中国人観光客パワー健在、春節に172ヶ国で1.6兆円 日本は2番人気 嗜好に気になる変化も

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中国人観光客パワー健在、春節に172ヶ国で1.6兆円 日本は2番人気 嗜好に気になる変化も

 今年の旧正月の休暇(1月27日から2月2日)を利用し海外旅行をした中国人の数は、615万人(中国国家観光発表)で過去最高になった。爆買いがトレンドだった2015年までと違い、いまや中国人観光客が求めるのはモノよりも体験で、その行き先も多様化している。中国人観光客がもたらす経済効果は絶大であることから、制度、サービスを充実させ、より多くの旅行者を取り込もうとする動きが各国で加速している。

◆行き先別では日本2位。体験型観光が人気
 ウェブ誌『Shanghaiist』によれば、旧正月の人気旅行先の1位に輝いたのはタイで、近場で費用が安いことに加え、12月から2月にかけてビザ代を減額したことが功を奏したようだ。2位に選ばれたのは日本で、爆買いは沈静化したものの、体験型の観光が人気を呼んだという。新華社によれば、旧正月に限らず最近の日本旅行では、民家での宿泊から盆栽鑑賞、温泉に浸かるサルの見学まで、ローカルで特徴あるものが選ばれているとのことだ。また、健康診断、病気の治療などのメディカル・ツーリズムも増えているという。

 3位はアメリカ、以下シンガポール、オーストラリア、マレーシアと続き、昨年4位だった韓国は7位に後退した。昨年トップテン入りしていた台湾、香港、インドネシアは姿を消し、代わってインド、フィリピン、ベトナムがランクインした。

◆新たなトレンドはアフリカ?親を連れての家族旅行も増加
 中国人観光客の嗜好の変化は、他の国々でも顕著だ。新華社によれば、アフリカでは自然に触れ、野生動物を見ることのできるケニアの人気が急上昇。現地の代理店によれば、いまやこれまでのアフリカ観光の二本柱だった南アフリカ、エジプトと並ぶ注目スポットとのことだ。

 フォーブス誌によれば、テロ事件などの影響で人気が衰えていたヨーロッパも復活し、今年の旧正月には昨年から56%増の中国人観光客が訪問。スペイン、イギリス、イタリア、フランスが好調で、航空機のルートや接続が改善されたチェコ、オーストリア、ロシアまで足を延ばす人も増えたという。新華社は、ポンド安の影響もあるが、豊かな歴史と伝統を持ち、大英博物館などの見どころあふれるイギリスに魅かれる中国人が特に多いとしている。またフランスに関しても、高級品を買いあさる傾向は薄れ、人気ブランドの商品を求める方向にシフトしており、薬用化粧品などがよく売れているとのことだ。

 今年の旧正月旅行の特徴は、家族旅行が増えたことで、旅行予約を分析するFowardKeys社によれば、家族旅行の予約数は昨年に比べ18%伸びて、全体の51%になった。その理由のひとつとして上げられるのが、地元を離れて上海や北京などの大都市で暮らす人々が、家族とともに海外で旧正月を過ごす、または海外在住の若いプロフェッショナルが、家族を呼び寄せて海外で過ごすケースが増えたことだという。これらの人々は、概して収入が高く、老いた両親のために多額の旅費を支払うことをいとわない。また、宿泊に関しても、家族で過ごしやすく、公共交通機関へのアクセスがよく、両親の食べ慣れた中国料理を出すホテルを好む傾向があるという(フォーブス誌)。これは中国で次々と生まれる若い成功者による新しいニーズで、時代の反映とも言えそうだ。

◆経済への貢献は絶大。中国の海外旅行客が世界を救う?
 中国経済の景気が減速しているとは言え、中国人の世界の観光地での消費はいまだに力強い。Shanghaiistによれば、今年の旧正月では、中国人の海外旅行の行き先は世界172ヶ国にわたり、消費は総額で推定143億ドル(約1.6兆円)と見積もられている。

 中国人観光客を呼び込むため、世界各国では中国からの直行便の増便、安い運賃の設定などの対応が広がっている。また、中国人に対するビザのルールを緩和する動きも活発で、現在アメリカ、カナダ、シンガポール、イスラエル、オーストラリアなどが、観光用に10年間の数次ビザを中国人に発給している(Shanghaiist)。

 中国では、海外旅行に行く人は、年間で収入の4分の1をつぎ込んでいる計算になり、世界で最もお金を使う旅行者だとフォーブス誌は述べる。ホテルだけをとっても、78%が三ツ星以上を好むといい、世界の観光業にとって中国人観光客は最高のお客様といえる。今後も彼らの需要を取り込むための努力が、各国で続けられることになりそうだ。

(山川真智子)

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