中国国営テレビでニコンの不良品を非難 その実態は“外資企業批判のガス抜き番組”

 15日に、CCTV(中国中央テレビ)がニコンのカメラの欠陥とアフターケアの問題について告発したと海外各紙が報じている。

 CCTVは、ニコンのD600で撮影された写真に黒い斑点が写りこみ、クリーニング機能が役に立たないと怒る消費者を放送でとりあげ、ニコンが欠陥部品の交換や不調のカメラの返品を拒否したと報道した。

【「世界消費者デー」の放送】
 サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙やフィナンシャル・タイムズ紙が報じているところでは、この番組は、3月15日の世界消費者権利デーに合わせて毎年放映される番組で、しばしば愛国感情と外資企業批判のガス抜きに使われる。今年はニコンの他に、OZデイリー(オーストラリアの乳製品メーカー)等が取上げられた。昨年はアップル社、フォルクスワーゲン社等がターゲットとなった。

 この番組は、中国でビジネスを展開する外国企業にはよく知られている。各企業は、自社がターゲットになった場合に備えて危機管理プランを用意し、広告会社はクライアントがターゲットになった場合に備えて、放送日にはスタッフを増員するという。

 フィナンシャル・タイムズ紙によると、番組はこれまで欧米企業のみ取りあげており、日本の企業はニコンが初めてだという。一部アナリストは、尖閣諸島や歴史にん世紀をめぐる日中関係の悪化が背景にあるとみている。

【中国経済の新しい伝統か】
 サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙によると、国家工商行政管理総局のホットラインが受けた消費者からの苦情は、昨年初めて100万件を越えた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、毎年3月15日の番組は、消費者をエンパワーし、劣悪な商習慣を厳重に取り締まる目的の新しい伝統となった。とはいえ、今年の放送は昨年のものより大幅に控えめだったようだ。スターバックスのコーヒー価格を非難するような同局の番組に対し、消費者から反発があったことも背景にある。

【ニコンの対応】
 なおニコン、は問題となった『D600』の所有者に無償のアフターケアを提供することを、先月HP上で発表していた。同社広報は、ニコンはカメラの問題を認識しており「全世界の顧客に同じ水準のサービスを提供することを目指す」と述べていると、チャイナ・ビジネスは伝えている。

 中国版ツイッター『微博』のニコンのアカウントは、ニコンはレポートを「非常に深刻に」受け止めており、「中国市場のお客様に対し高品質、高水準のグローバルなサービスを引き続き提供していく」と述べている。

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Text by NewSphere 編集部