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ロシアの北方領土占拠、日本の降伏後?大戦末期? 海外メディアで記述割れる

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ロシアの北方領土占拠、日本の降伏後?大戦末期? 海外メディアで記述割れる

 ロシアのメドベージェフ首相は22日、北方領土の択捉島を訪問した。日本政府はただちにロシアに抗議したが、ロシア側は北方領土問題に関して強硬な発言を続けている。

◆ロシア首相の発言からは譲歩の姿勢はまったく見られない
 ロシアはこのところ、北方4島への取り組みを強化しているようだ。同国政府からは7月18日に保健相、8月13日に副首相が北方領土を訪問している。また6月には、ロシアのショイグ国防相が択捉島などでの軍事拠点の建設を加速するよう、指示を出していたが、これは9月に完成する見込みであるという。

 日本政府は今月、副首相の訪問に対し抗議したほか、メドベージェフ首相が択捉島を訪問する意向を示していたことについても抗議していた。

 日本の抗議に対してロシアは反発している。メドベージェフ首相は今回の訪問中、日本の姿勢のせいでこのような訪問が今後減るということはない、と語ったとロイターは報じている。AFPによると同首相は、「(ロシア当局者が)これまでもクリル列島(北方4島を含む)を訪問してきたし、現在も訪問しているし、今後も訪問する」と語ったことを伝えている。また同首相の「日本は無駄に取り乱している」「現状はこの通りであり、今後もそうだ」とのロシアメディアへの発言を伝えている。

 さらに、ロシアのロゴジン副首相は23日、日本の抗議に関して、「真の(日本の)男なら、伝統に従ってハラキリをして落ち着いたらいい。今は騒いでばかりいる」と自身のTwitterに投稿したという(時事通信・24日)。

◆ロシアは戦勝国アピールで北方4島の領有を正当化
 ロシアの国際ニュース放送RTは、ロシア外務省が声明で、「日本側の反応は(中略)、日本政府が万人に認められている第2次世界大戦の結果に異議を唱え続けていることを再度証明する」としたことを伝えている。なお、RT(旧ロシア・トゥデイ)は、ロシア政府の資金が注入され、政府の意向を反映した報道をするメディアだと言われている。

 日本政府が主張するとおり、旧ソビエト連邦は、日本がポツダム宣言を受諾した後に北方4島を占領、以来70年間にわたって不法占拠を続けている。

 それに対してロシア側の主張は、ロシアは大戦の結果として北方4島を手に入れたというものだ。RTによると、ロシア外務省は今回の訪問への日本の抗議について、「そのような物言いは、何千万人という東アジアの人々の生命を奪った戦争の歴史的事実と記憶を尊重するという日本政府の保証について、疑念を投げかけるものだ」としたそうだ。

 RTは、ロシアは国後島、色丹島、択捉島、歯舞群島を含むクリル列島を、第2次世界大戦のぎりぎり最後に受領した(received)と語っている。他メディアでは、AFPが日本政府の主張通り、「ソ連軍は、第2次世界大戦で日本が降伏した直後に、それらの島を占拠した」と報じた。それに対してロイターは、「第2次世界大戦の末期に」ロシアが占拠した、と報じた。

◆「クリル列島」イコール「千島列島」ではない
 ロシア側は北方4島をクリル列島の一部として扱っている。辞書ではクリル列島は「千島列島」とされているが、これは日本政府の見解とは一致しない。日本政府の見解では、北方4島は千島列島に含まれないからだ。日本はサンフランシスコ平和条約で千島列島の領有権を放棄している。

 RTはおそらくこの点について、日本政府は大戦終結時に締結された国際条約のあいまいな定義を根拠として、それらの島の返還を要求している、と語る。

 なお、ロシア(旧ソ連)はサンフランシスコ平和条約に署名していない。

◆ロシアのエネルギー資源は日本にとって魅力
 安倍政権は北方領土問題でのロシアとの交渉を前進させようと試みてきた。安倍首相とプーチン大統領はたびたび会談を行い、個人的な関係も良好と言われていた。プーチン大統領は、協議による北方領土問題の解決があり得ることをにおわせていた。しかしその状況は、昨年のロシアによるクリミア併合によって一変してしまった。

 それでもなお、日本とロシアには、関係強化を望むだけの理由がある。ロイターが注目するのは、ロシアの豊富な石油、天然ガスのエネルギー資源だ。日本は2011年の福島第一原発事故のせいで原発が停止されたために、ばく大な燃料輸入に頼ることを余儀なくされている、とロイターは語る。安倍首相は、ウクライナ問題にもかかわらず、資源豊富なロシアの機嫌を取り、対話のドアをオープンにしておく取り組みをしている、と語る。しかしその取り組みも、北方領土をめぐる論争で妨害されるかもしれない、としている。

 AFPも、日本はロシアの豊富な石油、天然ガス貯蔵のより幅広い入手機会を求めていた、と語る。また、両国は貿易を活性化するため、関係修復を始めたいと考えていた、としている。ロイターは、ロシアは今後20年以内に、アジアへの石油、天然ガスの供給を少なくとも2倍にする計画だ、と伝えている。

 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、ロシアはアジアへの外交の軸足転換を行おうとしている、と語る(欧州のロシア制裁への対処と思われる)。けれども、それが単に中国への軸足転換にならないようにするため、ロシアは日本のような、地域の他のプレーヤーとの関係強化を必要としている、と語っている。

◆北方領土問題の解決は安倍首相にとっては「ファミリービジネス」
 安倍首相には、北方領土問題での前進を期する個人的な理由もあった。FTは、北方領土問題の解決は安倍首相の最も個人的な外交目標の一つだと語る。首相の父の晋太郎氏は、1980年代に外相としてソ連のゴルバチョフとの交渉を試みたが失敗に終わった。首相は当時、秘書として傍らにいた、とFTは伝える。「いわばこれはファミリービジネスだ」と法政大学の下斗米伸夫教授(政治学)はFTに語っている。

 FTによると、新潟県立大学の袴田茂樹教授(国際政治学、現代ロシア論)は、日本は、プーチン大統領には北方領土問題で合意の準備があるという甘い期待を抱いていて、そのせいで損害を受けている、との考えだという。FTは、多くの専門家は、プーチン大統領が多大なコストを払って得た領土を手放すことがあるなどということを信じかねていて、大統領はメドベージェフ首相と一緒になって、優しい交渉者と厳しい交渉者(アメとムチ)を演じ分けているのだ、との考えだと語る。

 プーチン大統領は現在、2014年のクリミア併合後のナショナリズムの波に乗っている、とFTは語る。これは、ロシア国内での世論が強硬化していることをほのめかしていると思われる。

(田所秀徳)

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