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聖地巡礼の商業化が一因?メッカで2度の大事故 サウジ政府を責める声も

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聖地巡礼の商業化が一因?メッカで2度の大事故 サウジ政府を責める声も

 サウジアラビアにあるイスラム教最大の巡礼地メッカで24日、ハッジ(大巡礼)を行う巡礼者の圧死事故が発生。769人が死亡、934人が負傷する大惨事となった。メッカでの事故は、2週間前の11日にも起きていた。カーバ神殿がある聖モスクに向かってクレーンが倒壊し、107人が死亡、238人が負傷した(ロイター)。2000人を超える犠牲者が出た2つの事故。事故の背景には何があったのか、事故は防げなかったのか、各国のメディアが考察している。

◆200万人の巡礼者が酷暑のメッカに押し寄せるハッジ
 ハッジは、1日5回の礼拝や断食などともに、イスラム教徒が行うべき5行の1つである。イスラム暦の第12月の8日から行われ、メッカで一定の期間内に定められた巡礼を行う。財力や体力があれば一生に一度は行うべきものとされ、経験者は特別の尊称を得て敬意を受ける。現在では、200万人もの人々が参加する一大宗教行事となっている。

 今回の大惨事の背景には何があったのか。タイム誌の記事は、3つの理由を挙げて事件の原因を探っている。まず1つ目は、膨大な人数と限られた時間。上述のように200万の人が限られた時間に狭い土地に集まり一連の儀式を行う。記事は、巡礼に参加していたジャーナリストのエサル・エルカタトネイ氏(Ethal El-Katatney)の「人々は別々の方向に押し合っていた。片方の人たちは”悪魔の石柱”に向かい、もう片方は戻ろうとしていた」との声を伝えている。

 さらにそこに追い打ちをかけたのが、暑さと疲れ。当日は気温が43度にも上っていたとタイム誌は述べている。そして3つ目の理由は巡礼者の不慣れだ。同記事は、サウジアラビア当局やサウジアラビアのメディアが、今回の事故は巡礼者が定められたガイドラインに従っていなかったことが事故の原因だと示唆していることを伝えている。

◆イスラム圏での中産階級の台頭で激増する巡礼者
 アメリカのニュース・サイトVoxは、巡礼者の数が飛躍的に増加した理由として、イスラム教徒の人口増加やイスラム圏での中産階級の台頭、そして交通網の発達・格安化を挙げ、巡礼者の急増と事故との関連を解説している。

 同記事は、ケンタッキー大学のスベン・ミュラー氏の研究を取り上げ、巡礼者の急増の様子を報じている。それによると、1950年には年間10万人に満たなかった巡礼者が1955年には2倍になった。1983年に100万人を突破し、ここ最近では平均200万人となっている。ミュラー氏はさらに、この数字は公式に記録された数字であり、非公式の巡礼者はさらに100万人いると見ている。

 Voxの記事はさらに、ハニ・アルナブルシ氏とジョン・ドルーリィ氏の研究を引用。2氏の研究によれば、ハッジ巡礼者の数が100万人から200万人に増加した1982年から2010年の間に、人混みによる大きな事故(1994、1998、2001、2004年)が起こっていると指摘している。事故はこれだけではなく、1990年には過去数十年で最悪の1426人が死亡、直近では2006年に362人が亡くなる圧死事故が起きている。

◆巡礼から最大の利益を得ようとするサウジアラビア
 事件を受け、サウジアラビアへの厳しい批判の声が聞かれる。アメリカの公共ラジオ番組Here & Nowのサイトには、イェール大学のロージー・ブシール(Rosie Bsheer)教授のインタビューが掲載されている。彼女が主張するのは、サウジアラビアによるメッカの再開発の弊害だ。彼女によれば、サウジアラビアは、世界の経済危機などにより海外での投資での利益が見通せず、国内への投資へと矛先を向けた。その第一歩が富裕層をターゲットとしたメッカの再開発だ。建設を請け負ったサウディ・ビンラディン・グループもコストと時間の節約のために安全を犠牲とし、それに巡礼者の増加が加わり大事故への道筋になったとしている。

 これに同調しているのが、Al-Monitorに掲載されたロンドンLSE大学のマダウィ・アルラシード客員教授の記事だ。アルラシード氏の記事は、クレーン事故の後に書かれたものだが、サウジアラビアがハッジを商業化させていると手厳しく批判した。Voxも同様にサウジアラビアのハッジに利益を求めた姿勢を報じている。同記事は、ロンドンを拠点にするパキスタン出身の識者ジャウディン・サルダー氏がタイム誌に語った言葉を引用。氏は「サウジの人たちは石油が尽きることは知っている。ハッジは石油に次いで2番目の重要な収入源だ。彼らはドバイやカタールを見て、”自分たちにはハッジがあるじゃないか。そこから最大限に利益を得よう”と言った」と語っている。

 今回の大惨事には、さまざまな要因があり責任と非を1つにだけ負わせ得るものではないかもしれないが、明らかなのは聖地メッカの保護管理を負うサウジアラビア政府は、巡礼者の安全でスムーズな巡礼のために今後の安全対策を最大限に強化させる必要があることだろう。

(阿津坂光子)

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