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朴大統領の訪中、日韓関係改善につながる?中国の「抗日戦勝」行事出席の理由とは

  • カテゴリー:国際
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朴大統領の訪中、日韓関係改善につながる?中国の「抗日戦勝」行事出席の理由とは

 韓国の朴槿恵大統領が、9月3日に中国・北京で開かれる「抗日戦争勝利」70年の記念行事に出席することが決まった。韓国大統領府が20日発表した。軍事パレード参観の予定は未定だとしている。西側諸国首脳の多くが、この記念行事への出席表明を見合わせる中、朴大統領はなぜ出席を決めたのか。この出席は朴大統領の外交戦略にとって、どのような意味を持つのだろうか。

◆朴政権下で韓国の親中路線が拡大
 まず注目すべきは、多くのメディアが指摘するように、韓国が近年、特に朴政権となってから、中国との関係強化を積極的に進めている点だろう。

 朴大統領の出席について、聯合ニュースは、韓国政府が中国政府との関係を深めていることを際立たせるかもしれないと指摘した。朴大統領の決断は、韓国の最大の貿易相手国である中国との関係をさらに強化するという、大統領の方針を強調する一連の措置の最新のものだ、と報じている。

 AFPは、韓国、中国政府の関係は、近年、著しく友好的になっていると語る。朴大統領と中国の習近平国家主席は、すでに本格的な首脳会談を2度行っていて、個人的にも良好な関係にあると考えられている、としている。アメリカの同盟国であり、完全な民主主義国の韓国の朴大統領が出席することで、この行事には国際的な威信がいくらか加わることになるだろう、とAFPは中国にとってのメリットを語っている。

 朴大統領の、この親中の方針は、国民から支持を得ているようだ。韓国での世論調査では、朴大統領は「出席すべき」が51.8%で、「欠席すべき」は20.6%だった(中央日報・11日)。また読売新聞(20日)によると、良好な対中関係は「朴大統領の外交上の最大の成果」だとする見方が韓国政府内にあるようだ。

 中国が最大の貿易相手国だというのが、支持の大きな要因だろう。韓国経済の中国に対する依存の度合いは、過去数十年間で顕著に高まったとするレポートを、韓国・現代(ヒュンダイ)経済研究院が20日発表した(聯合ニュース)。レポートは、1992年の韓中国交樹立当時と昨年とで両国間の貿易高や企業投資などのデータを比較しているが、いずれも大きく伸びている。例えば、韓国の対中輸出は、1992年には輸出全体の3.5%だったところ、昨年は25.3%となっていた。

◆朴大統領は米中とのバランス外交をうまくこなしている、との評価
 韓国にとっては、アメリカとの関係も非常に重要だ。米国との60年間の軍事同盟は、依然として韓国の国防の要だとロイターは語っている。今回、大統領が出席を決めたのも、事前に米側と緊密な協議を行った上でのことだったと聯合ニュースは伝えている。

 ただ、その韓国のスタンスにも、2013年に朴政権になってから変化があったようだ。韓国英字紙コリア・ヘラルド(KH)は、李明博前大統領は任期中ずっと、北朝鮮の挑発が続く状況のさなか、中国との関係よりも米国との同盟強化を著しく重視していた、と伝える。その後、韓国は2014年に中国と自由貿易協定(FTA)を結び、今年、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加した。

 KHによると、専門家らは、朴大統領は中国、米国とのバランス外交をうまくこなしている、と評価しているようだ。韓国国立外交院の尹徳敏院長は「朴政権は、韓米同盟を強固に保ちつつ、中国との戦略的協力関係を築いてきた」「(韓国にとって)最も重要な2国との関係深化は、防衛手段として役立っている」と語っている。また韓国・世宗研究所の洪鉉翼首席研究委員は、韓国は「米国と中国の間で、いくらかバランス感覚」を取り戻した、「韓中関係は、李明博政権時代に比べ、確実に良くなった」と語っている。

 AFPは、韓国は、中国と米国の、アジアで影響力を競う争いに翻弄される駒にはなりたくないと考えている、と指摘する。一方、聯合ニュースは、韓国は中国に偏向しているかもしれないとの批判が一部にはある、と伝えている。

◆対日外交、北朝鮮問題が朴大統領の弱点。行事参加が助けになる?
 KHは、朴大統領は対中、対米関係はうまくこなしているものの、対日関係と北朝鮮問題ではうまくいっていないとの専門家の見解を伝えている。

「韓国政府の対日政策についていえば、硬直した原則に執着しているせいで、求めるものが得られていない」と上述の洪委員は語っている。韓国政府と日本政府は、関係を修復するよう、米政府からますます大きくなる圧力を受けている、とKHは伝える。

 意外なことだが、朴大統領が中国の行事への参加を決めたことが、米国からの要求通りに日本との関係改善を図る上で役に立つかもしれない。産経ニュース(20日)によれば、朴大統領はその訪問で中国の習主席との会談を行い、次は韓国がホスト国となる「日中韓首脳会談への参加意思を中国側から引き出すことを狙っているとみられる」としている。日中韓首脳会談が実現できれば、同時に日韓首脳会談も実現できるだろう、というもくろみだ。

 また、日本経済新聞(20日)や聯合ニュースによれば、安倍首相が(行事に出席するかどうかはともかく)その時期に訪中した場合、もし韓国が欠席していれば、外交的に孤立してしまうのではないか、という懸念の声もあったという。

◆北朝鮮へのけん制として、中国との親密さをアピールしたい?
 北朝鮮問題も、韓国にとって最大限に重要な問題だ。朝鮮半島の緊張は、北朝鮮が最近、非武装地帯で韓国を地雷で攻撃したことなどから急速に高まっている、とKHは伝える。

 朴大統領は、北朝鮮問題にも好影響を与えることを期待して、中国の行事の参加を決めたのかもしれない。中国は北朝鮮にとって最後の主要同盟国であり、最大の支援国である。AFPは、韓国政府は中国政府に、北朝鮮の核兵器の野望を抑え込むべく、北朝鮮に対して持つ影響力を発揮してほしいと考えている、と語る。NHKは、朴大統領は挑発的な言動を繰り返している北朝鮮をけん制するため、習主席との会談などを通じて、中国との関係強化をアピールするものとみられる、と伝えている。

 朴大統領が先月、大統領府で開かれた統一準備委員会の討論会で、「統一は来年にも実現するかもしれない」と発言していたとの情報を、18日、韓国紙ハンギョレが報じた。その席では、「北朝鮮で影響力を持つ人々が亡命してきている」ということも語られたという。ある参加者は「北朝鮮に異常な動きがあるという話を暗に示唆している印象を受けた」と同紙に語った。

 行事への参加を決めた朴大統領の念頭には、もしかすると、北朝鮮に動きがあった場合、中国が主要なプレーヤーになるという認識があったのかもしれない。とはいえ、朝鮮戦争の際に韓国側と敵対し、朝鮮半島分断の理由を作った中国の力を借りるとなれば、国内からの批判もありそうだ。

(田所秀徳)

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