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“邦人殺害、ISの犯行ではない”とバングラデシュ首相 背後に根深い与野党対立か

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“邦人殺害、ISの犯行ではない”とバングラデシュ首相 背後に根深い与野党対立か

 バングラデシュで3日、日本人の星邦男さんが殺害された事件は、過激派組織「イスラム国」(IS)のバングラデシュ支部を名乗る組織が犯行声明を出したことで、大きな波紋を呼んでいる。先月28日には同国でイタリア人支援活動家が殺害される事件が起きているが、やはりこの組織が犯行声明を出していた。一方、バングラデシュ政府首脳らは、その証拠がないとして、ISが犯人だという見方を否定する発言を行っている。海外メディアは、事件の背景となるバングラデシュ国内の情勢や過激派の活動に注目している。

◆バングラデシュでは過激派による暗殺事件が連続して起こっていた
 日本では、この事件は突然起きたものという印象があったかもしれない。しかしバングラデシュでは今年に入り、イスラム過激派が関与したとみられる暗殺事件が連続して起こっていた。多くの海外メディアは、今回の事件の重要な背景としてこれを伝えている。

 インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙(INYT)は、バングラデシュでは外国人襲撃は新展開だが、標的暗殺は気味の悪い頻度で起こっている、と伝える。同国では今年、ブログにイスラム過激思想に反対する投稿をしていた世俗主義運動家4人が相次いで殺害された。今春、国際テロ組織アルカイダのインド亜大陸支部の指導者が、殺害の一部について犯行を認めるビデオを公開した(INYT)。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によると、アルカイダおよびISと関係がある同国内の過激派組織が犯行声明を出しているという。

 また先月28日、イタリア人支援活動家のチェーザレ・タベッラさんが、星さんの事件と同様の手口で殺害された。ガーディアン紙によると、バングラデシュでは欧米人が殺害もしくは標的にされることは10年以上なかった、とバングラデシュ平和安全保障研究所の安全保障アナリストShafqat Munir氏が語っている。

◆ISを名乗る組織の犯行声明。日本人だから狙われた?
 タベッラさんと、星さんの事件それぞれについてISを名乗る組織が犯行声明を出していることは、どのメディアも報じている。WSJによると、犯行声明はISとの関連が知られているツイッターのアカウント上で行われた。声明では、星さんがISと対立する「十字軍連合(有志連合)の参加国」の国民だったために殺害したとされているという。

 NHKによると、ISは9月にインターネット上で、IS支持者に対して「十字軍の連合に加わる国は70ヶ国以上ある。十字軍の国民であれば、世界のどこであっても殺害すべきだ」と呼びかけていたそうだ。対象国として日本も名指しされていたという。

◆海外メディアの注目点1:バングラデシュ国内の過激派の活動
 暗殺事件の事実関係については、どのメディアも同様に報じているが、その先の焦点の置き方はメディアによって異なる。

 例えばWSJは、過激派の活動の活発化への懸念について注目している。過激派の国際ネットワークと連関している組織がバングラデシュ国内で足がかりを得ているのではないかといった懸念が、星さんら外国人への襲撃のため一部当局者と一般国民の間で増大している、と伝えた。また、これらの襲撃のせいで、バングラデシュの開発分野で尽力する何百ものNGOの熱意を冷ますことになりそうだ、としている。

 ガーディアン紙は、同国の過激派の活動状況の流れの中に今回の事件を位置づけている。バングラデシュでは2004年、イギリスの高等弁務官(大使に相当)がイスラム原理主義組織に襲撃され負傷した。以来、バングラデシュは過激派の活動を厳しく取り締まってきた、と同紙は伝える。(しかしそれでも)「長年にわたって活動している国内の過激派組織は常々活動的であり、さらに今や世界中での暴力的過激主義の台頭のために、自分たちの活動を増大させてもいる」とMunir氏は語っている。

 また同氏は、「非常に不安なのは、おそらく高度な警戒にもかかわらず、過激派がこれらの襲撃をやってのけられるという点だ」「私が恐れているのは、これがやみそうにないということだ。これは続くだろうし、エスカレートするかもしれない」と不安を語っている。

◆海外メディアの注目点2:バングラデシュ首相らはISの関与を否定。野党に責任?
 AP通信、INYTはこれらと異なり、バングラデシュのハシナ首相、カーン内務相が、ISを名乗る組織による犯行声明を疑問視する姿勢を公然と示していることを中心に報じている。

 カーン内相は4日、AP通信に、「そんなことは全くのたわごとだ、ISはこの国にはいない、とんでもない」「ISがこの国でどうしてそんなことをしようとするのか。これらの事件は、国内に不安定さを引き起こすためのものだ」と語ったという。

 ハシナ首相も、記者会見で「誰かが何かをネットに投稿するとして、それが真実だと証明されないかぎり、受け入れなければならない理由がどこにあるか。受け入れることはできない」と語ったという。またINYTは、首相が4日、「私は、ISや、そのような類いのいかなる組織、またはその活動が、バングラデシュではまだ発生していないと間違いなく言うことができる」と記者に対し語ったことを、バングラデシュ国営通信社の報道として伝えている。

 さらにAP通信、INYTは、ハシナ首相が最大野党のバングラデシュ民族主義党(BNP)とその同盟党であるイスラム協会を公然と敵視し、星さんらの襲撃事件にも関係しているとして非難していることを報じている。

 AP通信は、ハシナ首相が4日、襲撃事件は両党のせいだとして、両党がバングラデシュを不安定化しようとしていると非難した、と報じた。INYTは、同じく首相が4日、星さんらの殺害事件は、ISの犯行ではなくて、BNP内の自身の政敵と結託している自国生まれの過激派の仕業かもしれない、とほのめかしたと報じた。過激派は、進行中の戦争犯罪裁判への仕返しとして襲撃を行っているのかもしれないと首相は語ったそうである。その裁判では、BNPとイスラム協会の党首らが、1971年のパキスタンからの独立戦争中の行動をめぐって告発されている、とINYTは伝えている。

 首相がこれほど公然とBNPを敵視する背景には、与党のアワミ連盟とBNP、また首相個人とBNPの間の根深い対立がある。外務省ウェブサイトによると、1975年、父であるムジブル・ラーマン大統領(当時)が妻、息子3人らとともに軍将校のクーデターにより暗殺された(ハシナ氏はその時イギリスに滞在していて無事だった)。そして、その時の殺害の疑惑に基づきBNPに対して強い敵対心を有しているのだという。

 ガーディアン紙はバングラデシュの2014年1月の国政選挙でBNPがボイコットし、論議を呼んだことを伝えている。その選挙でアワミ連盟が勝利して以来、バングラデシュでは国情不安が続いている、としている。治安、政治の専門家らはかねてより、政府が公正で包括的な選挙を保証しないかぎり、反乱と治安上の脅威がありそうだと警告しているという。

 BNP側は首相の非難に対し、首相の発言は予想されるもので、嘆かわしいものだと反論したそうだ(AP通信)。

(田所秀徳)

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