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銃乱射:繰り返される悲劇と「終わらない議論」 大統領候補の間でも割れる見解

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銃乱射:繰り返される悲劇と「終わらない議論」 大統領候補の間でも割れる見解

 アメリカ・フロリダ州オーランドのナイトクラブで12日未明に起きた米史上最悪の銃乱射事件を受け、米世論が3つの問題で揺れている。ワシントン・ポスト紙(WP)は、「アメリカの文化と政治で最も議論を呼んできた3つ問題-ゲイの権利、銃規制、テロリズム-が、日曜日の未明、オーランドのナイトクラブで恐ろしい形で衝突した」と事件直後に書いた。各主要メディアの社説や論説記事も、いずれもこれらの議論に沿った内容だ。同様の悲劇が起きるたびに米世論は真っ二つに割れ、結論が出ないまま次の事件が起きるということを繰り返してきた。大統領選を控えたタイミングで起きた今回の悲劇。今度こそ終わらない議論に終止符が打たれるのだろうか?

◆トランプ氏らは大統領のテロへの「弱腰」を批判
 オバマ大統領は事件直後、ゲイが集まるナイトクラブが襲われたことについて、「性的少数者(LGBT)にとって胸が張り裂けそうな日だ」と述べ、事件の背景に同性愛者に対する偏見や憎悪があることを強調した。さらに、「犯人は拳銃とアサルトライフルで武装していたと思われる。武器を手にすることによって、学校や家庭、職場、映画館やナイトクラブでいかに簡単に人々を撃つことができるか、改めて思い知らされた」と、任期中も繰り返されてきた銃乱射事件を念頭に銃規制強化の必要性を訴えた。

 また、オバマ大統領は「まだ捜査の初期段階ではあるが、事件はテロとヘイトに結びついた行為だと言うのに十分なものだ」と、イスラム過激派テロとの関連を事実上認める発言もしている。しかし、大統領選の共和党の指名獲得を確実にしているドナルド・トランプ氏にとっては、これでは全く不十分だったようだ。トランプ氏は大統領が「イスラム過激派」という具体的な言葉を一切出さず、犯行とイスラム思想の関係も明言しなかったとして、強い不満を訴えた。オバマ氏の記者会見が終わった直後には「オバマ大統領は、いつイスラム過激派テロという言葉を使うのか?このままなら、恥を晒したかどで直ちに辞職すべきだ!」とツイートしている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)も、社説で「ISが米国内に与える危険性を認めたがらない姿勢を改めたほうがいい」と、大統領の弱腰を批判。『事件を「テロ行為」と断言したものの、「イスラム」「ジハード」「イスラム国」といった言葉をいまだに使用していない』と、トランプ氏と同様の指摘をしている。そして、「ISに感化されたあらゆるテロ行為を未然に防ぐことはできないというのが悲しい現実だ。唯一の現実的な解決策は、世界中の若いイスラム教徒がISを未来の先導者とみなさないよう、国外の安息地にいるISを壊滅させることだ」と武力による徹底抗戦を訴えている。

◆米世論の分裂はテロ組織の思う壺?
 トランプ氏は、昨年のパリでの同時多発テロ事件の折にも、「パリの銃規制は世界一厳しい。だから、テロリストしか銃を持っていない。市民が銃を持っていれば事態は違っていただろう」と発言するなど、事あるごとに「銃乱射事件を止めるのは銃だ」と銃規制の強化に反対している。今回の事件を受けても、「私は(イスラム教徒入国)禁止を要求した。タフにならなければならない」とツイートし、銃よりも移民の規制強化を訴えている。

 一方、民主党の指名を確実にしているヒラリー・クリントン前国務長官は、「今回使われたような銃がテロリストや犯罪者の手に渡らないようにしなければならない。戦争用兵器が街中に存在する余地はない」と、トランプ氏とは真逆の立場を鮮明にしている。両氏の発言を受け、WSJをはじめとする米主要メディアは、今回の事件により、銃規制強化の是非が大統領選の争点としてよりクローズアップされるのは確実だと見ている。

 とはいえ、アメリカでは、これまでも銃撃事件や自爆テロが起きるたびに同様の議論が巻き起こっては消えていったのも事実だ。WPは「9.11以来、このような事件が国を結束させ、議論が巻き起こっては徐々に薄れていくことを繰り返してきた。その結果、災難が起きるたびに左と右は溝を深め、国家機関の信用は低下している」と嘆く。ジョージタウン大学のテロ専門家ブルース・ホフマン氏も、「社会の分極化を引き起こすことが過激派の利益になっている」と指摘(WSJ)。アメリカの「終わらない議論」自体が敵対勢力につけ入る隙を与えているという見方も出てきている。

◆世界にはためく「レインボー・フラッグ」
 一方、オバマ大統領の発言に代表されるゲイ差別への怒りと同情は、世界中に広がっているようだ。CNNは、SNS上でヘイトに屈しない姿勢を示す投稿が欧州などから相次いでいると報じている。カトリックの教義上同性愛に批判的なバチカンでさえも、異例の強い表現で事件を非難するローマ法王の声明を発表している。イギリスのエリザベス女王も「フィリップ王子と私はオーランドの事件にショックを受けています。私たちの心と祈りは、被害を受けた全ての人々と共にあります」とツイートしている。

 LGBTの尊厳を象徴する6色の「レインボー・フラッグ」を掲げて事件への怒りと被害者への哀悼の意を表す動きも世界に広がっている。CNNによれば、パリやシドニーでレインボー・フラッグを掲げた追悼集会が開かれたほか、イスラエルのテルアビブでは、市庁舎がレインボー・フラッグと星条旗、イスラエル国旗の模様でライトアップされた。中国では、51のLGBT団体が「哀悼、団結、愛」を表明する共同声明を発表。また、中国最大のゲイの出合い系サイトは、トップ画面をレインボー・フラッグと星条旗を組み合わせたリボンのイラストに変えた。韓国のソウルでも、ゲイとレズビアンの団体が追悼集会を計画しているという。

 こと「ゲイの権利」については、犯人の憎悪とは裏腹に、より世界の結束を強める結果となったようだ。

(内村浩介)

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