7度目の正直? 韓国・北朝鮮、開城(ケソン)工業団地の操業再開か

韓国と北朝鮮は14日、開城(ケソン)工業団地の操業再開に合意した。合意では操業再開に向けて、両国からの代表者で構成される委員会を設置することなどが取り決められた。委員会は、操業再開のための法的手続きや、今回の施設閉鎖による韓国企業への損害賠償などについて、話し合う予定だ。

 7月25日に6度目の交渉が失敗してから、開城工業団地は完全閉鎖だろうとの見方が強くなっていた。ところが同日、北朝鮮側が新たな話し合いを提案し、韓国側はすぐに受け入れた。ただし韓国は、「最後の話し合い」だと警告していた。

【工業団地を国際的な事業に】
 韓国国内では、保守派が、開城工業団地は、操業再開したとしても価値が疑わしい競争力の低い事業だと批判しているようだ。14日の合意では、こうした批判に対し、より国際競争力のある事業にしていく努力を両国が誓っている。さらに両国は、「国際的な業務標準化」をすすめるため、海外の投資家を呼び込むことにも合意したと報じられている。

 また施設内で、韓国人経営者が携帯電話やインターネットを使用することも認められるという。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、韓国は、海外の投資家が参入すれば、北朝鮮が事業を政治的交渉の手段に利用することが難しくなるだろうとみているようだ。

【操業再開への懸念材料】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今回の合意には、根本的な意見の相違が残されており、操業再開はいまだ不確実だと指摘している。

 実際、韓国政府も、話し合いは進展しているものの、難しい問題が先送りになっていることを認めたという。

 合意では、4月に起こったような突然の閉鎖を繰り返さないよう、両国が努めるとしている。しかし、韓国が北朝鮮に求める、再発防止のための確実な保証など、予防手段の詳細は明確にされていない。北朝鮮側は、操業の維持については相互に保証するべきで、閉鎖については韓国側にも保証責任があるとしている。

【朝鮮半島緊張緩和の兆し】
 南北関係はここ数ヶ月、幾分緊張が緩和されていた。

 理由のひとつとして、北朝鮮擁護の立場にある中国からの圧力で、北朝鮮から韓国と米国への挑発行為が止んでいたためだ、とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

 中国の行動は、北朝鮮を抑えることができなければアジアでの軍備増強を行う、と米国からの警告があったためだという。

 また韓国も、交渉は工業団地操業再開の最後の機会だと警告すると同時に、730万ドルの人道的支援を北朝鮮に約束するなど、歩み寄る姿勢を見せていた。

Text by NewSphere 編集部