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インドを南シナ海問題に巻き込みたい米国“日米豪印で合同巡視しよう” 対してインドは?

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インドを南シナ海問題に巻き込みたい米国“日米豪印で合同巡視しよう” 対してインドは?

 アメリカ、インド両海軍が毎年行っている海軍演習(海上共同訓練)「マラバール」。日本の海上自衛隊もこれまでに4回参加しているが、今年から継続参加することが決まっている。2日、米太平洋軍のハリス司令官は、今年の演習はフィリピン海のフィリピン北部で行うと明らかにした。南シナ海に近い海域だと伝えられている。ハリス司令官のさまざまな発言から、アメリカは現在、南シナ海での他国との合同巡視を渇望していることがうかがわれる。アメリカはこれにインドを引き込みたいようだ。ハリス司令官らはインドにラブコールを送っている。

◆昨年の首脳会談でマラバールへの日本の継続参加が決定
 マラバールは米印両海軍が1992年より行っているもの。インドの核実験が原因で1998年より中断していたが、2002年に再開、それ以降は毎年行われている。基本的には米印の2国で行われるが、他国が招待国として参加することがある。日本はこれまでに2007年、09年、14年、15年に参加した。

 マラバールはインド洋と太平洋で交互に実施されており、昨年はインド洋の番だった。インド洋での実施の場合には、インドは中国を刺激することを警戒して、他国を招待するのを控えていたが、昨年はその慣習を破って、8年ぶりに日本を招待した。この措置は、中国が地域で主張を強めていることへの対抗措置とみなされた、とロイターは語っている。

 昨年、安倍首相とインドのモディ首相は首脳会談で、日本がマラバールに継続的に参加することで合意した。一部海外メディアは、日本が正式メンバーになったとの扱いをしているが、そう言い切るには微妙なところがある。外務省によれば、モディ首相は昨年12月の首脳会談で「日本を継続的に招待していきたい」との旨を語っている。

◆マラバールの枠組みを南シナ海での合同活動につなげたいアメリカ
 このように、インドは中国を過度に刺激しないよう注意を払いつつも、中国の振る舞いへの懸念から、アメリカや日本との安保協力を強化している。またインドは、南シナ海などで海洋のルールが順守されることを重視している。

 こういった背景の中、アメリカは、インドを南シナ海での対中国勢力の一員に招き入れることを、本気で考えているようだ。今年のマラバールが南シナ海に近い海域で行われるのも、そういったことが念頭にあるようだ(これまで太平洋で行われる場合は、日本近海で行われることが多かった)。

 ロイターによると、ハリス司令官は2日、インドの首都ニューデリーで、アメリカは、毎年インドと実施している海軍演習マラバールを、アジア太平洋全域での合同活動に発展させることを望んでいると語った。ロイターは、もしそうなれば、インドは、南シナ海問題に直接的に巻き込まれるかもしれない、とコメントしている。

 インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙(INYT)も、ハリス司令官が「合同訓練が、合同活動につながっていくだろう」と語ったと伝える。ブルームバーグによれば、「インド、日本、オーストラリア、アメリカ、そして意を同じくする他の多くの国は、大志を抱くことで、国際法が認めるところであればどこででも合同巡視を目指していける」と語ったそうだ。

◆アメリカは各国の海軍力の結束が必要と訴える
 マラバールが南シナ海に近い海域で行われることで、中国はいらいらしそうだ、とブルームバーグは語る。またロイターは、この措置は中国との緊張をさらに高めそうだ、と語っている。

 ブルームバーグによれば、昨年12月、日本が今後、マラバールに恒常的メンバーとして参加するとの発表があった後、中国はそれに反対を唱えていた。「関連国は、地域での対立を刺激し、緊張を作り出すべきではない」と中国外交部の洪磊報道官が述べたという。これはおそらくインドに向けられたメッセージだろう(なお、ブルームバーグは、日本がマラバールの正式参加国になったとの見方に基づいて報じている)。

 ハリス司令官はそれに真っ向から対立し、中国の振る舞いに対抗するため、各国の結束が必要だとの立場を主張する。強大な国が、威嚇と強要によって自分たちより小さな国をいじめようとしているが、それを防ぐには、広範な海軍協力が最良の方法だと主張した、とINYTは伝える。

 ブルームバーグは、日本、オーストラリア、インドが昨年6月、3国間の(外交当局の)協議を初めて行い、海洋安全保障と航行の自由について話し合った、と伝える(日豪印次官協議。今年2月に第2回が実施された)。ハリス司令官は、アメリカがこのグループに加われば有益だろう、と語ったという。「この対話にアメリカが加われば、国際ルールに基づく秩序を後ろ盾としてわれわれが団結しているというメッセージを増強できるだろう。この秩序は、平和を維持しているものであり、われわれ皆にとって極めて重要なものだ」と語ったという。

◆インドには今のところその気はない様子?
 INYTは、モディ首相の就任以来、インドはアメリカとの海軍協力を強化している、と伝える。インドの安全を脅かすような中国の振る舞いがその原動力となっている。

 だがそれでも、南シナ海での合同活動の必要性については、アメリカとインドの認識のギャップは大きいようだ。

 例えばアメリカの駐印大使は、インド、アメリカ両海軍の艦船による合同巡視が「インド太平洋中の海域で、ありふれた、歓迎される光景になる」ことを期待していると表明した(INYT)。またロイターで先月、米当局者が、インドが南シナ海で合同巡視に参加するかもしれないとほのめかした報道があったが、インド当局者はそれをはねつけた、とINYTは伝える。南シナ海の合同巡視は、オーストラリアや日本といった、条約に基づく同盟国でさえも承諾していないものだ、とINYTは語る。

 またINYTによると、ハリス司令官は2日、かつて存在していた、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの海軍からなる、非公式の戦略的提携を復活させることを提案したという。これは、2007年に安倍首相の提唱により発足した「日米豪印戦略対話」のことを指していると思われる。INYTはこれを「日米豪印4ヶ国の安全保障グループ」と捉えている。この提携は中国から抗議を受け、また後にオーストラリアが(政権交代後に)脱退し、瓦解(がかい)した、とINYTは語る。

 INYTによると、アメリカは戦略的同盟を結ぶことに慎重なインドに対して、中国の海洋進出を相殺する海軍力ネットワークの一部となるよう、この種の提案を繰り返し持ちかけているという。だが、アメリカの提案のいくつかは、希望的観測の気味がある、と語っている。インドの意図を無視した皮算用と言ってもよさそうだ。

「インドがそれだけはしたくないと思うのは、はからずも南シナ海での第一線のプレーヤーになってしまうことだ」と安全保障専門家のNitin A. Gokhale氏は語っている。

(田所秀徳)

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