世界3位だけど日本3位・・・海外紙が危ぶむ孫氏の逆転の戦略とは?

ソフトバンク

 米携帯電話3位のスプリント・ネクステルの臨時株主総会は25日、ソフトバンクによる買収計画を賛成多数で承認した。
 既に州規制当局や対米外国投資委員会(CFIUS)の承認は済んでおり、米連邦通信委員会(FCC)による最終承認を待って、7月上旬に取引を完了する見込みだ。
 ソフトバンクは8カ月にわたる米衛星放送会社ディッシュ・ネットワークとの争奪戦を制し、スプリント株の78%を216億ドルで取得することとなる。
 スプリントのダン・ヘッセCEOは「当社にとって歴史的な日となった。この改革の力をもたらす合併合意を承認した株主に感謝したい」と述べた。
 ソフトバンクは電子メールで声明を出し、「スプリント株主の支持が得られて光栄に思う」「FCCの認可取得と速やかな買収完了を望んでいる」とした。
 買収完了後はソフトバンクの孫社長がスプリントの会長となり、ソフトバンク米国事業責任者のロン・フィッシャー氏が副会長に就任。スプリントのダン・ヘッセCEOが引き続き、同社を経営する。
 海外各紙は、買収完了後の課題について報じた。

【ディッシュとの別の争奪戦】
 まず短期的な課題として、米高速無線通信会社クリアワイヤをめぐるディッシュとの買収合戦が決着していない。スプリントは高速通信ネットワーク(LTE)整備のため、クリアワイヤの持つ周波数の活用が欠かせない。
 クリアワイヤ株の半分を保有するスプリントは先週、ディッシュの提案はデラウェア州法と主要株主としてのスプリントの権利を侵害するとしてディッシュを提訴。また、買収提示額を1株当たり5ドルに引き上げた。これはディッシュ案を14%上回る額となり、ディッシュがこれに対抗することは難しいとみられている。
 この件は7月8日に行われるクリアワイヤの株主投票で決着がつく。

【米携帯業界の再編なるか?】
 米携帯電話業界にはAT&Tとベライゾンの大手2強が存在する。
 ニューヨーク・タイムズ紙は、この買収により日本のソフトバンクが米携帯電話業界の再編で大きな役割を担うこととなると報じた。
 一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は両社への挑戦は容易でないとし、米携帯電話4位のTモバイルからも目が離せないと指摘した。
 孫氏は2006年の日本でのボーダフォン買収時と同じく、価格優位性と革新的サービスをもって米携帯電話業界の様相を一変させたいとしている。しかし大手2強ははるかに大きな顧客基盤とネットワークを持つ。
 ただ、大手2強が無制限データプランを廃止する中、孫氏は、スプリントが無制限データプランを継続することを宣言した。この点で米市場において優位に立つ可能性を秘めている。しかしTモバイルもまた、無制限データプランと型破りなマーケティングで顧客を獲得しようとしている。

 ブルームバーグは、世界61位の富豪であるソフトバンクの孫氏が、同社を世界一の通信会社とする目標に一歩近づいたと報じた。  

Text by NewSphere 編集部