フカヒレの危機? 捕獲量世界最多のインドが規制へ

 インド政府は26日、サメを保護する新たなガイドラインを発表した。近年、乱獲によりサメが減少していることや、サメを捕獲したさいに「ヒレ」だけ切り落として海へ捨てる、という残忍な慣行を終わらせるため、「フカヒレ採取禁止」政策を講じた。

 この発表に対し、管轄省庁に働きかけていた国際動物愛護協会(HSI)らは、総じて高く評価しているようだ。当局関係者も、「残酷且つ無駄な慣行の抑止力になればと期待している」とコメントしている。

 最近の調査によると、インドはインドネシアとともにサメの捕獲量が世界最多であり、フカヒレ輸出大国でもある。

【海洋生態系に影響は?】
 サメは海洋生態系の健全なバランスを保つ上で極めて重要な働きを担っている。専門家によると、海洋生態系最上位の捕食者であるサメは、魚や亀の数を健全に保つための「生命線」であるという。

 だが、乱獲によりその数は減少していると言われており、このままでは海洋生態系を保てないと懸念されている。

 サメは、他の魚種とは異なり多くの子どもを産まない。一方、アジアの珍味とされる「フカヒレスープ」のために毎年、何千万というサメが捕獲されている。30年前と比較すると10%まで減少しているサメもいるという。

【フカヒレスープが食べられなくなる?】
 サメの肉を食料とするインドは、主にフカヒレや骨を輸出している。インドの輸出当局によれば、去年中国への輸出額は480万ドルであり、2010年の1,130万ドルと比べると半分以下になっている。

 世界最大のフカヒレ取引国の中国では、米国でのフカヒレ販売禁止を皮切りに議論が続いている。中国新聞網によると、「フカヒレは中国食文化の代表的なご馳走であり、おもてなしにだすことで身分と地位を象徴しており、これにつきる」という。一方で、「若い人にはあまり興味がなく、年配の方が“固執”しているだけ」との見方もある。

 専門家によると、フカヒレスープは、食すだけではなく「面子」の問題でもあり、「面子がある」ということが好まれる理由だと見解を示している。

 なおフカヒレ目当ての乱獲により一部のサメがワシントン条約の規制対象になっており、中国は受け入れ姿勢を示したが、日本は「留保」している。

Text by NewSphere 編集部