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ギリシャのユーロ残留の裏で、米露が駆け引き パイプライン構想、BRICS銀行支援

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ギリシャのユーロ残留の裏で、米露が駆け引き パイプライン構想、BRICS銀行支援

 ギリシャ国民の緊縮策受け入れNOの声と新たな財政改革案を引っ提げて、チプラス首相はEUユーロ圏緊急首脳会議に臨んだ。ドイツから「5年間ユーロ離脱」を示唆され、一旦はEU緊急会合も延期になり、不安が広がったが、結果は11兆円の追加支援とユーロ圏残留、そしてその引き替えとして緊縮策受け入れと法制化だった。この間、ロシアはギリシャにエネルギー分野での協力を提案し、それをアメリカが警戒してギリシャのユーロ圏離脱阻止を働きかけていた。

◆ドイツほか債権国が出した条件◆
 17時間におよぶ緊急会合を経て、ドイツを主とするEUのギリシャ債権国は13日、ギリシャ議会が15日までに財政改革計画を法制化し、即時実行することを条件に、820億ユーロ(約11兆円)から最大860億ユーロの金融支援を行うことを決定した。ギリシャは直ちに公的年金削減と消費増税、労働者の解雇を可能にする労働法改正を行い、また国有資産の売却益500億ユーロを債務返済に充てなければならない。チプラスはその4分の1を、経済刺激のための「不特定な投資」に使えるようにしたという(エコノミスト7月13日)。

 ギリシャは社会主義的な政策を大きく縮小して、いわゆる新自由主義的経済政策へと転換することになる。ワシントンポストは「債務は全く問題ではない」と述べる。債務残高がGDPの175%に達していても実際支払うのはGDPの2.6%で、それはアメリカの債務支払額よりも低い、と指摘する。問題は2人に1人に達する若者の失業であり、この改善のために、チプラスは経済のあり方の刷新を求めたと分析する(7月12日)。一方、エコノミストは、今後チプラス政権は、国民の緊縮NOの声に背いて財政改革をどう進めるのか、EUはどうやって統合を保つのかと疑問を投げかけている。

◆ギリシャへのロシアの接近を警戒するアメリカ◆
 ギリシャのデフォルト危機に際してロシアは、エネルギー分野での協力を拡大してギリシャ経済の回復を支援するほか、近い将来にギリシャに直接エネルギーを供給するのを容易にするオプションを検討していると発表した(ロシア・トゥデイ7月12日)。ロシアからトルコへの石油・天然ガスパイプライン敷設をギリシャが請け負い、いずれギリシャまで延長するという構想である。ロシアはBRICS銀行を介した協力を非公式に打診したとも伝えられる(CNN7月6日)。

 アメリカはギリシャとロシアの接近に神経をとがらせている。黒海からキプロス、ギリシャにかけての地中海東部は、ロシアにとって軍事戦略上の要地であり、ソ連以来両国の左派政党とは強い結びつきをもってきた。今やクリミア半島を手に入れたロシアは、黒海や地中海東部で中国海軍と合同演習を行なうようになっている。アメリカのシンクタンク、ケイトー研究所のエマ・アシュフォードは、「ギリシャのユーロ圏離脱は、ギリシャのロシアへの接近と、NATO内部の分裂を深める」と警告した(CNN7月6日)。ギリシャのデフォルトからEU緊急会合までの間、オバマ大統領はメルケル首相を始めギリシャ債権国首脳に電話をかけ、ギリシャをユーロ圏から離脱させてはならないと説得したという。

◆ツケはギリシャ国民に、チプラスに「ウソツキ」と◆
 4割に達する貧困層も含む年金受給者の医療費負担は50%増え、付加価値税(日本の消費税に相当)は23%に上昇と、国民生活を直撃する。早くも「チプラスはウソツキ、裏切り者」と左派からは批判が出ている。3度目になるユーロ圏の救済措置などをテコに、「勤勉で堅実なギリシャ」に変わらざるを得ないところまで来ている。そのことを肯定的にとらえる、「緊縮財政YES」の人々も半数近くいた。この人々が今後どうギリシャを動かしていくかに注目したい。

(相庭烈)

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