F3開発競争に米ノースロップも参入か 日本で「F-22 vs YF-23の戦い」再び?

NASA/DFRC / Wikimedia Commons

 航空自衛隊の次期F-3戦闘機の開発コンペに、米ノースロップ・グラマン社が新たに名乗りを挙げた。ロイターが複数の情報筋の話として伝えている。

 F-3を巡っては、既に米ロッキード・マーティン社が非公式にF-22ラプターとF-35ライトニングIIを合わせた“ハイブリッド機”を提案しているとされている。ノースロップとロッキードは、1990年代に米空軍の次期戦闘機開発で激しく争った歴史がある。世界最大手のライバル同士が、日本を舞台に再び火花を散らすことになるのだろうか。

◆「F-22」を軸に進む開発レース
 ロイターの取材に匿名で答えた情報筋によれば、ノースロップは、F-3計画への参入に「強い関心を持っている」という。同社は既に日本政府の情報開示依頼書(RFI)に答えており、日本側の防衛担当者と予備的な会談を行ったとされる。その中で、F-3開発に貢献できるテクノロジーを列挙したという。

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 一方、ロッキードはF-22の外装にF-35の機能を盛り込んだ新型の“ハイブリッド機”を提案しているとされる。F-22譲りのステルス性と強力なツイン・エンジン、F-35の汎用性の高い内部ペイロードを兼ね備えたマルチロール機になるだろうと見られている。日本政府はもともとF-22の輸入を希望していたが、米政府が機密保持を理由に同機の輸出を禁止したため、自国生産または海外との共同開発にシフトした経緯がある。ロッキード案は、ある意味、米国側の禁輸措置と日本の当初の希望の両方に配慮した折衷案と言えるかもしれない。

 ノースロップの参入にもF-22の影がちらつく。同社は1990年代の米空軍のATF(先進戦術戦闘機)のコンペで、F-22を打ち出したロッキードに対し、YF-23ブラック・ウィドウで対抗。水平尾翼と垂直尾翼を廃して一対のV字尾翼とすることでステルス性を高めた意欲的な機体だったが、米空軍は、より保守的ながら小型で整備性や汎用性が高いF-22を選んだとされる。これを前提に、ノースロップはF-22とロッキードにリベンジを果たそうとしているという論調が米メディアに広がっている。

Text by 内村 浩介