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支配地域が縮小するISがバングラデシュに目をつけた理由 「狼の群れ」攻撃の脅威

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支配地域が縮小するISがバングラデシュに目をつけた理由 「狼の群れ」攻撃の脅威

 先月28日にトルコのイスタンブール、今月1日にバングラデシュの首都ダッカ、3日にイラクの首都バグダッドとテロ事件が相次いで起こり、多数の犠牲者が出た。後2者に関してはイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した。トルコの事件についても、同国政府はISが犯行に関与したとの見方を示している。ダッカでのレストラン襲撃事件に関して、ワシントン・ポスト紙(WP)、ニュース専門放送局CNNなどの米メディアは、ISが活動の中心としてきたイラクとシリアの支配地域が縮小する中、ISは世界の他の地域での勢力拡大を急いでいるという背景を重点的に報じた。

◆多くの米メディアはISと関連しているとの見方
 ISの前身ISIS(イラクとシリアのイスラム国)は2014年6月に「イスラム国」の樹立を宣言した。現在、アメリカを中心とする有志連合やロシアによる空爆、政府軍や民兵組織との地上戦によって、その支配地域は縮小傾向にある。

 バングラデシュ政府閣僚は、ダッカの事件は国内のイスラム過激派組織によるホームグロウン・テロで、ISとの連関はないとの見方を示したが、WPやインターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙(INYT)など多くの米メディアは、犯行グループとISとの連関を自明のものと見ている。

◆支配地域を失いつつある中、世界への拡散を図るIS
 ISは、イラクとシリアの支配地域を失う中、世界的拡散を図ることに重点を置いているようだ。

 WPは、米下院情報問題常設特別調査委員会のアダム・シフ下院議員の「ISは支配地域を大きく失いつつあるが、それと同時に、世界的影響力を拡大している」との米メディアでの発言を伝えている。CNNは、ある欧米の対テロ当局者の「ISにとって中心的な支配地域で持ちこたえることがますます難しくなるにつれて、テロの転移が予想できる」との発言を伝えた。

 ISの指導者らはイラクとシリアの戦場での敗北のせいで、海外でのテロ攻撃の予定を早めるよう駆り立てられたようだ、と米情報機関職員は語っている(WP)。ケリー米国務長官は、テロ攻撃は、ISが指揮したものであれ、ISに触発されたものであれ、イラクとシリアのISの支配地域が少しずつ削られるにつれてISが破れかぶれになっているしるしだと、たびたび語っているという(同)。

◆バングラデシュがISに目を付けられる理由とは
 INYTは、バングラデシュの襲撃事件は、ISが重点を中東の外に移していることの新たな証拠であると報じた。CNNは、ISは中核地域が窮境に陥る中で、アジアで増大する存在感を築こうと試みていると語る。ダッカの事件については、アジアでのISの影響力拡大のもう1つの実例であるとした。

 バングラデシュには、ISが目を付ける理由があった。INYTは、バングラデシュ国民1億6000万人は、急増する25歳未満人口を含め、ほとんど全員が(ISも属する)イスラム教スンニ派だと伝える。これによってバングラデシュは、ISの新兵募集の場として非常に役立つ場所になっていると語る。日本の外務省ウェブサイトによると、2001年国勢調査で、バングラデシュ国民のイスラム教徒率は89.7%だった。

 CNNは、2013年以来、世俗主義のバングラデシュ政府が、同国最大のイスラム政党「イスラム協会」を弾圧したことへの反発で、バングラデシュではイスラム原理主義者が暴力に訴える例が増えている、と語る。同年以降、これまでに同党の幹部4人が、1971年のパキスタンからの独立戦争時の戦争犯罪で死刑判決を受け、執行されている。2013年にその判決が下された際には大暴動が発生し、AFPによると約500人が死亡したという。イスラム過激派によるテロの下地は、十分にあったということだ。CNNによると、ISやアルカイダはこの機に乗じてバングラデシュでの存在感を高めようとしていたという。

 インド・平和紛争研究学会のAnimesh Roul会長は、バングラデシュを狙いとしたISの大宣伝が行われている、と米陸軍士官学校の対テロ戦闘センターの機関誌の記事で指摘した(CNN)。そして、「アルカイダとISによる、バングラデシュを世界的ジハードの最新の戦域にする試みは、ジハーディストの共鳴の高まりを生み出していて、それが国内組織に活動を起こさせている」と結論している。

◆ISの活動に関する今後の懸念は海外でのネットワーク作り
 今後の懸念について、INYTは、今回の襲撃はバングラデシュの過激派組織が国際化しつつあることも示唆しており、これは、アメリカがISの拡大阻止に務める中で、重大な懸念である、と語っている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙社説は、南アジアの膨大なイスラム教徒人口にISが食い込むにつれて、この種の襲撃がさらに起こるのは確実だろう、と語っている。

 WPは、一匹狼型でなく、集団によるテロが増えていることに懸念を示している。元CIAの対テロ担当官、現在は米シンクタンク・ブルッキングス研究所でアルカイダとISの分析者を務めるブルース・リーデル氏は、「イスタンブールとダッカのテロ攻撃で私の注意を引くのは、どちらも一匹狼が実行したものではまったくないということだ」「非常に練り込まれた攻撃計画で動いているテロリストチームが実行した。私は『狼の群れ』攻撃と呼んでいる。それは急速にISの特徴となりつつある」と語り、その危険性について言及している。

(田所秀徳)

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