中国、芸能関係者を地方に強制移住させる? 習主席の毛沢東思想への傾倒、海外から懸念

 習政権下の中国は、毛沢東思想を復活させたかのように、芸能•芸術への干渉を強めている(スペインのエル•パイス紙)。

◆文革の復活?芸能関係者を地方で働かせる
 かつて、毛沢東主導の文化大革命(1966-1976)では、多くの知識人や高等教育を受けていた学生らが、強制的に都会から地方へ送られた。ブルジョア思想から離脱させるべく、田舎で畑仕事などをさせるためであった。

 文革の復活のごとく、中国では、公営メディアで働く俳優、報道記者、テレビのキャスターやディレクター、脚本家らを、最低30日間、辺境の農村などで生活させることが義務づけられた。少数民族地域や革命を勝利に導いた地域などに送られて働かされるようだ。これは、芸能関係者•芸術家が正しい観点を修得し、手本となる作品をつくることに役立つ、と当局筋は述べているという(エル•パイス紙)。具体的な適用範囲については、まだ不透明な状況だ。

 さらに、 文化が社会主義の価値を表現する媒体となるべく、各地方に撮影チームが赴き、政府が指導して5つの映画とテレビシリーズを制作するという。

◆習主席は毛沢東思想を強調
 香港市立大学のジョセフ•チェン政治学教授は、習主席のイニシアティブは文化大革命以来のものだと述べ、批判鎮静化を目論んだ毛沢東思想の修正版のように見える、とも説明している(チリのラ•テルセラ紙)。 実際、習主席は昨年12月の毛沢東生誕120周年記念集会で、自らの保守的政治を正当するため、毛沢東を引き合いに出していた(アジア•ニューズ•ネット)。

 習主席は、10月には、芸術と文学に関するシンポジウムの講演で、現代建築を強く批判した。クリエイターに対し、創作は社会主義から見て価値あるもので、しかも公共サービスを促進する作品を生まなければならないと定義した。芸能関係者•芸術家に対し、市場の奴隷になってはいけない、金銭欲にも惑わされない作品を創作すべきである、と語ったのだ(スペインのエル•パイス紙) 。

 中国と同じ社会主義国のキューバでは、政府に批判的なディアリオ•デ•クバ紙が、習主席を「独裁者」と評した。同紙によると、習主席の思想に反したため、麻薬や買春で逮捕された芸能人がいる。ジャッキー・チェン氏の息子であるジェイシー•チャン氏や、映画監督のワン•チュアナン氏らだ。中国政府は、彼等の作品の映画館やテレビでの放映を禁止した。

◆習主席の芸術への定義
 習政権になってから、検閲も厳しくなっているようだ。例えばビッグバン理論はテレビでも放映は禁止されており、インターネットでも見ることはできないという(エル•パイス紙) 。

 正統社会主義とマルクス主義をどうやって強固なものにするか、という宣言書も出版された。一方、検閲官はリベラルなブルジョア思考や価値が普及させないため、あらゆる手段を使っている。特にインターネットやブログでの通信手段への監視は厳しく行なわれている。これが中国経済を崩壊させる可能性にまで言及されている(アジア•ニューズ•ネット)。

 この改革運動がいつまで続くのか、政府と広報管轄局は明確にしていない。

Text by NewSphere 編集部