ヒジャブ禁止は世界に逆行? 仁川アジア大会でイスラム女性が出場不可…海外から批判

 第17回アジア大会が9月19日から、韓国の仁川で開催されている。地域最大のスポーツイベントに海外メディアの注目が集まる中、大会の問題点も報道されている。

【イスラム女性選手の試合放棄】
 今大会では、カタール女子バスケットボールチームが、試合中のヒジャブ(髪などを覆うスカーフ)着用を禁止する国際ルールに抗議し、試合を棄権する事態になった。

『Newsobserver』が報じるところによると、アジア大会関係者は、国際バスケットボール連盟(FIBA)からベールの着用を許可するという指示がなかったため、アクセサリー等の装飾品を身につけてはいけないというルールに従った、としている。同紙は、選手の安全を考慮したルールが、文化的・宗教的な分野での問題となっていることを批判している。FIBA側によると、ユニフォームが同連盟のルールに抵触しているという。

 他の競技では試合中のベール着用が認められている。FIBAも今月初め、ヒジャブなどを2年間のトライアル期間中認めるとしたが、国際大会での扱いについては、明確な姿勢を示していなかったようだ。

 カタールチーム代表Al-Jabir氏は、「試合を放棄したのではなく、試合することを許されなかった」と答えている。同氏は、「女性参加を推進している一方で、ヒジャブを着用したイスラム女性の参加を妨げている」と主催側を批判した(『Newsobserver』)。またバスケットボール専門家のHabeeba Husain氏は、実際の障壁となるのは「ヒジャブ」ではなく、「ヒジャブ」に体する間違った認識だ、と指摘している(『Patheos』)。

【韓国メディアの報道】
『コリア・タイムズ』は、他にも、大会の不手際の数々を指摘した。

 まず、今大会のために300億ウォン(約31億円)かけて改築された玉蓮(オンニョン)国際射撃場は、交通の便、会場の設備の点で問題があるという。会場には許可された限られた車両しか入場することができない。それ以外は近くの高校に駐車し、1.5kmの細い山道をシャトルバスで会場に向かうことになる。バスは20分おきの発車で、帰りは最低10人乗車しないと発車しない。観客ばかりでなく選手も交通の便の悪さに被害を被っている、と報じられている。

 会場では、競技者と観客の距離が近過ぎて選手が集中できないのが最大の問題となっている。男子射撃が開催された日曜日、会場には多くの記者、関係者、観客が、競技者から10m付近まで押し寄せた、という。また月曜日の競技の際には、ロッカー設備が整っていないため、自分の競技を待つ間、選手が銃を会場近くの地面に置くという光景が見られた。キム・ソンイル射撃代表チームコーチは、韓国の国民日報に、「国際射撃場とは呼べない」と話した。

 また、大会のスムーズな運営をサポートするはずのボランティアには、選手にサインを求めるなど配慮に欠けた言動がみられ、批判が集まっている。

 大会当初には、点灯翌日に聖火が消えたり、桂陽体育館では停電のため女子バドミントン団体戦の進行が遅れたり、といった事態も起きている。今後の大会運営に課題を残した。

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Text by NewSphere 編集部