“中国に従うのは世界的な流れ” 台湾紙、国内の反中勢力を批判

 台湾では今年3月、学生たちが中国とのサービス貿易協定に反対し、立法院(日本の国会にあたる)を占拠した。親中派の馬英九総統は当初、学生たちの行動に強硬な態度を示していた。しかし後に軟化し、彼らの要求に対して一定の譲歩を示した。また立法院が、学生側の要求に応じ、「両岸協議監督条例」が法制化されるまで、協定の審議を行わないと表明するなどしたため、事態は収束した。

 この台湾の事件は、フェイスブックやツイッターを通じて、日本でも関心を集めた。
 
 中国との経済的結びつきが強まる中で、台湾はどのような道を歩むべきなのか、海外・地元紙が、最近の日中関係も絡め、両国のあり方を論じている。

【「元祖」領有権問題、台湾】
 USAトゥデイ紙は、日本と中国の尖閣諸島を巡る対立は非常に危険だ、との台湾外交官の警告を取り上げた。台北経済文化代表処の沈呂巡氏は、「この小さな島々が、何らかの引き金となるかもしれない」「巡視船同士の小さな小競り合いが、大きな事件に繋がりかねない。それは爆発的に起こるだろう」と憂慮を述べた。

 中国は日本以外にも、ベトナム、フィリピンなど南シナ海に面する国々と同海域に点在する島々の領有権問題で揉めているが、沈氏は、それらの島々は台湾が元祖だという。

【偏りの無い政策を】
 親中的とされる台湾の中国時報紙は、日本とアメリカの同盟は、昨年の夏から中国・韓国との軋轢を生じている、と報じている。このことは、台湾がアメリカとの友好関係を維持するという政治方針の妨げとなっているという。また、台湾国内にある中国に意固地に敵対しようとする一部の態度も問題だ、としている。

 台湾が、日中両者の言い分を受け入れるという最近の国際的認識に応える政策を敷かなければ、自国の力を損なうことになるだろう、と同メディアは忠告している。中国への反感が変わることはなくても、それが世界的な流れだからだという。

 もし中国との話し合いに適切な対応をとらなければ、好機を逸する危険がある、と3月の学生による事件で、サービス貿易協定の合意が滞っていることを指摘した。

 前述の沈氏によると、台湾には毎年、約300万人の中国人旅行者が訪れており、台湾と中国間の結婚も増加しているという。同氏は、現在進行している、経済、社会、文化の統合が、両者を平和的な政治解決に導いてくれることを期待している、と述べている。

【軍備競争は不毛、経済でアジアに一大勢力建設を】
 中国は、アメリカに対抗しようと核を保有し、軍備拡充に膨大な予算を費やした。また、旧ソ連も馬鹿げているほど軍事費を増大させたが、崩壊した。このことから、現代社会で最も効率的な国防に成功したのは、EUを設立したヨーロッパの国々だったと言えるだろう、と台湾メディア『nextbigfuture.com』は報じている。なかでもドイツとフランスは、ヨーロッパ連合(EU)を利用し、欧州地域で力を維持していると指摘した。

 同メディアは、戦時中の硫黄島や沖縄の戦闘を引き合いに出し、台湾はいかなる侵略にも抵抗するが、完全に玉砕するだろうとも言える、と中国に対して武力で対抗することを否定している。

 また、中国とアメリカの関係について、経済的な競争と影響力に焦点を合わせるべきだ、と論じている。EUを見習い、広く強固な経済圏を建設することが力を握る最善の道ではないかと提案している。

 「台湾と中国は経済的な統合が進んでいる。経済大国の中国は、台湾と東南アジアをまとめ、国際的に影響力の大きなグループとすることができるだろう。軍備拡張の模索は、中国の経済的な成功を台無しにするだけだ」、と結んでいる。

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Text by NewSphere 編集部