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愛と性欲を警戒? 米国でもセックスしない若者が増加 推測される現代特有の原因とは?

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愛と性欲を警戒? 米国でもセックスしない若者が増加 推測される現代特有の原因とは?

 若者の「草食化」はアメリカでも進んでいるようだ。米3大学の教授らによる研究で、アメリカの若者のセックス離れが進んでいることが示された。「18歳になってからセックスをしていない」20~24歳の若者の率は、1990年代生まれでは15%だった。これは60年代生まれが20~24歳だったときの6%の倍以上だった。

◆長期にわたって実施された社会調査から世代の特徴を抽出
 この研究は、サンディエゴ州立大学ジーン・トウェンジ教授(心理学)、フロリダ・アトランティック大学ライン・シャーマン准教授(同)、ワイドナー大学人類性研究センターのブルック・ウェールズ准教授(社会心理学)によるもの。国際性科学研究学会(インターナショナル・アカデミー・オブ・セックス・リサーチ)機関誌「アーカイブズ・オブ・セクシャル・ビヘイビア」に掲載され、1日にオンライン公開された。

 この研究は、米シカゴ大学全国世論調査センターがアメリカの成人(18歳以上)を対象として大規模に行っている標本調査「総合社会調査」(GSS)の、1989~2014年の調査結果に基づいている(CNN)。

 研究ではGSSの「性のパートナー」に関する質問について集計、1960、70、80、90年代生まれがそれぞれ20~24歳だったときの回答を比較した。結果、90年代生まれでは「18歳以降、性のパートナーがいない」人の比率が15%をわずかに上回った。60年代生まれでは6%をわずかに上回る程度で、70~80年代生まれでは12%近くだった(ガーディアン紙)。

 またより概括的に、1980~90年代生まれの世代は、1960~70年代生まれの「ジェネレーションX (X世代)」に比べ、「18歳以降、性のパートナーがいない」率が高かったとしている。

「パートナー」といっても、継続的な関係に限定されるものではなく、行きずりの関係を含む。ガーディアン紙とワシントン・ポスト紙(WP)は「18歳になってからセックスをしていない」層として伝えている。

◆「ミレニアル世代」のイメージを裏切る結果?
 アメリカでは、1980~90年代生まれの「ミレニアル世代」には、出会い系アプリなどを駆使して行きずりのセックスを以前の世代よりも頻繁にしていそうだとのイメージがあるらしい(論文アブストラクト)。しかし研究結果はそれに反するものだったと、シャーマン准教授らは語っている(ガーディアン紙)。むしろ、「性のパートナーがいた」率が60年代生まれで異常に高かったという印象だ。

 性行為をしていない若者の増加傾向、セックス離れの傾向は、男性よりも女性で顕著だったという。ガーディアン紙によると、性行為をしていない女性(の若者)の比率は、1960年代生まれでは2.3%だったが、1990年代生まれでは5.4%だった。これは一部には、(結婚まで性行為はしないという)純潔の誓いの増加と、社会的不名誉への心配が原因の可能性があると、論文の執筆者らが示唆しているという。

 黒人と、大学教育を受けた人では、セックス離れの傾向は見られなかったという(論文)。

 GSSの質問の性質上、これらの若者が童貞・処女かどうかについては分からない。18歳になる前にセックスの経験はあるが、その後はしなくなったという可能性もある。けれどもシャーマン准教授は、もっとシンプルな解釈がありうると考えているという。「このことがおそらく意味しているのは、昔よりも性経験のない若者が増えているということだ」(ガーディアン紙)。

 その見方を補強するようなデータがある。米・疾病管理予防センター(CDC)が行った調査によると、性経験のある高校生の比率は、1991年の54%、2013年の約47%から、2015年には41%に低下したという(WP)。急激な変化だ。

◆セックス離れの理由について、どのようなことが考えられるか
 今回の研究では、セックス離れの理由については調べていないが、論文執筆者らは、無数の要因がこの傾向の原因となっている可能性があると示唆した、とガーディアン紙は伝える。

 たとえば、ゲームやインターネットの利用拡大で、以前とは時間の過ごし方が変わって、現代の若者は家で過ごす時間が長くなっており、それが影響しているという説(ガーディアン紙)。トウェンジ教授はCNNで、もし友人たちとのメッセージのやりとりに費やす時間が増え、実際に会う時間が減っているなら、性行為の機会が減るかもしれない、と語っている。あるいは、もっとシンプルに「自分一人で楽しむ方法が以前よりもたくさんあって」、セックスが昔ほど重要ではなくなっている、との見方も示している。これにはいわば「娯楽としてのセックス」の地位低下という面もあるだろう。またシャーマン准教授は、ポルノが簡単に手に入るようになったことの影響もありうるとしている(ガーディアン紙)。

 ミレニアル世代は「デジタルネイティブ」世代とも言われる。物心ついた時から、パソコンやネットなどが当たり前に身の回りに存在していた世代だ。トウェンジ教授はWPでも、直接対面よりも画面越しのやりとりが増えたことが一因となっている可能性があるとしている。さらに、出会い系アプリなどの利用者の間では、見た目を重視する傾向が強まると指摘。「そのことは人口の大部分を除外することになる」。面と向かった出会いならば「自分の持つ魅力で相手を引きつけることができる」が、出会い系アプリではそれとは異なって、「一部の人はより少ない選択肢しか与えられず、パートナーを探すことにますます気乗りしなくなっているのかもしれない」と語った。

◆ミレニアル世代は「最も用心深い世代」
 またトウェンジ教授は、(性行為をしない若者の増加は)若者の成熟が遅くなっているという全体的な傾向の一環だと説明している。むしろ、大人としての独り立ちと言ったほうが正確なようだ。教授は、現代の若者は昔の若者よりも就職率、結婚率が低く、親との同居率が高いのとまさに同じように、この性的傾向(セックス離れ)は、一部には経済状況と関係があるかもしれない、と指摘している(CNN)。

 WPはミレニアル世代のさまざまな特徴からセックス離れを説明しようとしていて、記事はさながらミレニアル世代論の様相を呈している。いわく、この世代は成功への執着が強く、勉強などの邪魔になりかねない交際をいとう。また(性行為をしたことが原因で)ネットで陰口をたたかれることを警戒している、など。WPによれば、ミレニアル世代は最も用心深い世代と言われている。車のチャイルドシート、自転車のヘルメットとともに育った最初の世代であり、学校まで歩いていくことや遊び場に一人で行くことを許されなかった最初の世代だ、と語る。それゆえこの世代は、愛と性欲が引き起こす感情に対しても警戒心を抱いているとの旨を語っている。

(田所秀徳)

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