“中国を刺激する”…豪州次世代潜水艦、日本からの購入に現地政治家反対

 オーストラリアの次世代潜水艦をめぐり、日本製潜水艦の購入が実現するか、再び注目を集めている。これまで日本で建造の可能性が高いと報じられてきたが、ここへきてドイツが参入する可能性が出てきた。

◆ドイツ製潜水艦をめぐる動き
 豪ニュースサイト『news.com.au』によると、ドイツ潜水艦建造会社HDWの親会社TKMSが、日本とオーストラリアの契約を阻止するためキャンベラを訪問、潜水艦購入について公開入札を要求した。

 TKMSは160隻以上の潜水艦建造実績があり、アボット政権に「臨戦態勢」の潜水艦12隻を引き渡すと約束した。また、建造もオーストラリアで行うとのことである。TKMSによると「従来の214型を改良した216型の全長90メートル、4000トンの潜水艦になる。コリンズ級潜水艦は米国の海軍の戦闘システムを使用しており、システムの統合が最大の課題だが、これは克服できる。すべての技術をオーストラリアに輸出できる。2026年までには最初の潜水艦を引き渡す予定だ」(news.com.au)と、契約成立に強気である。

◆オーストラリア国内の関係者は反対を貫く
 オーストラリア連邦政府は日本との契約を進めるのではないかとの見方がある(豪ABC放送)。しかしその一方で、オーストラリア国内の関係者は反対の立場を貫いている。海軍の造船専門家ジョン・ホワイト氏は上院の調査に対し、「そうりゅう型潜水艦の選択は課題が多い。日本は潜水艦の輸出の経験がない」(news.com.au)と反対の立場を崩さない。

 豪ABC放送は国内の反対意見を報道している。南オーストラリア経済開発庁は「海軍の次世代潜水艦が海外で建造されるとなると、オーストラリア経済には290億ドルの損失になる。40年間で延べ14万人の雇用が失われる」と意見表明。また議長のレイモンド・スペンサーは「国・州の経済に与える影響について、開発庁の適切な分析を行わずに進んでいることを懸念する。長期的視点に立ってみるべき。次世代潜水艦を輸入することは、州にとってだけでなく、国にとっても経済的な失策である」と述べた。

 別の豪ABC放送の記事によると、南オーストラリア州のマーチン・ハミルトン・スミス防衛産業相が、日本からの潜水艦購入は「オーストラリアと中国の関係を傷つけることになる」として反対の見解を示した。中国は南オーストラリア州にとって最大の貿易相手であると記事は指摘している。

 豪オーストラリアン紙によると、アボット首相と同じ自由党のSean Edward上院議員は「政府は正当な、公開のプロセスを踏み、オーストラリアの企業も参加できるようにすべき」と、公開入札を要求している。またオーストラリアASC(オーストラリア潜水艦企業体)も公開入札を期待していると同紙は報道している。

 最終的な結論は来年中ごろに出される2015年防衛白書に盛り込まれると思われるが(news.com.au)、オーストラリアの潜水艦購入問題はますます不透明さを増してきた。まだしばらくは目が離せないようである。

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Text by NewSphere 編集部