注目集めるアジアの「空母レース」 中国の3隻目、日韓豪保有の可能性

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 海上自衛隊のいずも型護衛艦の空母への改修計画が取り沙汰されるなど、このところ軍事関係の国際ニュースで空母の話題が多い。年が明けてもこの傾向は変わらず、とりわけアジア太平洋地域の空母保有競争が複数の海外メディアで取り上げられている。現保有国の中国・インドではさらに新鋭空母が建造中、韓国では「いずも」に続けと、「独島」揚陸艦の改修が取り沙汰され、オーストラリアでも新造のキャンベラ級強襲揚陸艦の改修が話題になり始めている。

◆中国は3隻目の建造に着手
 米外交専門誌ナショナル・インタレストは、世界の空母は、数、能力、保有国数のいずれの面においても拡大傾向にあると指摘する。特にアジアでその傾向が顕著だ。現保有国は中国とインドにとどまるが、日本、韓国、オーストラリアが既存艦の改修により、短期間で空母保有国になりうる。タイもヘリコプター空母「チャクリ・ナルエベト」を保有しているが、垂直離着陸機AV-8Sハリアーを艦載機として揃えられれば空母として運用できるという。

 中国は、ウクライナから購入した「ヴァリャーグ」を改修し、2012年より空母「遼寧」として運用している。さらに、純国産の「001A型」が昨年4月に進水しており、今年中にも就役すると見られる。さらに、複数のメディアが上海の造船所で3隻目が建造中だと報じている。
 
 人民解放軍に近い筋からの確かな情報として「3隻目の建造が昨年から始まっている」と報じた香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によれば、新鋭艦は現2隻のスキージャンプ台方式よりも進んだ電磁気式カタパルトを備える予定だという。また、中国の艦載機J-15は機体が大きいため飛行甲板のスペースをなるべく広く取る必要があるが、そのためにイギリスの新鋭空母「クイーン・エリザベス」を参考に、艦橋を小型化する計画だという。

Text by 内村 浩介