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豪潜水艦問題で日本のナショナリズムが加熱? 日本の反応に関心を寄せる豪メディア

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豪潜水艦問題で日本のナショナリズムが加熱? 日本の反応に関心を寄せる豪メディア

 受注確実と思われた豪潜水艦契約を日本が逃したニュースは、オーストラリア国内でも大きく報じられた。発表から数日後、豪メディアは日本側の反応を紹介しており、一部の識者からは、豪政府の対応のまずさが、今後の日豪関係や豪の国際的信用に悪影響を及ぼすという意見も出ている。

◆日本の関心は高かった
 潜水艦契約決定のニュースは、フィナンシャル・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)のアジア版の一面を飾った。WSJの社説は日豪の戦略的協力強化の機会が失われたと述べているが、オーストラリアン紙に記事を寄せたジャーナリストで外交評論家のグレッグ・シェリダン氏はそれについて、「豪、中国の圧力で日本の入札を退ける」という見出しは、豪には致命的だったと述べている。

 武蔵野大学の政治学教授、ドナ・ウィークス氏は、豪ニュース&論評サイト『Conversation』にて潜水艦問題での日本の反応を紹介し、受注失敗の記事が翌日のオンラインニュースを埋め尽くし、数日後も関連ニュースが報じられたと述べ、その関心の高さを伝えた。ソーシャルメディアでは、親中の豪への技術流出を避けることができてよかったという意見から、ターンブル首相の義理の娘が中国人であることや日本の捕鯨に対する豪のスタンスが影響したという意見もあり、安倍政権の防衛政策によって培養されたナショナリズムが、潜水艦問題によって再び加熱したと同氏は見ている。

◆他国も信頼性に疑問符
 シェリダン氏は、元朝日新聞主筆で評論家の船橋洋一氏の、「日本側はアボット前首相と安倍首相の交わしたハイレベルな約束がこのように粗末に捨てられるとは思いもしなかった」という言葉を紹介し、今回の事件が日本に不信感を与えたと見ている(オーストラリアン紙)。シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH)は、そもそも豪政府が日本やアジアでの口約束の影響力を理解していないことが問題だったと指摘し、これまでもアジア諸国との間でトラブルがあったと述べている。

 同紙によれば、豪政府はアボット政権時代に韓国政府と補給船の建造で話し合いを進めていたものの、結局選ばれたのはスペイン企業だったという。すでに準備万端で、先頭を走っていると思っていた韓国政府は、不当な扱いを受けたとして不快感を露わにしている。オーストラリア国立大学のアンドリュー・カー氏は、潜水艦の件も含め、豪のこのような態度を問題視し、「頼れる貿易相手としての我々の評判が傷つき、防衛契約以外の分野にも波及する可能性がある」と指摘。豪は信頼という面により注意を払うべきだと反省を促している(SMH)。

 豪にとって7番目に大きい貿易相手国である台湾も、豪に対して苛立ちを感じているようだ。台湾は豪とのFTA(自由貿易協定締結)を望んできたが、中国とのFTAを締結させた後ならば、と歴代の政権に期待を持たされ、結局今も待たされたままだという。台湾の交渉担当者は、経済と外交は切り離せるということを近隣諸国に見せる意味でも、あいまいな態度はやめ、交渉を進めてもらいたいとしている(SMH)。

◆安全保障への影響は必至
 シェリダン氏は、今回の事件は日米豪の防衛関係にも影響を与えたと述べ、日本の識者の見方を紹介している。船橋洋一氏は、安倍首相は日米豪の同盟がいかにうわべだけのものかに気付かされたとし、日本をバックアップしたアメリカも落胆していると述べている。京都大学で国際政治を教える中西寛教授は、受注失敗に中国の影響があるとするなら、豪は日本、さらにはアメリカにも近づきすぎないというメッセージを送ったことになるとした。結局潜水艦問題で、アジアはさらに豪が中国の圧力に締め付けられていると理解し、アメリカも同盟国の不安定さをさらに認識したとシェリダン氏は分析している。(オーストラリアン紙)。

 同氏は、もし豪のリーダーが自国が直面する複雑な安全保障環境について語り、アジアとのつながりの必要性を訴えるなら、そしてアメリカの衰退とアジアにおける戦略的縮小が真実であるなら、豪にとって何よりも大切なのは日本との密接な関係だと主張する。今回の事件がそのチャンスを遠ざけたとし、影響を軽視することはできないと見ている(オーストラリアン紙)。

(山川真智子)

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