Francis and one of the great masters of abstract art in “Layers of nature   —— Beyond the Line”, a group exhibition just opened at Sezon Museum of Modern Art in April 2018.


Shingo and Christian met us at a cafe in Shibuya, right next to one of the busiest crossings in the world one afternoon and passionately told us about their current exhibition, the role of art in the society, and how it is important to have your own values in this digital based world of today.


Please tell us about this exhibition.


Christian: I feel like this exhibition is a new start and a big contemporary step into the now for Sezon Museum. The museum has a beautiful collection loved by many in Japan and I hope it contributes to become as known internationally. The museum is starting to be more experimental, as you can see with this exhibition, giving us (contemporary artists) the chance to react to one another’s work.   Having nature as the main theme and displaying the relationship to Sam Francis’works is very interesting for me. Knowing that Shingo’s works would be a beautiful calm paper installation, I used the opportunity to create a likewise site specific work.


I started to think about what nature is based on, and I thought of water. For me water represents life. So I created this abstract waterfall installation, which worked out great visually, and also there happen to be a waterfall right by the museum so that tied in nicely for the community as well. Shingo gave me information about the waterfall near the museum when he came to visit my studio in Berlin in March.


Another main connecting theme going on between Shingo and I is that our works are both on paper.  My waterfall installation is made up of nine paper webs, each about 10m long. The piece is called Seazon.


Sea as in the ocean, zon = zone, both a word play of Sezon Museum.  The curator of this exhibition originally liked me to do something site specific having seen the outdoor paintings I have done in the past, but unfortunately, there was no time for me to start from scratch in Japan. To make this still a site specific piece,  I worked on it for four months in Berlin, shipped them over in rolls and finished it off in Japan in five days.  I would paint, rip them apart, destroy, doing collage, recreate, rip again and again. This process was very unusual for Sezon Museum because they are used to things being conserved for eternity and neatly kept in order. An artist coming in, creating inside the museum not knowing how it will work in the space must have been very bizarre among the masterpieces of the collection. But they were extremely supportive.


For all of my works, I have a very experimental approach. I love to dig into the materials and see what art can be.  Previously I enjoyed layering paints and then dig into the work, being my own artistic archaeologist. The current water series have a different technique which I have been working on for the past three years. This technique developed accidentally.


I was working on the terrace of my studio one day. When I had to leave I asked my assistant to put the painting back indoors at the end of the day but then he forgot, and it rained that night and destroyed the painting. I was very angry at first but then after a week, I saw that the rain had left some marks on the work. This led me to wonder if I can play with the theme of water. Water represents life, but also for me, coming from Germany where many refugees struggle, water also stands for the Mediterranean sea, the sea they cross to come to Europe. So I use water to make a point about the social issues of today as well.


Shingo: Christian and I have been in a group show together in Seoul so we knew about each other since 2010, and I recently realised that Christian was the one who invited me (put my name forward) for the residency I did in Berlin in 2012!


So I was not worried about doing a show with him. For me preparing for this exhibition was more about how to push the boundaries. When we found out that my father is going to get involved in the show as well, Christian and I each picked a painting of my father’s from the Sezon Museum collection and decided to do a response to that. So two contemporary artists taking the very well known images of an established artist and restyle in our own way.


I have shown with my father before but this is actually the first time doing such thing. I chose Untitled 1978  because I love the works of my father from that period and I also wanted to work in large scale. I think it is always good to challenge myself with scale and since it’s a museum show with large walls, and having Christian’s large waterfall installation, I thought this would be a good opportunity. As Christian said, the museum didn’t know what they were getting but they were great as a receiver of our experimental works. They were very open.


My large circular work is also a large piece of paper as well. Talking of nature, mine is a little bit of a different type of nature. Not nature as in trees and forests but more about time and space. The title of this work is called Bound for Eternity (red). The line in the centre wraps around. This line is like a horizon, and it is either going back or coming forward. The line is the eternal boundary that keeps going and the circle refers to time.


24 hours a day, 7 days a week, 30 days a month, 365 days a year…we are constantly going through the time in the same way like a loop and it is going to eternity. Space is infinite and time is the eternity. And that’s nature as well, different kind of nature to grass and trees.


It’s nice to see two works on paper together.  Christian’s strong, passionate and intense and dynamic…


Christian: and Shingo’s work is quiet and calm and Sam’s work really embraces both.



To be continued to the latter half.

Shingo Francis and Christian Awe Interview “LAYERS OF NATURE  -BEYOND THE LINE”




“LAYERS OF NATURE -BEYOND THE LINE”


Sezon Museum of Modern Art

21st April 2018(Sat) – 2nd September(Sun)

Open 10:00−18:00(Admission is 30 minutes before closing)

Closed every Thursday(7 days a week in August)


Admission:General¥1,500(¥1,400) College Student ¥1,000(¥900)Student ¥500(¥400)

*()In case of more than 20 people.



EVENT


WORKSHOP”Light・Color・Action”Painting experience with Christian Awe and Shingo Francis

Date/Time:11st August 10:30-12:00

Target:first-third grade of elementary school children and parents

Number of positions:10 people

Admission:Free(need a day admission)

How to apply:Call or Fax, please tell your 1.Name, 2.Number of people, 3.Contact information(Telephone/E-mail/Number of FAX

Apply to:03-5579-9725(TEL)03-5579-9726(FAX)


Artist Talk:Shingo Francis, Christian Awe

Presenter:Roger McDonald(NPO Arts Initiative Tokyo[AIT] Deputy Director/Curator)

Date/Time:11st August / 14:00〜

Place:Exhibition room

Number of positions:30 people

Admission:Free(need a day admission),Reservation is not required.



Saka Matsushita

Artist

Born in Japan, raised in New York City, Tokyo and Toronto.She trained on the Motley Theatre Design Course, London UK.

Prior to Motley, she gained a BA Hons in Costume Interpretation from Wimbledon School of Art (University of the Arts).Throughout and after her studies, she worked on variety of film, theatre and installation projects as a costume/set designer.

She has been working on personal projects since the beginning of 2012 and currently based in Tokyo.


www.sakamatsushita.com

instagram: @sakamat


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