日豪防衛協力へ “日本、豪を利用して中国けん制”と中国メディア報道

 日本とオーストラリアは、11日に東京で外務・防衛閣僚会議(2プラス2)を開催し、防衛装備品及び技術の共有に関し協力していくことで、事実上の合意に達したと発表した。会議を終えたあと、ビショップ豪外相は日本の集団的自衛権に肯定的見方を示した。また、東シナ海、南シナ海での領土問題にも言及し、交渉による平和的解決を求めた。

【集団的自衛権行使を歓迎】
 ブルームバーグによれば、ビショップ外相は、日本には集団的自衛権行使の権利があるとし、「我々は地域の平和と安定を達成しようとする日本をサポートする」、「地域や世界の問題において、より重要な役割を果たそうという日本の努力を歓迎する」とコメントした。

 AFPも、豪外相が「日本がより重要な役割を果たすため、よりノーマルな防衛姿勢を目指すことを支持する」と述べたことを報じた。アジアでは、中国の脅威を踏まえ、地域の国々との関係を再構築、強化する動きが広がっており、日豪の今回の接近も、
その一環とみられるという。

【米中の板挟み】
 海外各紙は、近年アジア太平洋地域では軍備増強に焦点が置かれており、オーストラリアも防衛費の増強に踏み出していると報じるが、その微妙な立ち位置にも言及している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、オーストラリアはアメリカとの同盟と中国貿易への依存の板挟みになっており、中国とは軍事と無関係の分野で、関係強化を図ってきたと指摘する。

 AFPによれば、ジョンストン豪国防相は、日豪の安全保障、防衛上の協力は両国関係の要であるとしながらも、「日米豪でアジア太平洋地域をコントロールしては」という記者からの提案に対し、「中国とは親密で生産的な関係だ」、「豪中関係は、決して排他的なものではない。オーストラリアは・・・中国とも日本とも良い関係だ」と中国への配慮を見せたという。

 ビショップ外相は、中国は平和的台頭を目指しているが、アメリカの存在は地域の繁栄と安定には重要だと言及。領土問題に関しても、平和的解決が必要だと述べた(ブルームバーグ)。

【中国の反応は?】
 防衛力強化を目指すオーストラリアは、日本の潜水艦技術にも注目しており、ジョンストン国防相は、横須賀海上自衛隊基地で、次期購入候補とされる新型「そうりゅう」級潜水艦を見学した。

 日米の潜水艦に対抗し、自国の潜水艦の能力向上に努める中国だが、今回の日豪防衛協力のニュースを受けて、外交部報道官は「アジア太平洋地域のすべてが友好的でポジティブな協力を発展させることを望む」とコメント。また「地域の繁栄と平和を守るためそれぞれが専心できるように、各国が第三国に害を与えないような関係構築を望む」と釘を刺すのも忘れなかった(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。

 また、新華社通信は、「日本の軍需産業の海外進出を軌道に乗せること、また、オーストラリアと長期的な協力関係を結び、『価値観外交』によって中国を牽制することなどがある」とのアナリストの指摘を掲載している。

知らないと恥をかく世界の大問題5どうする世界のリーダー?~新たな東西冷戦~ (角川SSC新書) [amazon]

Text by NewSphere 編集部