日本のスパイ疑惑? 中国の駐アイスランド大使夫妻逮捕か 中国紙は警告社説掲載

 アメリカの中国語ニュースサイトが、中国の駐アイスランド大使が日本に機密情報を与えて逮捕された、と報じた。この報道の真偽を問われ、中国側は回答を拒否。日本政府もコメントを控えた。

【大使は日本通エリート】
 今回の事件を報じたのは、ニューヨークを拠点とする中国語ニュースサイト『明鏡新聞網』で、馬継生駐アイスランド大使とその夫人が、中国国家安全当局に逮捕されたとしている。

 馬氏は1991年から2008年までの間に、2度に渡って東京の中国大使館で勤務し、アイスランド大使として赴任する前は、中国外交部の副報道局長も務めた人物だ(ガーディアン紙)。

 同氏は中国に向かうため、1月にアイスランドを出発したが、戻るはずの3月になっても帰ってこなかったという。アイスランド外務省の報道官によれば、同氏は「一身上の都合で大使の職には戻らない」と、5月になって中国大使館から発表があり、以来、臨時大使が職務を代行しているという(ガーディアン紙)。

【真偽は未確認】
 最も、今回の事件の真偽は、まだ確認されていない。報道が真実かと聞かれ、洪磊(ホン・レイ)中国外交部副報道局長は、「それに関する情報は知らない」と返答。馬氏の居場所や、だれが現在の駐アイスランド大使なのかを尋ねられても、同じ答えしかしなかった(ガーディアン紙)。

 ガーディアン紙によれば、アイスランドの中国大使館のサイトは、馬氏の経歴をすでに削除。大使挨拶のメッセージでは、通常大使の名前が入るべき部分が、空白となっており、ニュース欄でも昨年9月を最後に、同氏に関するものはなくなっているという。

 日本政府の担当者は、ロイターに「基本的には、中国の国内問題であり、日本政府はコメントするのを差し控える」と回答した。

【スパイ予備軍に警告】
 グローバル・タイムズ(人民日報国際版)は、今回の事件に絡めて「周囲のスパイ活動の罠に注意を」という社説を掲載。外交官、軍人、研究者がスパイ活動に係わり情報を売るという事件が、近年頻繁に起きていると述べる。

 同紙は、国力をつけた中国が、今や世界の主要諜報機関からの標的となっている指摘。しかし一般の中国人は、スパイ活動に対する理解が浅く、国家の機密を知る者でも、金品に誘われ、徐々に海外諜報機関の手に落ちていくと説明する。

 同紙は、馬氏逮捕のニュースが、事実だとすれば、彼の話がいつかメディアに取り上げられ、国民への警告となることを望むと述べる。また、現代の進んだテクノロジーで、スパイが捕まる可能性は増えているとし、スパイとなり得る人々が、それを認識する必要があるとも述べている。

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Text by NewSphere 編集部