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THAAD巡り中韓が駆け引き 北朝鮮に接近の中国、“探知情報を日本と共有しない”と韓国

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THAAD巡り中韓が駆け引き 北朝鮮に接近の中国、“探知情報を日本と共有しない”と韓国

 在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を巡り、朴槿恵(パク・クネ)大統領就任以来、蜜月関係が続いていた中韓関係が危機を迎えている。中国は、THAAD配備によりアメリカに軍事情報が補足されることを極度に警戒し、たびたび韓国に圧力をかけてきた。24日にも、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議が開かれているラオスの首都ビエンチャンで、中国の王毅外相が韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相に「最近の韓国の行動は両国の信頼関係を損ねた。どのような実質的な行動を取るのか聞きたい」と迫った。

 一方、韓国・聯合ニュースは、韓国はTHAADのレーダーが探知した北朝鮮のミサイル情報を、日本とは共有しない方針を立てていると報じた。その反面、ビエンチャンで行われた日韓外相会談では、慰安婦問題での合意を通じ、日韓関係が正常化に向かっていることが強調された。

◆米国への軍事情報の漏洩を懸念
 中韓外相会談での王外相の発言について、聯合ニュースは、「THAADの在韓米軍への配備を中止するよう、事実上求めたものとみられる」としている。中央日報も、「中国は韓国のTHAAD配備決定以降、持続的に反対の立場を表明してきたが、要人が同席している場所でこのような発言をしたのは初めてだ」と、中国の本気度を強調する。

 米韓は、THAADの配備は、あくまで北朝鮮のミサイルの脅威に対抗するためだとしているが、中国が強く警戒するのは、ミサイル補足のためにシステムに組み込まれる「Xバンドレーダー」だ。既に在日米軍のミサイル防衛網にも配備されているが、これが韓国にも配備されると、中国の軍事情報が米軍に筒抜けになるというのが中国側の懸念だ。中国は、今年に入ってから、アメリカではなく韓国を恫喝する形で、駐中韓国大使を呼び出して抗議するなどして牽制を続けてきた。今月8日に配備が正式決定すると、外務省、国防省が公式に反対声明を出してより非難を強め、今回のビエンチャンでの直接抗議に至った。

 中国は韓国批判を強める一方で、北朝鮮と急接近しているという報道もある。朝鮮日報は、24日にビエンチャンに向かう同じ飛行機に王外相と北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相が乗り合わせ、「6時間半のフライトでさまざまな話を交わしたと見られる」とし、2年ぶりの正式な外相会談も実現の見通しだと伝えている。韓国外交筋は、同紙に「南シナ海の領有権争い、THAAD配備などで米中に溝ができた状態で北朝鮮と中国が接近すれば、国際社会の対北朝鮮制裁協調にもひびが入りかねない」と懸念を表明している。

◆中韓メディアも舌戦
 両国のメディアも、中国が非難し、韓国側がかわすという構図で舌戦を繰り広げている。中国英字紙『グローバル・タイムズ』などが、「韓国の政界関係者の入国制限を」「THAADをミサイルで狙え」などの過激な論調を繰り返し、韓国メディアは「韓国は中国のアジアインフラ銀行(AIIB)にも加盟している」「中国が韓国を報復すれば失うものの方が多い」と沈静化を図るという具合だ(産経ニュース)。26日付のグローバル・タイムズ紙上では、同紙編集長、中国共産党機関紙『人民日報』の副編集長と韓国公共放送局『KBS』の報道局長が、直接論戦を繰り広げた。

 人民日報副編集長は、「韓国のTHAADは、北東アジアの安全保障に影響を及ぼす。アジアのメディアは、この問題を喚起・分析し、国民的な議論を呼び起こさなければならない」と問題の沈静化どころか火をつけるべきだと主張。KBS報道局長は「THAADはあくまで北朝鮮の脅威から韓国を守るためのものだ」と中国側の理解を求めた。グローバルタイムズ編集長はこれに対し、「THAADは韓国ではなく、米国がコントロールしている」としたうえで、その真の狙いは中国とロシアの核抑止力を弱体化することだと反論した。

 人民日報側はまた、欧米メディアがアジアのニュースを語る権威になることを良しとせず、アジアのメディアの結束を訴えた。同紙副編集長は「そのため、アジア諸国はゼロサムなイデオロギーを捨て、意見の一致と相互理解を深めるべきだ」と述べた。「アジア」には日本も含まれると思われるが、うがった見方をすれば、日韓をはじめとするアジア諸国は中国に従い、共にアメリカに対抗すべきだと言っているようにも聞こえる。

◆日韓関係は「雪解け」か「反日の継続」か
 岸田外相と尹外相は、前夜の中韓外相会談から一夜明けた25日午前に会談した。岸田外相は冒頭発言で、慰安婦問題での合意以降、両国関係が正常化していることを評価。北朝鮮の核実験やミサイル発射を受け、尹外相と電話会談し、円滑な意見交換が行われたことは両国関係の進展の結果との認識を示した。今月28日に設立される見通しの慰安婦被害者支援財団の運営上の問題や、日本から財団への10億円の拠出時期についても意見が交わされた模様だ(聯合ニュース)。

 日韓関係について、「慰安婦」を巡っては雪解けムードを伝えた聯合ニュースだが、THAADについては、韓国と米国は「レーダー情報を日本とは共有しない方針を立てている」と報じている。「複数の韓国政府関係筋の話」として伝えているところによると、「在韓米軍のTHAADレーダーの探知情報まで日本に提供するのではないかという主張があるが、事実と異なる」といい、「技術的にはTHAADレーダーの探知情報を(日本と)共有できるが、北のミサイルの下降段階に関する探知情報を早期警報の目的で活用することは実効性がない。(従って)THAADレーダー情報は日本に提供されない」のだという。

 さらに、韓国政府関係筋は聯合ニュースに対し、「THAADのレーダーが探知した情報は米本土とも共有しない」と説明。米韓のミサイル防衛式体制も別々に敷かれるとし、「THAADは北の核とミサイルに対応し、韓国と韓米同盟の軍事力を守る用途で運営される米軍の独自運営システム」だと強調した。うがった見方をすれば、これも中国を意識した釈明めいた発言のように聞こえる。「反日」という軸では協調路線を取り続ける中韓だが、ミサイル防衛を巡る亀裂の修復は容易ではなさそうだ。

(内村浩介)

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